映画[ フロスト×ニクソン ]負けられない闘いが、そこにはあった! | アロハ坊主の日がな一日

CALENDAR
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
RECOMMEND
MOBILE
qrcode
<< 映画[ 鴨川ホルモー ]京都の街を、小オニが闊歩する | main | 映画[ 罪とか罰とか ]成海璃子とか奥菜恵とか >>
映画[ フロスト×ニクソン ]負けられない闘いが、そこにはあった!
0
    映画[ フロスト×ニクソン ]を新宿武蔵野館で鑑賞。

    第37代アメリカ大統領リチャード・ニクソン。そしてかたやコメディアン出身のセレブなテレビ司会者デビッド・フロスト。1977年、4500万人の国民が釘付けになった伝説のインタビュー番組はどちらにとっても負けられない闘いだった。この映画は、その番組の表と裏で繰り広げられた息詰まる駆け引きにスポットをあて、元大統領と、コメディアン出身のテレビ司会者の人物像に迫ったヒューマンドラマ。

    監督は[ 天使と悪魔 ]が公開中のロン・ハワード。脚本は[ クイーン ]でアカデミー賞候補に挙がったピーター・モーガンが担当し、本作のオリジナルである舞台劇でも脚本を手がけている。ニクソンには名優フランク・ランジェラ。フロストは、[ クイーン ]のブレア首相役でブレイクしたマイケル・シーンと、ふたりともに舞台でも同じ役を演じているだけあって、真に迫った演技は注目だ。
    frost nixon
    冒頭からラストまで、息もつかせぬ面白さがあった。舞台も、そうとう人気があってあろうこの作品の魅力はいったいどこなのか。自分なりに考えてみた。

    この映画には2つのことが示されていたように思う。
    ひとつは「手負いの狼が巨象の一瞬のすきを見逃さなかったこと」。
    もうひとつは「勝ち負けではない普遍的な真実が描かれていること」。

    まず一つ目の「手負いの狼が巨象の一瞬のすきを見逃さなかったこと」。
    もちろん巨象とは元大統領のリチャード・ニクソンで、狼とはデビット・フロストのこと。ニクソンの一瞬のすきとは、ラストのラストまで圧倒的有利をおさめていたニクソンが泥酔して、フロストに電話をかけたことだ。「語るに落ちる」とはこのことで、これにより一気に形勢が逆転する。無敵の巨象と思っていたニクソンにも弱点はあったのだと、フロストはさぞや思ったことだろう。後日談ではあるが、ニクソンは、この日フロストに電話したことを全く記憶していなかったのだ。

    それまでのフロストは、3大ネットワークにこのインタビュー企画を持ち込んでも、イギリス人の軟弱なテレビ司会者に、大物政治家のインタビュアーなど務まるはずものないと、けんもほろろにつきかえされたり。番組を自主制作して放映権を売る方向で実現したものの、決まらないスポンサー集めのために、インタビュー中も空き時間を利用して東奔西走する。まさにフロストは、手負いの狼といったところだ。
    さらに、インタビューは事前に質問を練り上げ臨んだものの、まんまとニクソンのペースに持ち込まれ、焦りと苛立ちがつのる一方。それでも平静を装い強がってみせるフロストに、ほとんど観客は共感していたにちがいない。だから、ラストの大逆転劇はさぞや胸のすく思いだっただろう。語りも、周辺の人たちによる証言インタビューというドキュメンタリー的手法が、物語に説得性をもたせている。

    そしてもうひとつ。単なる勝負ごとで終わらない結末も見逃せない。それはラストでニクソンが語った真実。ニクソンの腹心の部下、ケヴィン・ベーコン演じたジャック・ブレナンが制止したにもかかわらず、元大統領は、それを無視して謝罪したのだ。

    ニクソンがこの番組へ出演したのは、政界復帰への望みを託したのではなく
    自らの口でその真実を語り、自由を得たかったから。またフロストにとっては、劣等感を持ちつづけ、つねに孤独に身を投じてきた自身と同じ匂いをニクソンに感じとったのではないだろうか。

    ラストでは、フロスト以上にニクソンを好意的に思った人が少ないなかったはずだ。見せ場は、あくまで二人の心理戦ともいえる戦いではあるが、テーマはそれだけに終わらない。だからこそ、本作は見応えがあったのだと思う。
    | 映画レビュー | 18:42 | comments(0) | trackbacks(0) |
    コメント
    コメントする









    この記事のトラックバックURL
    http://blog.alohabouz.jp/trackback/847442
    トラックバック