映画[ パーマネント野ばら ]優しさの余韻に浸る | アロハ坊主の日がな一日

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映画[ パーマネント野ばら ]優しさの余韻に浸る
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    映画[ パーマネント野ばら ]を渋谷シネセゾンで鑑賞。

    夫と離婚して、一人娘のももと実家へ戻ったなおこ(菅野美穂)。実家では母のまさ子が小さな美容室“パーマネント野ばら”を営んでおり、毎日近所のおばちゃんたちが詰めかけては恋の話で花を咲かせている。何度も再婚を繰り返したまさ子は最後の夫カズオ(宇崎竜童)とは別居中。カズオは別の女性と同居しており、なおこに取り成しを頼んできた。そんななおこは、高校教師のカシマ(江口洋介)と、こっそりと交際を続けていた・・・。(あらすじ)
    [ おんなのこものがたり ]と[ いけちゃんとぼく ]が持つノスタルジーとファンタジーを両方兼ね備えながらも、ワンランク上のウェルメイドな作品に仕上がっている[ パーマネント野ばら ]は、西原(サイバラ)好きなら見逃せない一作である。

    物語前半、主人公なおこの日常は、淡白なくらい淡々と描かれていた。幼なじみのみっちゃん(小池栄子)や“パーマネント野ばら”へやってくるパンチな女性たちのエネルギッシュな日常とのコントラストが、よりいっそうこの平凡な日常を際立たせている。

    身近に血を分けた母や娘がいながらも、共有できない哀切さを一人胸に抱えているなおこ。それはひとりで異世界に住んでいるかのようだ。8年ぶりに主演を演じた菅野美穂は、今年の主演女優賞をあげちゃいたいくらい近年稀にみる可憐さと、透明感のある女性を見事に演じきっていた。

    すべての謎が解けたクライマックスでは、彼女はヘビーな真実を知ることになるが、この種明かしにはとてつもない瞬発力がある。このシークエンスで心を奪われた観客も多いのではないだろうか。それは叙述トリックの巧さよりも、平凡にしか見えなかった世界が、じつは優しさに満ちあふれた世界だということに感動させられるのだ。

    西原作品に共通するが、この作品にも人間捨てたもんじゃないという救いが必ずかいま見える。クライマックスしかり、なおこの周囲にいるダメ男につかまるともちゃん(池脇千鶴)やみっちゃんの親父(本田博太郎)のような個性的な面々しかり。彼らはこんなふうにしか生きられない人生を、時には悠然と、時にはじたばたしながら受けいれて、ささやかな幸せをかみしめるのだ。そういう意味では本作は西原の圧倒的な世界観を、全編を通して描いているといってもいい。

    振れ幅のある個性派なキャラクターたちが登場する本作は、「ろくでもない人間の本質」や「愛すべき人間のおかしみ」を撮り続けてきた吉田大八監督の映画だといえるが、見終わった後は脚本家・奥寺佐渡子の存在を感じずにはいられない。女性として、子を持つ母としての眼差しがこの作品は確かに息づいているのだ。吉田大八監督+脚本家奥寺佐渡子による次の作品がちょっと待ち遠しくなった。
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    パーマネント野ばら
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