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映画[ 愛を読むひと ]1ページで終わった恋が、世代を超えて語り継がれる
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    映画[ 愛を読むひと ]を吉祥寺で鑑賞。

    本作はドイツ作家、ベルンハルト・シュリンクのベストセラー小説「郎読者」の映画化である。監督はスティーヴン・ダルドリー。この監督、好きなんですよね。[ めぐりあう時間たち ]は少々難解だったけど、[ リトル・ダンサー ]は、今改めて観ても涙してしまう名作(ドラマ)。

    日本アカデミー賞を独占した[ フラ・ガール ]なんて、ちょっといいすぎかもしれないが日本版[ リトル・ダンサー ]ですからね。ほんとに。

    スティーヴン・ダルドリー監督は、ベテラン監督にみえるが
    実は舞台演出家が本業で、これでまだ3作品目。
    ぜひ彼にはもっと撮ってほしいもんである。
    the reader
    舞台は1958年、ドイツ。15歳のマイケル(デヴィッド・クロス)は21歳年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)との恋に落ちる。やがてハンナは彼に本の朗読を求めるようになり、それが二人の愛し合う前の儀式となった。
    だが、ある日突然ハンナは姿を消してしまう。8年後、法学専攻の大学生になったマイケルは、法廷でハンナと衝撃の再会を果たす。彼女は被告の一人として戦時中の罪を裁かれ、ある秘密を守るため不利な証言を認めて無期懲役の判決を受けるのだった。(パンフレットより)

    去年に原作本を読んでいたので、ハンナの誰にも知られたくない秘密や、結末など、あらためて驚くことはないだろうと思いきや・・・・、これがびっくり。もはやこの原作を、心から惚れ込んだ人たちの手により作られたことを疑う余地もないような出来ばえであった。

    マイケルがハンナの真実を知っていた上で、なぜ、彼女を助けなかったのか

    このあたりは、彼の心情的な部分が大きなウェイトを占めているだけに、原作そのままを映像にすると、非常にわかりにくいものになったはず。

    それを本作は非常にわかりやすく表現していた。

    マイケルが、アンナに面会を申し込むが、直前で勇気をなくしてしまう。
    この戸惑いを・・・、「人の流れに逆らって面会に向かうマイケルが、途中でふと立ち止まる」という、彼の心象風景のような映像として描いているのだ。

    マイケルがここにいたるまでに、原作と異なる部分がある。原作では、マイケルがハンナを助けようと相談するのが自身の父親だが、本作では特別ゼミのロール教授(ブルーノ・ガンツ)へと変更されているのだ。それにより、他のの学生たちの意見にも見られるように、ナチズムの徹底的な糾弾ムードが色濃く映し出されている。

    もし、マイケルがアンナへ真実を公にすれば、当時ではナチ・ドイツに加担したともとれる言動に思われかねない。そうした風潮に逆らってまで、愛する者のためにマイケルは思いきった勇気ある決断ができなかったというわけだ。

    アンナが、非識字者として、知られたくない秘密を持っていたようにマイケルもまた、同じように、誰にも言えない罪の意識を持っていたのだ。

    ハンナのために、本の朗読をテープに撮り続けるマイケル。
    そして、彼の思いを受け取り続けるハンナ。

    原作にはなかった、シーンがもうひとつある。
    マイケルがハンナと最後に刑務所で会った時に言ったセリフ。
    「昔のことを考えるかい?」なんて含蓄のある言葉だろう。これで、二人は再び結ばれることがないというのが決定的になった瞬間でもある。

    それを悟ったハンナは、次の日に自らの命を絶つ。
    長く語り続けた愛の物語は、決して実らない物語だったのだ。

    本作ではラストに、マイケルが一人娘を連れて、亡きハンナの墓碑を訪れるシーンが描かれている。長く語り続けた愛の物語は、決して風化されず世代を超えて受け継がれる。原作と異なる、このほのかに未来が見えるエンディングが心地よい。さすがスティーヴン・ダルドリー監督。裏切らないねえ。
    | 映画(おすすめ) | 23:53 | comments(2) | trackbacks(8) |
    コメント
    ガラリーナさんへ
    おっしゃるように未練たら、たらの男ですよ、マイケルは。
    同性として情けない!と思う反面、
    そういう行動をしてしまう男心もちょっくらわかります。悲しい気もしますが・・・。
    だからなのか、一歩ひいてマイケルとハンナの恋を観ることができました。

    彼はたぶん「愛に生きれず」に「愛に囚われて」しまったんでしょうね。それでは、いい恋なんて一生できませんわな。
    | アロハ坊主 | 2009/08/19 12:28 PM |
    ふうむ、なるほど。これねえ、私はマイケルがもどかしくてしょうがなかったかな。
    彼のためらいはわかるけど、それでも愛に生きろ!と言いたくなってしまった。
    テープを送り続けることは、むしろ余計な愛に感じられた。弁明か、執着か、ちょっと自分中心的と。私にはね。
    | ガラリーナ | 2009/08/17 11:55 AM |
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