映画[ ニセ札 ]お金は作るものではない、使うものだ! | アロハ坊主の日がな一日

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映画[ ニセ札 ]お金は作るものではない、使うものだ!
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    映画[ ニセ札 ]をテアトル新宿で鑑賞。

    料理人、俳優、放送作家、そして芸人とマルチな活躍をみせるキム兄こと、木村祐一。彼の初の長編映画監督作品。本作は、ニセ札事件という戦後実際にあった話を、キム兄の芸人らしい批評的目線で、時に残酷に、時に滑稽に描かれている。脚本は、山下敦弘監督の戦友・向井康介、[ ラザロ ]の井上紀州、という職人的な面々と共同で手掛けて、キャストには倍賞美津子、段田安則、ムラジュン、三浦誠己ら個性的な俳優陣が、顔をそろえているのも注目だ。(・・・ムラジュンがまた一段と痩せたように思う。)
    にせさつ ニセサツ
    ときおり、インサートされる田舎の風景や建物→内部→人物と、寄っていく正統なカメラワークといい木村祐一監督は、これが長編映画初とは思えないくらい、演出がまとまっている。

    知的障害の息子・哲也(青木崇高)の石をカメと偽り楽しんでいた光景を、
    主犯格の佐田かげ子(倍賞美津子)が資金集めや、最初のニセ札使用に応用する、巧妙なアイデアや構成も遊び心あふれるキム兄っぽいウィットさを感じる。

    お調子者で軽薄そうなの大津シンゴ(板倉俊之)、職人気質の紙すきの橋本喜代多(村上淳)、元陸軍大佐の戸浦文夫(段田安則)、女性に弱く、プライドを人一倍持っている写真館を営む花村典兵衛(木村祐一)、印刷のプロフェッショナルで軍人体質の小笠原憲三(三浦誠己)、大津の愛人で飲み屋の雇われママ、島本みさ子(西方凌)、そして学校の教頭である佐田かげ子。

    それぞれ全く異なるキャラと、思惑を持った人たちゆえに、つねに不安定な集団だった。だからどこから坂道を転がりだすのか。個人的には、そこに注目していた。

    本作は「ニセ札」という“嘘”を象徴とした物語だけに、劇中の者たちだけでなく、観客をも騙すちょっとしたサプライズな作りになっている。資金集めの時に、大津が先生だった佐田に抱きつき、これ以上もない喜びを表現したシーンがある。必要以上にあおるシーンだと思っていたが、それもラストの裏切りへの前ふりとして描かれていたのだった。

    小笠原にもそして愛人からも、「アホな人」と呼ばれる大津。でも、その「アホな人」大津にそそのかされて、ニセ札をつくった他の者は・・・大津以上にアホな人たちということだ。結局人間は「金」に突き動かされて、善悪の分別をつかない卑小な生き物だということなのか。その対極にいるのが、息子・哲也で、ラストに欲にうらんだ人たちを前にして、お札を紙切れにして飛ばしてしまうのだ。

    この登場人物のなかで、唯一共感できるのは、佐田かげ子だけだろう。倍賞美津子は昔、松田優作主演のTVドラマ[ 探偵物語 ]では、女性っぽくないワイルドなキャラで、颯爽と敏腕弁護士を演じていたが、それとは一変して、本役では、皆を包み込むような母性ある先生を熱演。昔とは対極にある役どころだが、彼女でなければできなかっただろう。裁判所での語りも、悪い事をしているはずなのに、へんな説得力がある。

    しかし残念なことに、唯一共感できる彼女を通しても、村全体の幸せを代弁していたかというとそこは正直描ききれていなかったのではないだろうか。
    まさに「考えられへんぞ!」というシニカルなメッセージだけが強く残った印象だ。キム兄らしさでもあり、限界のようにも感じられた。
    ―――批判精神だけでは、未来は描けない。
    | 映画(日本) | 20:01 | comments(0) | trackbacks(1) |
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