アロハ坊主の日がな一日

最新映画のレビューを中心に、日々の雑感を書きとめる。
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映画[ ≒草間彌生 わたし大好き ]人生すべて、アート
映画[ ≒草間彌生 わたし大好き ]を渋谷ライズXで鑑賞。
毎回楽しみにしているこのシリーズ。今回は、前衛芸術家・草間彌生。あの水玉模様の作品とはかけ離れた彼女の容姿が、僕にとっては非常に気になる存在だった。これは見逃すべからずと、喜びいさんで、劇場へ。


ニアイコール草間弥生  わたし大好き near equal kusama yayoi 旭日小綬章を受章 第十八回高松宮殿下記念世界文化賞 絵画部門
様々な分野の第一線で活躍している(著名な)アーティストの創作活動を追い、普段見ることのできない彼(彼女)らの人間的な魅力に迫るドキュメンタリー、≒(ニアイコール)シリーズにとっては、今回初の女性アーティスト。そのためか、今までにない面白い映画になっている。
このシリーズはハンディカム1台、スタッフ(監督)1名で製作するはずだが、本作では監督(松本貴子)と撮影(馬場宏子)スタッフの二人で担当。こちらも女性。この製作側と被写体との関係性も映像に表れていたように思う。



1か月前に観た映画なのに、映像が鮮明に残っている。最初から最後まで一心不乱に見続けられるほど、とにかく面白い。
本作は草間さんの、F100号のモノクロシリーズ50作「愛はとこしえ」の創作活動(マジックペンのようなもので、ほぼ1年間50作品をひたすら書き続ける)を追ったドキュメンタリーで、どでかい真っ白なキャンパスに向き合う草間さんのスタイルが独特で、興味深い。
普通なら、下絵なるものを描いて完成させていくはずなのだが、彼女は頭の中にあるアイデアをただ感じるままにアウトプットするように、ペンを持てばよどみなく描いていく。
一歩ひいた場所から作品のバランスを見たりすることは一度もない。ただ描くことだけに没頭する。最初は、どうせ点や紀号の集合体のような作品を、適当に描いているだけだろうと思っていたが、完成した作品は非常に調和がとれていて、とてもキュート、なんである。また50作、同じようなトーンなのにどれ一つとして同じものがない。草間さんしかできないオリジナル。ぜったい、他の人には真似できないスタイルなのだ。

本作の終盤では、70年代アメリカで創作活動に没頭していた草間さんの若かりし頃の写真や、友達であるアメリカの芸術家が登場し語るのだが、その当時彼女が描いていた作品が、今とはまったく異なる非常にオーソドックスなものだった。普通に考えれば長年、芸術家としてやっていたら作風が変容しているのは当然で、実は作風と同様に、彼女の今のスタイルも、時とともに変わってきたのでは・・・。物心ついたころからのものではなく、しっかりとした基礎のもと、徐々に会得していった・・・というのが自然のながれかも。独創性を身につけるには、実は基礎の鍛練こそが重要なのかも。

つねに人目を気にせず、自身の作品をみては“これ、いいわねえ。素敵ねえ。”と自画自賛するあの揺るぎなき自信も・・・・、単なる自己愛の強い人ってだけでなく、芸術家(アーティスト)にとっては必要不可欠なもの。一般ピープルにとっては、人としていかがなものかと思わせる言動だが、あのくらいの気概がなければ、人様から注目を浴びるような作品なんて絶対につくれっこない。あえて誤解覚悟でいうと、どこか欠落しているような所があるからこそ、何か別の才能で秀でている。そんな見方もできる。

ナルシストであり、いくつになっても女性らしい面をもった芸術家。松本貴子監督が草間さんのお誕生日に、「先生、おいくつになられたんですか」と聞いた時、「なんで、そんなこと聞くの!」とすごい剣幕で草間さんが怒るシーンがとても印象的。巨匠といわれるくらいの立場なのに、達観するというくらいのお年になられているのに、今だに“美”や“生”にすごく執着している。そんな一面が垣間見れる。気取っているようで、気取っていない。こんな所がまた素敵なのである。松本監督は、草間の生き方や作品が好きだったということもあるだろうが、2人(松本監督と草間さん)の良好な関係が読み取れる。本作もまた、草間さんの作品同様に他では創れない。松本監督にしかできない作品と言えるかもしれない。

草間彌生の作品が好きじゃなくても、ものづくりに興味があるなら、見応えある映画だと思う。ものづくりにとって大切な何が描かれている。そんな気がするから。
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