2010.06.08 Tuesday
映画[ 武士道シックスティーン ]まっすぐな生き方がとても清々しい
映画[ 武士道シックスティーン ]を新宿テアトルで鑑賞。
タイプの異なるふたりの少女が、剣道を通じて、友情のとともに、自分らしさを見つけるスポコン青春ストーリー。青春モノでは[ 風が強く吹いている ]以来のすがすがしい映画である。
原作は、剣道小説の新しいバイブルとまで言われた誉田哲也の同名小説。監督は、[ ロボコン ][ さよならみどりちゃん ]を手がけた古厩智之。主人公の香織と早苗は、まっすぐな思いを演じさせたら、この世代では右に出るものがいない成海璃子と北乃きいが熱演している。
タイプの異なるふたりの少女が、剣道を通じて、友情のとともに、自分らしさを見つけるスポコン青春ストーリー。青春モノでは[ 風が強く吹いている ]以来のすがすがしい映画である。
原作は、剣道小説の新しいバイブルとまで言われた誉田哲也の同名小説。監督は、[ ロボコン ][ さよならみどりちゃん ]を手がけた古厩智之。主人公の香織と早苗は、まっすぐな思いを演じさせたら、この世代では右に出るものがいない成海璃子と北乃きいが熱演している。
この映画は予告がよかった。紺のハイソックスに可愛いブレザーで、男勝りのかけ声とともに竹刀を振り回す女子高生というギャップ。流れる曲はあの[ キル・ビル KillBill ]サウンド。いやがおうにも、黄色のジャンプスーツを着たユマサーマンを思い出す。でも、けっして復讐するわけでも、人を殺すわけではなく、剣道通じて自分を見つめ、友と友情を深め合うれっきとした青春映画なのだ。
原作を読んでいないのでなんとも言えないが、映画はとてもシンプルな構成になっていて驚いた。小説では他のキャラクターたちのエピソードがあったのでは・・・と思えるほど、魅力的なキャラクターや関係が主人公の周囲には散見されるのに。
たとえば、今や剣の道から離れてしまった香織の兄・磯山和晴(石黒英雄)と、早苗の姉の彼氏・岡巧(賀来賢人)の関係や、孤独な雰囲気のチームのまとめ役、キャプテンの村浜ゆかり(高木古都)など、 もっと深く描かれてもいいキャラが続々と登場するのだ。しかし、それをあえて省き、香織と早苗という対照的なキャラクターふたりのエピソードだけでストーリーを組み立てている潔さは、この「武士道」というモチーフにぴったりではないか。小品を手がけ続ける古厩智之監督がもっとも得意とするスタイルと言えるかもしれない。
この映画の見所のひとつに主人公ふたりのキャラクターがあるだろう。
昼休みの友が『五輪書』と、鉄アレイという孤高のサムライ女子高生・香織(成海璃子)。勝つことだけにこだわり生きてきた彼女のスタイルは、まさに「剛」。
一方、持ち前の明るさと天真爛漫さで香織をたじろがせる早苗(北乃きい)は、真剣勝負が大の苦手。しかしトラのごとく挑んでくる相手を、身をかわしながら戦う術は一級品で、まさに「柔」である。
異質な他者の世界に触れて、自身の弱さを克服するという青春ものの王道路線もこれだけ見事なまでに「シンメトリー」なキャラだと、そのプロセスも全く違っていて面白い。ふたりには共通して乗り越えなければならなかった父という壁があり、その対峙の仕方も香織は静かなシークエンスで、早苗は表情が豊かな分、動きのあるシークエンスになっている。
原作者の誉田哲也氏が古厩監督の作品に共通する「風通しのよさ」が好きだというようなことを書いていたが、そういえば、香織と早苗の決闘シーンにも、そうした抜け感がある。
ぼくたちはこの映画に、ふたりのまっすぐな生き方だけではなく、ロケーションも含めたところに、すがすがしさを感じていたのかもしれない。単なる「スポ根映画」以上に、観終わった後、気持ちがすっきりとする映画である。
成海璃子と北乃きいの存在感のある演技は、今が旬とでもいうべき見所十分である。
原作を読んでいないのでなんとも言えないが、映画はとてもシンプルな構成になっていて驚いた。小説では他のキャラクターたちのエピソードがあったのでは・・・と思えるほど、魅力的なキャラクターや関係が主人公の周囲には散見されるのに。
たとえば、今や剣の道から離れてしまった香織の兄・磯山和晴(石黒英雄)と、早苗の姉の彼氏・岡巧(賀来賢人)の関係や、孤独な雰囲気のチームのまとめ役、キャプテンの村浜ゆかり(高木古都)など、 もっと深く描かれてもいいキャラが続々と登場するのだ。しかし、それをあえて省き、香織と早苗という対照的なキャラクターふたりのエピソードだけでストーリーを組み立てている潔さは、この「武士道」というモチーフにぴったりではないか。小品を手がけ続ける古厩智之監督がもっとも得意とするスタイルと言えるかもしれない。
この映画の見所のひとつに主人公ふたりのキャラクターがあるだろう。
昼休みの友が『五輪書』と、鉄アレイという孤高のサムライ女子高生・香織(成海璃子)。勝つことだけにこだわり生きてきた彼女のスタイルは、まさに「剛」。
一方、持ち前の明るさと天真爛漫さで香織をたじろがせる早苗(北乃きい)は、真剣勝負が大の苦手。しかしトラのごとく挑んでくる相手を、身をかわしながら戦う術は一級品で、まさに「柔」である。
異質な他者の世界に触れて、自身の弱さを克服するという青春ものの王道路線もこれだけ見事なまでに「シンメトリー」なキャラだと、そのプロセスも全く違っていて面白い。ふたりには共通して乗り越えなければならなかった父という壁があり、その対峙の仕方も香織は静かなシークエンスで、早苗は表情が豊かな分、動きのあるシークエンスになっている。
原作者の誉田哲也氏が古厩監督の作品に共通する「風通しのよさ」が好きだというようなことを書いていたが、そういえば、香織と早苗の決闘シーンにも、そうした抜け感がある。
ぼくたちはこの映画に、ふたりのまっすぐな生き方だけではなく、ロケーションも含めたところに、すがすがしさを感じていたのかもしれない。単なる「スポ根映画」以上に、観終わった後、気持ちがすっきりとする映画である。
成海璃子と北乃きいの存在感のある演技は、今が旬とでもいうべき見所十分である。