映画[ MAN ON WIRE ]地上411メートルを歩く男 | アロハ坊主の日がな一日

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映画[ MAN ON WIRE ]地上411メートルを歩く男
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    映画[ MAN ON WIRE ]を渋谷シアターNで鑑賞。

    1974年、ニクソン大統領の前代未聞の醜聞による辞任の前日、
    地上411メートル、WTCのツインタワーに
    一本のロープをかけて綱渡りした大道芸人がいた。
    本作はその軌跡に迫ったドキュメンタリー。

    本年度の米アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞を受賞している作品で、歴史に残るその偉業が成し遂げられるにいたったスリルとドラマのある背景と、偉大なプロジェクトゆえの、その後の主人公のはかない余生が描かれているのが、よくあるヒーロー伝記的な作品とは一線を画していて面白い。
    マンオンワイヤー
    今はなき「ワールドトレードセンター」が舞台という希少性はあるものの、
    たかが「綱渡り」でしょー。何がそんなに面白いのか。
    観るまでは、半信半疑だったが・・・。
    いやあ、魅せられちまったよ。

    チャンスは一度。失敗したら、二度とできない神業的犯罪ゆえに、“綱渡り”本番もさることながら、それを成功させるための準備段階がとてもスリリングで、面白い。ビジネスマンや作業員に変装してタワーに登り、暗くなるまで屋上近くのフロアの防水シートで隠れ、時を待つ。思うようにはかどらない、暗闇の中での作業。ロープをわたすために、向かいのタワーに放った矢はビルの角の先端で不安定な状態で、今にも落ちそうになっている。
    プロの強盗一味による犯罪計画をも彷彿とさせる息もつかせぬほどのタッチ。ちょっとしたクライムサスペンスだ。

    名声や報酬の得られないにもかかわらず、フィリップ・プティの芸に魅せられて最後の最後まで協力した者から、犯罪行為に手を貸すことにおそれ、途中で逃げ出した者まで、このプロジェクトを支えた全ての仲間たちが証言者として登場する。
    それだけ、関わった者にとってはこの偉業には何かしらの思いを持っている。もしくはフィリップ・プティにはある種の山師的魅力があるのだろう。

    WTCでのフィリップ・プティの違法行為を取り押さえた警官も、彼の芸を観て「すばらしい!」と賞賛する。しかし敵であるはずの警官さえも、感動を口にするフィリップ・プティ(の技)ではあるが、彼の人生は決してハッピーなものではない。

    「人生の目標を成し遂げてしまったフィリップには、昔ほどの魅力を感じられない」といった恋人の言葉は衝撃的。フィリップ・プティのその後は、「ツインタワー」のそれとオーバーラップし、結末にはせつない余韻がのこる。アメリカの病巣を描いた前作[ キング 罪の王 ]のジェームズ・マーシュ監督ならではのエンディング。

    これは、人々に感動を与えたできごとという側面の一方で、それを成し遂げたフィリップの「燃え尽き症候群」的の余生という、人間の影にも触れた重層的な作品なのである。いやあ、面白い。
    | 映画(ドキュメンタリー) | 13:37 | comments(0) | trackbacks(0) |
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