映画[ 百万円と苦虫女 ]自分探しなんて、むしろしたくない | アロハ坊主の日がな一日

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映画[ 百万円と苦虫女 ]自分探しなんて、むしろしたくない
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    映画[ 百万円と苦虫女 ]をシネセゾン渋谷で鑑賞。
    1か月ぐらい前から『赤い文化住宅の初子』での検索と、TBをいただくことが多くなったのは、たぶんこの作品のせい、いやおかげだろう。蒼井優主演、そしてタナダユキ監督作品の[ 百万円と苦虫女 ]。紋切型な展開ではない、期待を裏切るエンディングは監督の哲学をも感じさせる。・・・でも個人的には[ 赤い文化住宅の初子 ]のほうが好きだなあ。そしてまた個人的にはタナダユキ監督の次回作[ 俺たちに明日はないッス ]が楽しみなオイラです。
    100万円とにがぬしおんな

    短大を卒業後、就職もできずアルバイト生活を送っている鈴子(蒼井優)。ひょんな事件に巻き込まれ傷ついた彼女は、家族のもとを離れ、貯金が百万円になるごとに誰も知らない土地へ移り住むことになる。海の家ではかき氷の作り方を褒められ、山の中の桃畑では桃のもぎ方がうまいと褒められる。屈託なく話しかけてくる今どきの青年にはつれない態は度をとっても、田舎の人の親切さには内心ほろりとする。そしてまた次の土地へ移動した鈴子を待っていたのは、甘酸っぱくも幸せな恋だった。(パンフレットより)


    パンフレットに書かれていたタナダ監督の作風・・・
    「アウトローな女性像を描くことにかけては右に出る者なし」。
    なるへそね。そう言われたら、強弱やキャラクターの違いはあるものの、決して世間へ媚びないロックな生き方を貫きながらも、一方では脆さや儚さを持っている主人公の女性たち。タナダ監督が脚本を手がけた[ さくらん ] のおいらん主人公きよ葉しかり、前作の[ 赤い文化住宅の初子 ]の初子しかり。そして本作の鈴子も・・・。

    家を飛び出し見知らぬ街へ。百万円貯まったら、誰も知らない新たな土地へと移動する。ひ弱さを漂わせながらも、芯がある主人公の鈴子。いやむしろその逆で、世間とは関わらないという強い意志を持つものの、人に巻き込まれてしまう体質とも読み取れる。このどっちにも転べる鈴子のキャラクターが、新たな土地から土地へ渡り歩く本作のロードムービーには、ピッタリなのかも。観ているうちにそんな気持ちがわいてくる。そう考えると、鈴子はとても難しい役なのに蒼井優は、自然体でなんなくこなしているように見える。一人になった時に、畳の上で大の字になって寝てしまうぐらい腑抜けになる姿は、蒼井優自身を見ているかのような錯覚に陥る。

    鈴子が新たな土地に訪れてはトラブルが起き、また次の土地へと・・・転々とするきっかけに、つねに男性が関わってくるのは、タナダ嬢の女流監督としての生き辛さにも見えると解釈するのは、深読みしすぎだろうか。昔の同級生数人に嫌がらせを受けても、立ち向かっていったお姉ちゃんを尊敬するようになった弟の拓也も、日々いじめっ子からの暴力に悩まされているというのも<男性=(暴)力>のメタファーと読み解けばつながる。

    世間に立ち向かっているアウトローな女性とは、監督自身であり、主人公たちは彼女の分身。そう確信したのは、鈴子が新たな街へ出発するのを想い留まらせようと中島亮平(森山未來)が追いかけたが・・・、それでも二人は出会えなかった。というあの予想を裏切るようなエンディングから。それは厳しい風吹く世を旅する鈴子が新たな世界へ一歩踏み出す、すがすがしいシーンだが、別の見方をすれば一般通念(今まで歴史的にこしらえてきたもの)の打破であり、それは監督の抵抗であり、監督のロック魂が表れている。でもあえてそれを感じさせず、作品に忍ばせるのがタナダ監督の哲学なんだろう。「自分探しなんて、むしろしたくない」と世間の風潮に流されない頑なな生き方を目指しながらも決して気張らず、「風が吹けば草花のように、たなびく」自然体の鈴子。主人公がいろんな見え方がするのもなんとなくうなずける。

    一番胸にジーンときたのは、昔の同級生たちに嫌がらせをされ、たちむかっていく鈴子(お姉ちゃん)の姿を目撃したあと、拓也が鈴子の手を握るあの一連のワンショット。団地をバックに奥行のある画。まだ初めてそれほど経っていないのに、涙が止まらなかった。
    | - | 23:16 | comments(2) | trackbacks(12) |
    コメント
    yama_eighさんへ
    いつもおおきにです。

    先が読める作品で、物足りなかったって感じですかね。蒼井優がとにかく光ってました。次は[ TOKYO! ]を観て、蒼井優の輝き度を見比べたいと思っております。

    ちなみにバックの赤は、私がいつも使っている椅子なのです。


    | アロハ坊主 | 2008/09/10 10:44 PM |
    どうも。今回はお互い書いていることにあまり共通点がないですが、『赤い文化住宅の初子』のほうが好きっちゅうのは一緒です。
    ところで最近パンフのバックが赤くなりましたね。絨毯っぽくないし、あれ何だろうとちょっと気になってしまいました。いやいや、余計なお世話ですね。回答不要です。捨ておいてください。
    | yama_eigh | 2008/09/10 12:08 AM |
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