映画[ 東京島 ]何がハッピーエンドかは、自分で決めるわ | アロハ坊主の日がな一日

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映画[ 東京島 ]何がハッピーエンドかは、自分で決めるわ
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    映画[ 東京島 ]を吉祥寺バウスシアターで鑑賞。

    船が難破し、無人島へ漂着した男性23人と、たったひとりの女性(主婦)が繰り広げるサバイバル生活を描いた、桐島夏生の同名小説の映画化である。ゴールディングの『蠅の王』のような、凄惨なものを想像していたらまったく違ったものだった。底意地の悪い視点で、女性をこれでもこれでもかと描写する桐島夏生らしい作品だが、迫力にかける男性陣には少々物足りなさを感じてしまう。そんな中でも、謎の男、ワタナベを演じた窪塚洋介は異彩を放っており、気がつけば亀の甲羅を平然として背負っている姿が、気持ち悪いほどよく似合っていた。

    この映画を手がけたのは[ 0093女王陛下の草刈正雄 ][ 忘れられぬ人々 ]の篠崎誠監督。商業デビュー作が、ベルリン映画祭で最優秀新人賞を受賞した作家性の強い作品をつくる監督さんだが、コメディーからヒューマンドラマまで扱うジャンルは幅広く、さらにホラーにも造詣が深い。

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    これはコメディなのか。食欲と性欲に飢えた男たちの壮絶なサバイバル合戦が、凄惨をきわめた映像で描かれているかと思ったら、なんてなまぬるい。原作は未見だが、たぶん原作に沿ったストーリーと世界観で作られているのだろうと推測。

    主人公の清子の夫をめぐる覇権争いや、それに伴うせこい殺人事件は起きるが・・・島を「トウキョウジマ」と呼び、「シブヤ」と名付けた場所では若者たちがビーズを作ったり、野生の花を使ったレイをつくったりと、ノー天気な活動に明け暮れて、時を過ごす。あとから漂着してきた中国人たちは、動物を狩ったり、魚をつったり、調味料を自作して料理をつくったり、さらには島から脱出するための船を作ったりと実用的の生活に腐心しているというのに。中国人と比べるまでもなく、日本人たちのその日暮らしのような非生産的な活動は、現代の若者像を投影しており、情けなくもあるが妙におかしい。

    島でたった一人の女性という逆ハーレム状態は清子にとっては、これ以上ない好待遇の環境であったはず。にもかかわらず、彼女は草食ニホン男子のヤワな愛情を棒に振り、堅実で逞しいチャイニーズの骨太な愛をえらぶ。状況が二転三転していくものの、この映画は清子の容赦のないサバイバル術が描かれている。韓流ドラマなら、ちょっとタカビーな美人女優が配役されそうな役柄なのだが、日本では木村多江のような庶民派美人になってしまう。まあ順当な配役だとは思うが、妊娠してからの、清子の生への渇望は、それまでのひとりの女性としてのたんなる欲望ではなく、母のたくましさとして観客には映ったにちがいない。そう考えれば、前半ではもっと醜悪な清子が観たかったと思うのはぜいたくなことだろうか。

    食料を包んだり、普段着としてタンクトップとして使ったりと、あれだけ過酷なサバイバル生活をしてもエルメスのスカーフはシミひとつない。ファンタジーだから当然なのだが、この映画では彼女のキャラクターを決定づける重要なアイテムになっているのも見逃してはならない。エンディングで東京に戻った清子は、果たしてエルメスを身につけていただろうか―――。エルメスの有無を通して、清子の変容を想像してみる。(こちらもエンディングで登場したが)どこで暮らそうとも、肌身離さず身につけている(ワタナベの)亀の甲羅と比べても、面白いかも。後味は悪くない。
    | 映画(日本) | 23:37 | comments(2) | trackbacks(2) |
    コメント
    IHURUさん

    コメントありがとうございます。
    原作に忠実に描くと、映像的に耐えられないかもしれませんね。映画くらいのドライさが、よかったんでしょうね。
    | アロハ坊主 | 2012/01/23 5:20 PM |
    中国人男性と日本人男性の比較、面白かったですね!
    清子がひらりひらりと渡り歩くのは女性ならではの開き直りと適応能力と、おばさんならではのずうずうしさかな、と。
    原作はわたしも未読なのですが、気になって調べたところ、清子は中年オデブのもっといけていないオバサンみたいで、ストーリーももう少しドロドロみたいです。
    | IHURU | 2012/01/06 9:26 PM |
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    『東京島』 映画のレビュー&予告編
    おすすめ度:★★★★ 荒唐無稽なストーリーを魅せるものにしている木村多江さんに「ブラヴァー」と喝采を! 2010年:日本 監督:篠崎誠 出演:木村多江、窪塚洋介、福士誠治、柄本佑、木村了 公式HP:...
    | ALL will be Happy | 2012/01/06 9:29 PM |
    東京島/木村多江、窪塚洋介、福士誠治
    直木賞作家の桐野夏生さんの同名ベストセラー小説を映画化したサバイバル・エンタテインメント・ムービー。だいぶ前からシネコンへ行けば必ずと言っていいほど予告編を目にしてきましたが、ここ最近はTVでもたくさんスポットを見かけるようになりその宣伝量からも意気込
    | カノンな日々 | 2010/10/16 9:29 PM |