2010.01.24 Sunday 23:54
映画[ 蘇りの血 ]効能は・・・餓鬼からの復活
映画[ 蘇りの血 ]をユーロスペースで鑑賞。
[ 空中庭園 ]以来、4年ぶりにメガホンをとった豊田利晃監督の最新作。劇場では、開演前に「楽しみだな」「わくわくするよ」という声がちらほらと聞こえてきた。観る前から、こっちまでテンションがあがってくる。

[ 空中庭園 ]以来、4年ぶりにメガホンをとった豊田利晃監督の最新作。劇場では、開演前に「楽しみだな」「わくわくするよ」という声がちらほらと聞こえてきた。観る前から、こっちまでテンションがあがってくる。

この映画は、「小栗判官の伝説」という、歌舞伎や浄瑠璃の演目にもなっているこの説話をモチーフにした、ファンタジームービー。
では、その「小栗判官の伝説」とはいったい何なのか――
パンフレットには、こう記されている。
照手姫の父に毒殺された後、心身の自由を奪われた餓鬼阿弥となった小栗判官が、イザリ車に乗せられ熊野へ到り、湯の峰のつぼ湯につかったことで、再び元の姿に蘇る、という物語――だと。
また彼が髪で結わえていたわらを捨てたところに稲がはえ、米が実り続けていることから、小栗判官は「生命力」の象徴といわれている。
善や悪、物質や精神のボーダーレスの元始のような世界ゆえにか、テルテのオグリへの無償の愛、それに応え蘇えるオグリ。というわかりやすい構図ゆえか、ひじょうに力強いメッセージになっている。
これは、豊田監督の作品が他の監督のそれとは一線を画しているだろう特徴のひとつ、ロケーションによる効果も大きい。特に荒廃し、生命のかけらも感じない大王(渋川清彦)が支配する岩や石ばかりの荒れ果てた大地と対照的には、オグリとテルテ姫が目指す「蘇生の湯」の旅は、葉や樹木が生い茂り、生命の芽吹きやエネルギーに満ち溢れていた。俯瞰による森林地帯の撮影シーンなどは、人間の卑小さをも際立たせるほどのの迫力である。
ある意味で、監督にとっての原点回帰のような作品で、4年間の積年の思いがつまっているようだ。
渋川清彦、マメさん、そして板尾創路という豊田組といわれる個性派の役者たちも、相変わらずのいい味を出している。特に板尾のえんまが、脱力系キャラで、それまでの緊張感のあるシーンをゆるめ、笑わせてくれる。一方、変わった配役でテルテ姫を草刈正雄の実娘である、草刈麻有がキャスティングされ異彩をはなっていた。オーディション時ではセリフもかみかみで、役柄さえちゃんと覚えてなかった。なのに、監督は彼女を採用した。
その謎が、映画の終盤で解ける。テルテはオグリを追っ手から守るために、舟を放ったところで,大王に斬り殺されてしまう。純粋無垢とした透明感のあふれる存在が、スローモーションの映像とともに、美しいシーンとして描かれているのだ。印象的なシーンである。
余分なぜい肉をそぎ落としすぎて、人によってはピンとこない映画には見えるが、言葉では言い表せないパッションが、何かしら感じる映画ではないだろうか。個人的にはテーマといい、規模感といいこの小品は、監督の復活一作目にふさわしい作品である。こうなると次回作がとにかく待ち遠しい。
「小栗判官の伝説」の説話をご存知なら、本作はより楽しめること請け合いです。
では、その「小栗判官の伝説」とはいったい何なのか――
パンフレットには、こう記されている。
照手姫の父に毒殺された後、心身の自由を奪われた餓鬼阿弥となった小栗判官が、イザリ車に乗せられ熊野へ到り、湯の峰のつぼ湯につかったことで、再び元の姿に蘇る、という物語――だと。
また彼が髪で結わえていたわらを捨てたところに稲がはえ、米が実り続けていることから、小栗判官は「生命力」の象徴といわれている。
善や悪、物質や精神のボーダーレスの元始のような世界ゆえにか、テルテのオグリへの無償の愛、それに応え蘇えるオグリ。というわかりやすい構図ゆえか、ひじょうに力強いメッセージになっている。
これは、豊田監督の作品が他の監督のそれとは一線を画しているだろう特徴のひとつ、ロケーションによる効果も大きい。特に荒廃し、生命のかけらも感じない大王(渋川清彦)が支配する岩や石ばかりの荒れ果てた大地と対照的には、オグリとテルテ姫が目指す「蘇生の湯」の旅は、葉や樹木が生い茂り、生命の芽吹きやエネルギーに満ち溢れていた。俯瞰による森林地帯の撮影シーンなどは、人間の卑小さをも際立たせるほどのの迫力である。
ある意味で、監督にとっての原点回帰のような作品で、4年間の積年の思いがつまっているようだ。
渋川清彦、マメさん、そして板尾創路という豊田組といわれる個性派の役者たちも、相変わらずのいい味を出している。特に板尾のえんまが、脱力系キャラで、それまでの緊張感のあるシーンをゆるめ、笑わせてくれる。一方、変わった配役でテルテ姫を草刈正雄の実娘である、草刈麻有がキャスティングされ異彩をはなっていた。オーディション時ではセリフもかみかみで、役柄さえちゃんと覚えてなかった。なのに、監督は彼女を採用した。
その謎が、映画の終盤で解ける。テルテはオグリを追っ手から守るために、舟を放ったところで,大王に斬り殺されてしまう。純粋無垢とした透明感のあふれる存在が、スローモーションの映像とともに、美しいシーンとして描かれているのだ。印象的なシーンである。
余分なぜい肉をそぎ落としすぎて、人によってはピンとこない映画には見えるが、言葉では言い表せないパッションが、何かしら感じる映画ではないだろうか。個人的にはテーマといい、規模感といいこの小品は、監督の復活一作目にふさわしい作品である。こうなると次回作がとにかく待ち遠しい。
「小栗判官の伝説」の説話をご存知なら、本作はより楽しめること請け合いです。
