映画[ ヒーローショー ]運命に翻弄される二人のゆうきに、敗者復活戦はあるのか? | アロハ坊主の日がな一日

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映画[ ヒーローショー ]運命に翻弄される二人のゆうきに、敗者復活戦はあるのか?
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    映画[ ヒーローショー ]を渋谷Nシアターで鑑賞。

    まだまだ井筒監督の意欲は衰えを知らない。3年ぶりに撮った作品は、過激も過激。シネカノン時代の[ ゲロッパ ][ パッチギ ]などのポジティブなエネルギー爆発型のエンターテイメントではなく、陰惨で鬱屈したR15指定の低温バイオレンスとして描いた異色の青春映画だ。

    主人公は「爆笑レッドカーペット」でおなじみの若手お笑いコンビ、ジャルジャルの後藤淳平と福徳秀介。タイプの異なる役柄で、不条理さの現実の中で出口を求めてもがき苦しむリアルな若者を演じている。
    痴話げんかが原因でヒーローショーが流血騒ぎになったシークエンスから、死体を土に埋めるシーエンスにいたるまで、この映画は、つねに息苦しく、早くこの状況から開放されたい気分にかられる。

    車中でのギガチェンジャーのスタッフ同士のやりとりや、鬼丸兄弟が大学キャンパスへ訪問して恐喝するシーンは殴る蹴るの激しさはないものの、容赦ない恫喝が心をざわつかせるのだ。

    加減を知らない輩や、空気の読めない輩、暴力に頓着しない輩と、こうなった時点で発端者の力では手に負えない状況まで事態が膨れ上がるのが火をみるより明らかだ。死人がでるまでの暴力は、ストーリーでもわかるように、特別なものではなく日常と地続きであり、それがより恐怖を募らせる。

    それにしても、ジャルジャル以外の若者たちが秀逸なキャラで、これは[ 告白 ]の学生キャラに匹敵するぐらいリアリティを追求したキャスティングでほれぼれしてしまう。鬼丸兄弟の阿部亮平と弟のジェントル。ジェントルって名前もださいくらいにピッタリ。
    ジャルジャルの後藤淳平が演じた勇気がつれてくる弟分のヒロトのキャラも妙な間の抜けぐあいで笑える。

    主人公ジャルジャルの二人の出口の見えない現実の前でなす術なく、運命に翻弄され、息することもままならぬほど、もがいている様がリアリズムの表れだったこの暴力を、不条理な現実のメタファーにも思わせる。

    芸人の卵のユウキ(福徳秀介)は、何をやっても中途半端で中身のないからっぽの若者ではあるが、M1グランプリの優勝という夢を持っている。無責任、無感動、無関心というろくでもないキャラではあるが、漠然とした不安も人一倍もっており、妹ゲーム(loveplusみたいなもの)にのめり込み現実逃避するのもその表れだろう。

    一方勇気は、地元で配管工として働くも恋人と故郷を出て、レストランを開くことを夢みている。友人が実母の恋人で同居中など実家に居づらい状況で、一人暮らしを始めてなんとか現状の打開をはかろうとする矢先に、トラブルに巻き込まれる。この事件のきっかけの浮気は簡単にできるH(ナースごっこ)だったのに、勇気と恋人のあさみ(ちすん)のナニは、A(kiss)の途中で遮られてしまう。このシークエンスだけでも、二人の困難な行く末を思い知らされる。なんのコネもない石垣島でレストランを開くというのも、彼にとっての現実逃避だったのではという思いもわいてくる・・・・。

    確固とした意思を持たないユウキと、旧友のどんな頼みも断れない勇気に未来はあるのか?韓国映画の[ 息もできない ]ほど、わかりやすい構図ではないが、暴力の連鎖を止めるのは、母性(女性)でしかなかった。ユウキにとっては、息子をつねに無償の愛で支えてくれる母の存在であり、勇気にとっては、惜しみない愛を捧げてくれる恋人の存在だ。

    社会的抑圧や自分の不甲斐なさでなす術なく、
    出口を見つけられない若者にも、
    必ず敗者復活戦はある。

    目をそむけたくなるような過激な暴力描写ばかりに囚われると、この映画のメッセージを見誤る。
    | 映画(日本) | 02:16 | comments(0) | trackbacks(4) |
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