映画[ 川の底からこんにちは ]庶民の底力、ここにあり! | アロハ坊主の日がな一日

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映画[ 川の底からこんにちは ]庶民の底力、ここにあり!
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    映画[ 川の底からこんにちは ]を渋谷ユーロスペースで鑑賞。

    今年もこの季節がやってきたPFFスカラシップ(ぴあフィルムフェスティバルスカラシップ)。たしか昨年もこんな出だしで書いたような・・・。

    少々荒削りで、オリジナリティあふれる作品群を観るのが楽しいんだよな。ベテラン監督には描けない勢いも感じるし、邦画もなかなか捨てたもんじゃないなと思わせてくれる。さらに今年の作品は、満島ひかりが主演だというじゃないか。これは見逃せない。
    そういえばこの映画がきっかけで監督の石井裕也と、主演の満島ひかりは結婚したんですな。どうもおめでとうございまーす。
    かわのそこからこんにちは
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    昨年のスカラシップの[ 不灯港 ]はキャラクターの勝利だったが今回はキャラクター以上にストーリーがオモシロイ。

    上京して5年で、「私なんて、しょせん中の下、中の下ですよ!」と人生をなかば捨ててしまったような生き方をしているOL佐和子が、父が病に倒れたことで田舎に帰郷してから、この物語は転がり始める。彼女に降りかかる試練の数々。不承不承ながらも赤字経営の“しじみ工場”の跡を継ぎに、さらにバツイチの彼を友達に取られ、あげくに彼の子どもを養わなければならなくなる。

    無気力な日常を送っていた彼女にとっては、受け流すこともできたにもかかわらず次第に彼女のなかに、責任感が芽生え出す。遠慮しらずなおばちゃんたちを前に、朝礼時にやけくそまじりに一説ぶちかます佐和子。眠れる獅子が目覚めたような、あの爆発力がテンポのある音楽と相まって、とてもパワフルである。労働者の叫びにも似た、社歌の歌詞はサイコー。僕たち庶民の閉塞感とは、世の中に鬱屈した思いをぶつける敵がいないからなのかもしれない。「倒せ!倒せ!政府!」の精神。馬鹿げたフレーズのようで、じつはひじょうに的を得た歌詞である。

    監督は、若干26歳にしてエドワード・ヤン記念 アジア新人監督大賞受賞した石井裕也。批判精神やシニカルな視点の入ったユーモアあふれる描写など、イギリスのコメディ映画を彷彿とさせる。社歌なんて、たぶん外国にはないだろうし、それが逆にミステリアス!ジャポニズムへと結びつき評価されたのではないだろうか。

    佐和子がしじみをパックしている時に、ふと先輩と駆け落ちしたことを思い出し独り言をいってしまうシーンや、駆け落ちの話を、彼氏の健一にごまかすシーンなど。それほどリアルな人物描写になっていないにもかかわらず、小気味よいテンポの会話や日常の描写で、リアリティをもたせる技術は、妙味である。

    売れないアイドルから女優へ転身して今日にいたるまで、いろいろと波に揉まれてきた女優・満島ひかりだけあって、この蓮っ葉な女性ははまり役である。気力のない生返事や、すっとぼけた表情にはイラっとさせられ、ラストの感情剥き出しのセリフには涙してしまった。彼女の相棒となる子ども・新井加代子を演じた相原綺羅の表情を抑えた演技も目をみはるものがある。
    しかし、橋口監督の[ 二十歳の微熱 ]デビューしたバツイチの彼氏を演じた遠藤雅には、かなり衝撃的だった。可愛いゲイの主人公がこんなおっさんになっているとは・・・。時の流れを感じてしまう。

    “中の下”というのはよくいえば客観的なまなざしともいえるが、じつは自身への過小評価への結びつき、すべての非難を受け入れ、困難に立ち向かう気持ちを失わせてしまった原因にもなっていた。
    そんなろくでもない東京生活が、彼女本来がもっていた才能や素養にも、自分自身に気づかせずにいた。
    幼き頃からの彼女の役目だった、畑への人糞まき。雨の日も、風の日も、彼が家を出て行ってときも、決して怠らずに佐和子はくそをまき続ける。無気力な彼女の本当の姿は、こんなところにあったんだ。それがクライマックスに馬鹿でかい巨大スイカへとつながっていく。

    ラストのワンショットで撮影した親父の遺骨を川へ撒くシーンもいいが、個人的には、なにげない人糞まきシーンが心に残った。地味だが、ディテールにこだわった丁寧な演出が、じつはこの石井監督の魅力かも。

    石井監督は注目する日本人監督に橋口監督をあげていた。あのラストのワンショット映像を観れば、それもうなずけてしまう。だって橋口監督の演出そのものだもの。

    しじみ会社のユニフォームで顔を突き出し、口をとがらせて社歌を合唱する社員たちの姿は、魚そのもの。[ 川の底からこんにちは ]はしじみ会社というよりも、魚のような彼女たちのフォルムよろしく庶民たちの物語だということか。「こうなったら、やるきゃない」という主人公佐和子たちの開き直りのスピリッツは、きっとあなたのパワーエナジーになるはずです。パワースポットへ行くぐらいなら、この映画を観るべし。

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