2010.01.02 Saturday 18:44
映画[ サイドウェイズ ]これからの人生を熟成させてくれる、ぜいたくな寄り道
映画[ サイドウェイズ ]を吉祥寺で鑑賞。
この映画のオリジナル[ SIDEWAYS サイドウェイ ](オリジナルは「サイドウェイ」なのだ)が好きだった。
夢を持ちながらも、今の時代に乗り切れない不甲斐なさに、落胆する主人公のマイルスのダメ男ぶりがどことなく、ニッポン男子に共通しており、共感できるのだ。だから、今回日本人キャストによりリメイクしたと聞いて期待していた。監督は、[ ローレライ ][ 20世紀少年 ]シリーズなど数々の邦画の海外ユニットの演出を手掛けてきたチェリン・グラック。長編作品は少ないようだけど、ある意味アメリカと日本を理解している適任の監督といえるかもしれない。
この映画のオリジナル[ SIDEWAYS サイドウェイ ](オリジナルは「サイドウェイ」なのだ)が好きだった。
夢を持ちながらも、今の時代に乗り切れない不甲斐なさに、落胆する主人公のマイルスのダメ男ぶりがどことなく、ニッポン男子に共通しており、共感できるのだ。だから、今回日本人キャストによりリメイクしたと聞いて期待していた。監督は、[ ローレライ ][ 20世紀少年 ]シリーズなど数々の邦画の海外ユニットの演出を手掛けてきたチェリン・グラック。長編作品は少ないようだけど、ある意味アメリカと日本を理解している適任の監督といえるかもしれない。
オリジナルの[ SIDEWAYS サイドウェイズ ]は、主人公マイルスと親友ジャックの正反対のキャラクターではあるが、彼らのダメダメぶりがよかった。
大型の馬鹿犬のような、野蛮で、猥雑なジャックが下半身の赴くまま、鼻をへし折られても女性に手を出してしまう。あげくに、間男の現場を押さえられそうになり、夜明け前に素っ裸でモーテルへ逃げ帰ってくる。
一方マイルスは別れた嫁の再婚話に動揺し、あげくに自身の小説が出版されないことを知り、ワイナリーで大暴れ、よっぱらって人のワイン畑を暴走する――。
アメリカという異国の地でニッポン人が同じような行動をとるのは、たぶんないだろうなあ。と思ってみていたら、登場人物の職業やキャラクターがほどよくアレンジされていた。
小説家志望の教師マイルスは、さえないシナリオライターの道雄(小日向文世)に。親友は、逆玉婚で、1週間後に結婚を控えたという設定は同じだが、
肉食系キャラから乗りのいい日本人キャラ(生瀬勝久)に。ふたりとも「楽しき輝ける時代」バブル時代を経験したような雰囲気があるのが特徴的だ。
この映画は女性の出会いは多少できすぎに見えなくもないが、オリジナルのように、偶然の出会いからたった1週間で、ダメダメな人生の棚卸しは日本人にとっては、無理がありすぎる。その点ご都合主義的ではあるが、「幼馴染」との再会(かつ昔片思いだった)という設定のほうが、キャラクターには共感しやすいはずだ。
そして、青春を謳歌していた「楽しき輝ける時代」(留学生活)が映画の核となることで、人生下り坂にさしかかった年齢と世知辛い世の中という現実を比べ、主人公たちと同じような経験をしたあの頃に思いを馳せた中年諸氏も多いことだろう。
メリハリのあるわかりやすさを狙ったハリウッドらしいストーリーを排除したオリジナルは、主人公マイルスの逡巡する姿がとても印象に残り、共感という言葉がぴったりだった。
その点、本作はきれいすぎるくらいわかりやすい「単純明快な」ストーリーである。さらに、道雄の恋の相手役となる鈴木京香が演じた麻有子の、道雄のように「これからの生き方」に思い悩む姿がクローズアップ。実は、こちらは男性だけでなく女性をも意識した作りになっているのだ。
「寄り道、脇道(sideway)」という名のタイトル通りに、まさに、この映画は「人生の寄り道」を描いている。でも、つきつめて見ればオリジナルのアメリカ映画こそがこのタイトルにふさわしく、かつ「ワイン」が人生の隠喩にもなっているよく練られた作品なのだ。だけど本作は決して悪くはない。オリジナルを選ぶか、本作を観るかは「ワイン」と同じ。あなたのお好みでお選びあれ。
大型の馬鹿犬のような、野蛮で、猥雑なジャックが下半身の赴くまま、鼻をへし折られても女性に手を出してしまう。あげくに、間男の現場を押さえられそうになり、夜明け前に素っ裸でモーテルへ逃げ帰ってくる。
一方マイルスは別れた嫁の再婚話に動揺し、あげくに自身の小説が出版されないことを知り、ワイナリーで大暴れ、よっぱらって人のワイン畑を暴走する――。
アメリカという異国の地でニッポン人が同じような行動をとるのは、たぶんないだろうなあ。と思ってみていたら、登場人物の職業やキャラクターがほどよくアレンジされていた。
小説家志望の教師マイルスは、さえないシナリオライターの道雄(小日向文世)に。親友は、逆玉婚で、1週間後に結婚を控えたという設定は同じだが、
肉食系キャラから乗りのいい日本人キャラ(生瀬勝久)に。ふたりとも「楽しき輝ける時代」バブル時代を経験したような雰囲気があるのが特徴的だ。
この映画は女性の出会いは多少できすぎに見えなくもないが、オリジナルのように、偶然の出会いからたった1週間で、ダメダメな人生の棚卸しは日本人にとっては、無理がありすぎる。その点ご都合主義的ではあるが、「幼馴染」との再会(かつ昔片思いだった)という設定のほうが、キャラクターには共感しやすいはずだ。
そして、青春を謳歌していた「楽しき輝ける時代」(留学生活)が映画の核となることで、人生下り坂にさしかかった年齢と世知辛い世の中という現実を比べ、主人公たちと同じような経験をしたあの頃に思いを馳せた中年諸氏も多いことだろう。
メリハリのあるわかりやすさを狙ったハリウッドらしいストーリーを排除したオリジナルは、主人公マイルスの逡巡する姿がとても印象に残り、共感という言葉がぴったりだった。
その点、本作はきれいすぎるくらいわかりやすい「単純明快な」ストーリーである。さらに、道雄の恋の相手役となる鈴木京香が演じた麻有子の、道雄のように「これからの生き方」に思い悩む姿がクローズアップ。実は、こちらは男性だけでなく女性をも意識した作りになっているのだ。
「寄り道、脇道(sideway)」という名のタイトル通りに、まさに、この映画は「人生の寄り道」を描いている。でも、つきつめて見ればオリジナルのアメリカ映画こそがこのタイトルにふさわしく、かつ「ワイン」が人生の隠喩にもなっているよく練られた作品なのだ。だけど本作は決して悪くはない。オリジナルを選ぶか、本作を観るかは「ワイン」と同じ。あなたのお好みでお選びあれ。
