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映画[ 大阪ハムレット ]関西弁から伝わるものとは・・・
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    映画[ 大阪ハムレット ]をシネスイッチ銀座で鑑賞。

    原作は、コミック本で出たときに読んでいたので、面白いのはしっていた。
    だからこそ、短編を長編した時にストーリの破綻や、主人公たちの個性キャラが損なわれないか、むしろそちらのほうが心配だった。・・・が、それを本作は大きく裏切ってくれた。なかなかの秀作です。

    大阪の下町で暮らす久保家。昼は病院でヘルパー夜はスナックと、働き者のお母ちゃん・房子(松坂慶子)は三人の息子を抱え、一家の大黒柱となっている。お父ちゃん(間寛平)が急死し、弟と名乗る男が転がり込んできた。
    一方、中3の長男・政司(久野雅弘)は、偶然出会った大学生と恋人同士に。やんちゃな中1の次男・行雄(森田直幸)は、柄にもなくシェイクスピアの「ハムレット」を読み始める。三男の宏基(大塚智哉)は「女の子になりたい」と宣言してクライスメイトにからかわれ…。(gooより)

    東京で暮らしていると「関西弁って、いいですね!」と言われることがある。特に関西と縁もゆかりもない人に。理由を聞けば、「関西弁は面白いけど、きつくて怖い」というイメージをだったが、実際聞いてみると「温かくて、安心する」のだそうだ。

    だから、そんな人たちには
    「かまへん、かまへん」
    「そやねんなあ〜」
    「そりゃあ、しゃあない」
    などの関西弁の言葉は、響きもあいまって人気が高い。

    この感想を聞いたとき、オイラは関西(弁)が持つ魅力は、「面白さ」だけじゃないというのを実感した。そしてこの時の感覚は、本作「大阪ハムレット」を観たときにも通ずるものがあった。

    個性的な息子たちを見守るオカン・房子(松坂慶子)。少し耳障りにも聞こえる(違和感のある)関西弁や、余計なことを口にしないどっしりとかまえた風格。正直いって、威勢のいい下町の関西のおばちゃんとはちと違うが、彼女の漲る母性は、耳を心地よく刺激する、関西弁の言語(音もふくめて)パワーが持つ、あの温かさや柔和さとつながるものを感じるのだ。

    また、子供たちはそんな何事にも動じない懐の大きさ母親に甘えることなく、自らに立ちはだかる壁に越えんと格闘する姿も、素敵なのだ。「河川にむかって立つ、三人の後ろ姿」にも、象徴されているようだ。いい映画って、こんな画(え)になるシーンが必ずあるんだ。

    本作は、第1話「大阪ハムレット」第2話「乙女の祈り」(一部第6話も入っている)第4話・第5話「恋愛」から構成されており、各エピソードの主人公たちはオリジナルではまったく血のつながりのないの人物だったのを、兄弟という設定にして、ひとつのストーリーに仕上げている。オイラが懸念していたような3人の個性は失うことなく、原作よりもイキイキとしてみえるくらいだ。

    同級生に「きしょい!」と馬鹿にされようとも、女役を最後まで演じきる三男坊。周囲から好奇なまなざしをむけられても好きな彼女をおんぶして、駅の階段をかけあがる長男。本当に自分にとって大切なものは何かと自問しながら、ハムレットのセリフを声に出し、堤防をひた走る次男。生きていることが実感できる、躍動感がそこにはある。

    趣向や考え方が人より少し異なっているため、他の人よりも多くの、壁やハードルがあり、それを乗り越えなきゃならない。「自分らしく生きる」というのは、そういうことなのだ。(原作にはないが)岸部一徳が扮した叔父さんの仕事を断るエピソードも、まさにその代表的なものだ。

    「生きとったら、それでええやん」
    生きていくこと自体、大変な彼らが言うからこそ、この言葉は重みがある。
    | - | 22:33 | comments(0) | trackbacks(7) |
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    『大阪ハムレット』'09・日
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