映画[ 小三治 ]私は噺家には、向かないねぇなぁ | アロハ坊主の日がな一日

CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< August 2018 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
RECOMMEND
MOBILE
qrcode
<< 映画[ チェ 28歳の革命 ]&[ チェ 39歳別れの手紙 ]チェ、君は狂ってるな! | main | 映画[ 旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ ] >>
映画[ 小三治 ]私は噺家には、向かないねぇなぁ
0
    映画[ 小三治 ]をポレポレ東中野で鑑賞。

    渋谷や吉祥寺で味わえない加齢臭に満ちた映画館。
    とはいっても、映画館自体ではなく
    客層がみんな1000円で入館できるご年配の方々ばかりだから。
    でもよく嗅いでみると、自分からも同様な香りが・・・。ショック。
    平日の朝一の上映にも関わらず大入満員。

    これだけ入るのも、志ん朝や小さん亡きあと、落語界を牽引している落語家の一人、小三治師匠のドキュメンタリー映画ですから。当たり前か。
    小三治師匠の落語は、ネタによっては「まくら」だけで終わるときがあるというぐらい「まくら」が長い。でも面白いから、その「まくら」を楽しみに寄席を足を運ぶファンが多いという。

    小三治師匠は、ある独演会でこんなことをいっている。「何気なく会話している二人の関係がおのずと浮かびあがってくる。そういう生活感みたいなものが落語の魅力だと、わたしは思っています。落語は笑わせればいいってもんじゃない」(『この落語家を聴け!』より抜粋)
    決して観客を笑わせようと前に出るのではなく、あくまで、高座で日常の会話が繰り広げられているかのような引きの芸。独特の「間」が、ひょうひょうとした雰囲気をかもし出し、観客を引き込んでいく。

    でもこれは、小三治師匠本来のキャラクターというよりも
    長年落語と格闘しながら身に付けた話術なのだ。

    「私は95点を取った答案の前で、なぜ100点とれなかったのかと
     正座させられた人間だから、こういう風になったんでしょうね」
    「私は噺家には向かないねえ」など、ぼそりと発した言葉には、今なお自身の芸に満足せず、高みを求めて芸に打ち込む師匠の生きざまが見える。

    弟子たちへの細かい指導はほとんどやらないのも、小三治師匠ならではかもしれない。
    「柳家三三」の真打ち記念公演での口上シーンで・・・。
    「三三は、弟子になるまで落語をやったことがなかった。
    だから、はじめは大きな声でやれ!といった。・・・・・しばらくして、今度は「落語に見えるようにやれ」といった。落語に見えるようにやるには、どうすればいいか。自身で考えながらやることで自分の芸が身に付いていく・・・(たしかこんな内容)」

    「もうちょっと、そこだよ。強く。そうそう。・・・」
    という小三治のセリフにかぶるように、楽屋の隅で練習にはげむ弟子の柳家三三の姿が映し出される。しかし、それがひきになっていくと、手前で別の弟子に肩をもまれている小三治の姿が・・・。なるほどね。先の三三での口上が良かった分、この落差ある映像が、力の抜けた小三治師匠の噺にも似て、笑えてくる。

    随所に顔を出す兄弟子入船亭扇橋師匠も、小三治師匠の新たな一面を引き出してくれる。温泉では子供のようにじゃれあい、食事時の会話は、まるで漫才のよう。
    小三治師匠が扇橋師匠に「鰍沢」という噺を演ってみせてくれるように、せがむが、扇橋師匠は演る演らぬともいわず、「●●●って、とこが難しいだよな」とかいって、にこにこ、のらりくらりとしていて、判然としない。
    どこか抜けたようなキャラの扇橋師匠と気まじめな小三治師匠。
    この対照的な2人が、舞台にあがってやりとりをすれば絶妙に面白い。

    この映画のラストは「鰍沢」で締めくくられるが、これは小三治師匠の演目としては非常に珍しく、ファンを狂喜させた一席である。(都内四ヶ所の独演会で立て続けてやったが)場所によっては、いつものマクラなしでやったという。長い噺ではあるが、できれば全て観てみたかった。

    「三三は落語には真面目に取り組んでいるし、そこそこできる。でも、そんなことより、三三が『どんな人間か』ということが噺に出てこなければいけない。人間としての深みがあってこその落語であり、そこが三三に欠けている」(『この落語家を聴け!』より抜粋)
    これは、「柳家三三」の真打ち記念公演で師匠小三治がいった言葉。

    作り手の意識が先行したメッセージや凝ったカメラワークを排し、正攻法で、小三治師匠に迫った本作は、まさしく小三治が弟子に語った落語論と通ずる。「人間・小三治」の深みを、ぜひご堪能あれ。

    でも、落語はやはり寄席に足を運んで観るのが一番です。
    | 映画(ドキュメンタリー) | 17:56 | comments(0) | trackbacks(1) |
    コメント
    コメントする









    この記事のトラックバックURL
    http://blog.alohabouz.jp/trackback/820684
    トラックバック
    小三治■落語ファン以外の人こそ見るべき作品
    小三治とは、もちろん江戸落語の第一人者、現在の落語家の代表的存在でもある10代目柳家小三治のこと。その彼を3年半かけて追ったドキュメンタリー映画。このような映画がシネコンにかかるというのは非常に違和感がある。上映は1日に2回だけ。2週目の土日は昼間に1
    | 映画と出会う・世界が変わる | 2009/06/05 9:33 AM |