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映画[ R246 STORY ]R246は、映画監督への道
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    映画[ R246 STORY ]を渋谷シアターTSUTAYAで鑑賞。

    この作品の記者発表会を、その当時ワイドショーでこぞって取り上げていた。本作は、東京千代田区をスタート地点に、神奈川県を縦断し、静岡県沼津市へといたる、全長122.7KMに及ぶ、国道246号線を題材にした、6人のアーティストによるオムニバスムービー。たぶん海外の著名な3人の監督が東京を舞台にした[ TOKYO! ]に相乗りして作られたにちがいない。こんな背景があるので、そんな期待もしていなかったが、これがなかなかの掘り出し物。
    r246 国道246号線
    監督は中村獅童、須藤元気、m-floのVERBAL、RIP SLYMEのILMARI、浅野忠信、ユースケ・サンタマリア。なかなかの個性派ぞろい。特にユースケの作品は◎。
    このオムニバスは、どうもいろんな条件があるようだ。監督業だけでなく、必ず作品のワンシーンに登場しなければならないとか。映画製作、はじめてというのもわかっている中で、辛口なコメントを書かせていただきやす。

    ●「JIROルー伝説のYO・NA・O・SHI」 監督/中村獅童、脚本/河原雅彦
    タイムスリップを終え、21世紀の未来から江戸のこの世に戻ってきた清水次郎長(的場浩司)。今度は親分の命をうけて、森の石松(中村獅童)が世直しするために、キャデラックに乗って21世紀の東京へ向かう。はたして、親分の命をはたし、無事に江戸にもどってこれるのか?

    任侠+ロックンロールで、ケレンミたっぷりのストーリーがいかにも獅童監督らしい。本人演じる森の石松が親分に「現代の若者は、女のケツばっかり追っかけて、義理も人情も忘れちまったんですか!」と嘆くシーンは、「てめえのこった」と思わずべらんえ調でスクリーンにつっこみそうになる。監督業が初めてにしては、演出も編集も、かなり凝っていて驚かされるが、どうもこの作品に元ネタがあるらしいと聞き納得。それはキャロルの解散DVD。かっこよかったのに、がっかりだ。しかしあの堀江(ほりえもん)は、太りすぎだろ。石松も、もっとガツンといかんと。


    ●「ありふれた帰省」 監督/須藤元気、脚本/須藤元気・吹原幸太
    R246で交通量調査のアルバイトを行なう4人の若者。その中に、はぐれてしまった恋人を捜す為、交通量調査を行なう若者がいた・・・独特な世界観で描かれたSFストーリー。

    これも、不思議くんの須藤監督らしい作品。宇宙人が主人公なんて・・・。缶コーヒーのボスではないが宇宙人よりも日本人のほうが不思議だったり・・・。3人で缶コーヒーを飲むシーンがあるのも、そんなつながりのためか?でも相変わらず、須藤元気って演技が下手だな。


    ●「DEAD NOISE」 監督/VERBAL
    1970年代 、黒人アーティストによって誕生し、瞬く前に世界を席巻したHIP HOP。
    日本でDJを始め、ダンサーやラッパーなど、様々な才能あるアーティストが登場し誰もがHIP HOPの明るい未来を信じていた・・・。だが、時代は移り変わり、日本人のHIP HOP熱は次第に失われてしまった。今回は監督であるVERBAL自身が、聞きたくてもきけなかった数々の疑問を日本のHIP HOP界をリードしてきたアーティストへインタビュー。

    全作品の中で、このオムニバス企画を一番うまく活用していたのは、間違いなくVERBAL監督だろう。他の5作品と違って、テーマと表現が見事に合致。ただ、ナレーションが英語ってのが、自らの狙いと反するような…気がしてならない。多くの日本のHIP HOPを牽引してきたアーティストは、インタビューでアメリカのウケウリではなく、日本の詩(リリック)を大切していかないと・・・というような意見が出ていたのにもかかわらず、その演出ですか?

    本作は、他のどの作品よりもシリアスなテーマで、登場人物たちもみな真剣。だからこそ面白い、なんどもクスクス笑えるシーンがある。というのが、アーティストにインタビューするVERBAL監督の服装が普通じゃないのだ。それが彼の個性なんだろうけど、ひどすぎる。赤い帽子に、蝶ネクタイそして、黄色いフレームのグラサン。特に、サイバーエージェント藤田社長とのインタビューは、就活中の学生と社長面接のよう。全体的には、あまりの正攻法な表現だったので、もうひと工夫あってもよかったかも。


    ●「CLUB246」 監督/ILMARI 脚本/ILMARI、阿部沙織、山田卓レコード会社で一人個室にこもって勤務する内気な性格のメガネ男子・ケイスケ(石田卓也)には、片思いの同僚のサクラ(HARU)がいる。彼女に声をかけられるだけで、気分がいい。ある日、個室の小窓から社内を見ていたら、偶然にもサクラが落としたCLUBのチケットを発見する。彼女に渡すために、彼は初めて国道246号線沿いにあるCLUBまでやってくる。

    初めて入ったCLUBの異様な雰囲気や、そこで酒を飲み、見ず知らずの女子や男子と触れ合う高揚感は、酒を飲みすぎての酩酊ぶりで、非常にうまく映像化されていたように思う。でも・・・、シナリオが凡庸すぎていまいちノれない。ヒップホップと同じで、ノリでぐいぐい攻めたほうがよかった。画が説明っぽいし、照明が少なかったのか、表情はもちろん人物さえも特定できない。映画館のせいかもしれないが・・・、残念。


    ●「224466」 監督/浅野忠信 脚本/青山真治 編集/浅野忠信R246周辺を徘徊する、あやしい老人・虎吉(加瀬亮)と幼い少女・シドミ(大森絢音)。二人の前に、突然上半身裸の男が現れた。ロックンロール星からやってきたという、彼の名は246(浅野忠信)。彼は身体の一部であるドラムキットをなくしたことにより、身体が衰弱。故郷の星にも帰れない。そこで、虎吉とシドミは彼のために一緒にさがすことに。

    上半身裸のまま、苦痛で叫び歩き続ける246は、キリストを模しているのだろう。多くのメタファがあるようだが、いまいち話がつかめない。本作では浅野忠信と永瀬正敏が出会い対決するが、これは石井聰互監督の[ エレクトリック・ドラゴン80000V ]のアナザームービーなのか。よく似たアングルのシークエンスも出てくる。とにかくいまいち。


    ●「弁当夫婦」 監督/ユースケ・サンタマリア 脚本/ユースケ・サンタマリア、岡田俊平 
    同棲し、永く一緒にいることですべてが当たり前になった、とある男女の物語。朝早くに起きて、腕をふるって弁当をつくる女。弁当ができあがり、台所でたばこを一服中に、彼氏が起きてくる。「じゃあ、後ほど」といって彼女は会社へ行き、彼はソファで二度寝をする。

    女はR246沿いのビルにあるギャラリーに勤務し、男はそこから見える路上で
    移動式カフェ“金魚屋コーヒー”を経営。二人は昼休みに、近くの公園のベンチで、弁当を一緒に食べる。この間、二人にはほとんど会話はない。

    本作の魅力は、まずはシチュエーション(設定)が、よくできていること。例えば、R246をはさんでのオフィスと移動式カフェという職場というシチュエーション。女が、カフェに通う間に親しくなり・・・、だんだん深い関係になっていった。そして・・・。というように彼らが付き合うに至る過程が、このシチュエーションだけで見えてくるじゃないですか。限られた時間で作るショートムービーには、こんな雄弁に語るシチュエーションが大切なのである。

    そしてもう一つの魅力は構成と演出。本作は、先に紹介した一連のシークエンスによる反復で構成されている。この反復がエンディングでの見事な異化効果を表現する。そして反復に呼応するように、カメラはほぼ定点アングルで撮影され、笑顔のなかった彼女役の永作博美が、ラストでうれしさのあまりにっこりほほ笑む姿が男心に深くつきささる。あえて、このシーンを寄りではなくひきの定点にこだわって撮るところに、ユースケ監督の才覚をみたような。とにかく[ 弁当夫婦 ]はおすすめです。
    | - | 23:40 | comments(0) | trackbacks(0) |
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