映画[ 春との旅 ]生きる道を探す旅 | アロハ坊主の日がな一日

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映画[ 春との旅 ]生きる道を探す旅
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    映画[ 春との旅 ]を吉祥寺で鑑賞。

    名優・仲代達矢が脚本に惚れ込み、9年ぶりに主演に挑んだ作品で、その脚本を手がけたのは監督でもある小林政広氏。[ バッシング ]や[ 愛の予感 ]などの過去の作品は、ほとんどが自主製作。今回は生活費を切り詰めて、ほぼ自腹で毎年一本の映画を作り続けてきた、映画をこよなく愛する映画バカの監督さんの[ 白夜 ]に続くメジャー作である。

    この映画は残り幾ばくもない人生をどう生きるべきか、という老人にとっては現実と向き合うための旅でもあるが、孫娘には避けていた壁に向き合うための成長の旅でもあった。人生の隠喩でもあるロードムービーで、ふたりは何を見つけるのか!?それが本作の大きな見所である。
    はるとのたび

    19歳の孫娘・春(徳永えり)と、北海道の漁村・増毛で暮らす74歳の忠男(仲代達矢)。かつて漁師だった忠男は、妻と春の母である一 人娘にも先立たれ、兄弟たちとも疎遠になっていた。しかし、春が勤めていた小学校が廃校になり、春は都会へ出たいと言う。そこで、忠男は兄弟たちの家に居候するために、春とともに兄弟たちの家を訪ねて行くことにする。最初に訪れた長兄・重男(大滝秀治)には、申し出を拒まれ、次に訪れた弟の行男は刑務所に服役中・・・。残るは姉の茂子、弟の道男だが、はたして忠男に生きる道は見いだせるのか。


    元漁師の老人と、その孫娘の旅は一種の寓話のようだが、とてもリアルである。それは小林監督の透徹な眼差しが大きな要因になっていると思われる。

    ヒューマニズムの解釈にも、それが表れている。訪問する兄弟宅で折に触れて、彼らのぬくもりを感じる忠男だが、決して現状は好転しない。この世の中はヒューマニズムだけで動いているのではないというメッセージがある一方で、そのヒューマニズムが、拒んでいた父との再会を決意する春の心を揺さぶるきっかけとなる。

    このコインの表裏のような複層的な描写は、次第に忠男と、春の対照的な人生へと回収されていき、本作の広がりのあるストーリーへつながっていく。

    足の悪い元漁師の祖父と、田舎っ娘くさい外股歩きの孫娘、2人の後ろ姿が印象的だ。勝手に先へ先へと歩いていく祖父・忠男を、後から見守るように孫娘の春がついていく。長い旅の間で、このふたりの距離が縮まっていくところに、実はこの映画のテーマがあった。そう、人は人と寄り添ってしか生きていけないということが――。

    仲代達矢主演作としては最後となるかもしれないということを含めて、よくできた作品ゆえにぜひ観てほしい。
    | - | 13:01 | comments(0) | trackbacks(5) |
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