映画[ 遭難フリーター ]叫ばなければ、誰も振り向かない | アロハ坊主の日がな一日

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映画[ 遭難フリーター ]叫ばなければ、誰も振り向かない
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    映画[ 遭難フリーター ]をユーロースペースで鑑賞。

    最近ドキュメンタリー映画は、[ 小三治 ][ ヤング@ハート ]などの娯楽ものが続いた。そこで、今回この社会派映画[ 遭難フリーター ]をチョイスした。

    日本の下流社会での暮らしぶりを描いていることも注目だが、監督自身が、その下流社会にどっぷりと身を置く者として、何をメッセージするのかが、非常に興味がわいた。
    そうなんフリーター
    では、簡単にあらすじから・・・。
    監督であり、主人公の岩淵弘樹くん・23歳は、あこがれの東京へ少しでも近づくために、仙台の実家を出て埼玉にあるキヤノンの工場で働く派遣社員。ひたすらプリンタのインクに蓋を取り付ける毎日だ。たまに会った大手レコード会社で働く友人は彼の就職観について批判してくる。そんな中岩淵くんは非正規雇用労働者の権利を求めるデモやトークイベントに参加。それがきっかけで関西テレビやNHKの番組で取り上げられることになるのだが……。

    ◆◆◆

    キモイ!そう叫びたくなるほどの、ブサイクな岩淵くんの寝起きの顔。
    朝のTV番組を見ながら、コンビニで買ってきたであろう、パンや弁当をただひたすら食べるシークエンス。下流社会に属する一般ピーピルたちの日常とも呼べる、象徴的な彼の姿が印象的だ。

    そこには“食を味わう”という楽しみはなく、今日を生きるための“腹を満たしてくれる食”が描かれ、そんな惨めな生活とは対照的にTVでは「高利益をあげる企業」が映り出す。
    TVから流れる世界と、彼の日常は、繋がっているはずなのに、なぜか別世界にように見え、それに戸惑う岩淵くん。いわば彼のメッセージが、このシークエンスにあるといっても過言ではない。それが一つの発端となって彼は、その答えを模索しはじめる。
    高校時代の友人には、やりたいことにチャレンジせずに今の環境にあぐらをかいているだけだろ、と説教をくらい、デモ活動に参加しては、何の変化も得られぬ現状にいらだちをつのらせる日々。見つからぬ答えを求め、居酒屋で同僚たちに話をするが、彼らから出てくるのは仕事の愚痴ばかり・・・。負け犬と呼ばれても致し方ないような、無様な様子が映し出される。

    しかし観ていても、岩淵くんにそれほど深刻さを感じられない。それは彼がこの仕事にこだわる理由が今ひとつ、ピンとこないからだ。このご時世、若さを職につく魅力にするのは反時代的だが、しかし23歳という年齢なら、この仕事でもがいているよりも、自分がやりたいことにチャレンジできるはずだ。なのに、彼は借金返済と、憧れの東京に近づくためにこの「出口の見えない」仕事を続けているというのだ。切羽詰まった状況のようで、実はやりたいことがみつからずに苦しみながら喘いでいるモラトリアム青年がそこにいる。

    それでも、個人の思いを無視した「勝ち組、負け組」論を展開するTVメディアという巨大な力の下で生きる“勝ち組”のNHKディレクターくんに、“負け組”岩淵くんによるアイロニーがこもったカウンターパンチのメッセージは、なかなかの小気味よさである。マスコミが作り出した「勝ち組、負け組」の図式が、虚像だったと自らが認めたような・・・映像。実は、彼がこの作品を通して訴えたかったのはこれだったのかも、という思いさえしてくる。世の中の複雑さに反して、わかりやすさを求めるがばかりになんでも“定義”して伝える巨大組織のマスメディアに、非力であるが自由な物言いができる個人メディアの叫び。すこぶる気持ち良い。

    そしてクライマックス。岩淵は夜、雨の中をひたすら海に向かって歩き続け、明け方に、ようやくその目的地(海)へたどりつく。最初から海を目指したというよりも、歩いているうちに、彼は「海」というゴールを見つけるのだ。まさにモラトリアムの遭難フリーターの心象を描いたようなシークエンス。
    生きづらい世の中だからこそ、また不器用な生き方しかできない自分だからこそ、そこに必要なのは“意思”なのである。たどってきた道を振り返れば、最後には結局自分を内面を見つめ直さないといけなくなる。このシークエンス、少しうざい感じもするが、オデは好きである。

    結局なんだかんだいっても、最後には・・・岩淵を応援したくなる。
    そうだ!ブサイク!叫び続けろ!
    | 映画(ドキュメンタリー) | 15:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
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