映画[ 青い鳥 ]本気を伝えた映画 | アロハ坊主の日がな一日

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映画[ 青い鳥 ]本気を伝えた映画
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    映画[ 青い鳥 ]を新宿武蔵野館で鑑賞。

    作家重松清氏の連作短編集。本作はそれを映画化したものだ。
    監督は中西健二氏。はじめて聞く名前。それもそのはずで、これが劇場映画の監督デビュー作。パンフレットのプロフィールをみると、[ 寝ずの番 ][ 地下鉄に乗って ][ ミッドナイトイーグル ]など、様々な作品で助監督を務めており、キャリアはずいぶん長いようだ。

    職人っぽい正統派の監督らしい演出だが、そこには静謐ながらも力強さメッセージが感じられる。小品としてはぐっとひきこまれる良質な作品じゃないだろうか。

    いじめで自殺未遂事件が起こった東ヶ丘中学2年1組。自殺を図った野口の転校後、クラスに臨時の担任として村内(阿部寛)が赴任してきた。極度の吃音の村内に生徒たちは苦笑するが、生徒たちに彼は「忘れるなんて、ひきょうだな」と言い放つ。そして片付けられた野口の机をクラスに戻させ、毎朝無人の机に挨拶し続けた。そんな村内に生徒たちが反発する中、事件で深く悩む生徒・園部(本郷奏多)はその姿を複雑な想いで見つめていた。(gooより)

    いじめを起こした者は反省文を6枚以上書くとか、問題が起きてからの対処法として、みんなで一からやりなおそうとか。一番考えなければならない子供たちの思いは蚊帳の外で、教育委員会や父兄に対する教師や学校のパフォーマンス(体裁づくり)のため、数々の施策がおこなわれている。本作はそんな多くの小学校で取り入れられているいじめに対する解決法に、一石を投じている問題作のようだ。

    臨時で赴任する村内先生は吃音である。人にとって普通に言えることも、うまく話せない。だからこそ人一倍真剣に話し、子供たちの話も真剣に聞こうとする。「彼はいま、本気で言った。本気で言ったことは、本気でききききき聞かないないと、だっ、だめなんだ」「いじめは・・・・ひとをきっ、嫌うから、いじめになるんじゃない。人数がたっ、たっ、たくさんいるから、いじめになるんじゃない。ひとを、踏みにじって、くくっ、くっ、苦しめようと思ったり、くくっ、くく苦しめていることにきっ、気づかずに・・・くくっ、苦しくて叫んでいる声を聞こうとしないのが、いじめなんだ」彼が放つ言葉は新鮮だ。だからこそ、生徒たちは耳を傾ける。

    弱い部分を持った人間は魅力的だ。なぜなら、誰よりも人間の弱さを知っているから。覇気のなさ、背中をまるめて佇む姿。どもりの先生を、いつにない世間離れした風貌で体現した阿部寛の演技がひかる。

    一方、廊下。サンダル履きでずんずんと歩く。まるまった大きな背中。チャイム。教室に入る足。起立、礼。教壇から生徒たちをゆっくりと見渡す。というこの繰り返し描かれる一連の朝のシーンにより、村内の本気の姿勢が、強調して表現されている。彼の中にある静かだが、力強い思いをそこに感じるのだ。非常に職人っぽい演出。ひしひしと伝わってくる。

    もう一人の主人公、園部を演じた本郷奏多の存在感のある演技もいい。無人の机に「野口くん、おはよう」と挨拶する村内先生へ反発をしながらも、どこか、自分の中にある罪悪感を解放してくれるのでは・・という期待が彼の繊細な表情に見え隠れしている。

    村内は知っている。教師は完璧な人間じゃないってことを。教師が生徒にできることは、そばにいてやることだけだと。だから彼は多くを語らない。
    弱き者が、勇気を持てる作品だ。
    | - | 23:23 | comments(0) | trackbacks(1) |
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    「青い鳥」
    静かで、そして胸に堪える映画でした
    | 心の栄養♪映画と英語のジョーク | 2009/08/24 9:12 AM |