2008.03.05 Wednesday
映画[ チーム・バチスタの栄光 ]
役割(環境)がその人を変えると言われるように、ピッチャーならどこか力でひっぱっていく強引さと、多少叩かれても気にしないくらいの図太さがあるものだ・・・。
このつまずきに象徴されるように、本作の魅力である、田口&白鳥という「京極堂シリーズ」の関口 巽&榎木津 礼二郎、「トリックシリーズ」の山田 奈緒子&上田次郎を彷彿とさせる迷コンビが、正直活かしきれていないのが悔やまれる。
昨年の[ アヒルと鴨のコインロッカー ]を手掛けた中村義洋監督にしては
これは・・・・ちょっと。期待していただけに残念だ。今夏に中村監督が手掛けた[ ジャージの二人 ]が公開されるが、それで手いっぱいだったのか、もしくは、この手の大作はちと苦手なのか。
小説は心臓移植手術の成功率100%だった、東城大学医学部付属病院心臓外科の権威、桐生恭一率いる『チーム・バチスタ』が3例立て続けに謎の術中死に遭遇。医療ミスか、単なる偶然か、それとも故意によるものかの、疑念を解明するために病院長・高階が、神経内科学教室の万年講師で『不定愁訴外来(別名・愚痴外来)』の責任者・田口公平へ内部調査を命ずるところから物語は始まる。彼の入念な聞き取りと、観察のもと、事は解決したかに見えたが・・・。そこへ外部からの調査者、厚生労働省の役人「ロジカルモンスター」白鳥圭輔が現れる。
田口は決して、馬鹿ではない。ただ、田口以上に白鳥が切れ者なだけなのだ。でも・・・、本作では臆病で昼行灯なグッチーがことさらに描かれ、最後までキラリと光る眼差しが見えない。どちらかといえば、白鳥との調査やこの殺人事件を通して、成長そして変容していく彼女の姿が、本作の中心にすえられている。(椎名の視点で描いた[ アヒルと鴨のコインロッカー ]と構造は同じ)
でも、この小説の面白さは、そこではないと思う。反りの合わない二人のドタバタぶりの一方で、捜査になると意外にも相性がよく、それぞれが不得手とする部分を補いながら、相乗効果を発揮する意外なコンビネーション。そしてその中で、自分に足りなかった白鳥の“アクティブフェーズ”を身につけた田口と、小馬鹿にしながらもどこか田口を一目置いている白鳥。と、お互い知らず知らずのうちにいつしか惹かれあっている二人の姿が垣間見られ、切ない話なのに、読後にはなぜか爽快ささえ感じる。
・・・そんなあたりが、映画では皆目描かれていない。
2時間で、このエンターテインメントを描こうなんてことがどだい無理な話なのだ。でも、小説を読んでいない人から観たら、本作はどんな感想を持つのだろうか。やっぱり誰が犯人なのかという、謎解きサスペンスなんだろうな。それでもイケてないと思うんだけど・・・。
映画よりも原作のほうがずっと面白いので、ぜひ小説をご覧ください。
このつまずきに象徴されるように、本作の魅力である、田口&白鳥という「京極堂シリーズ」の関口 巽&榎木津 礼二郎、「トリックシリーズ」の山田 奈緒子&上田次郎を彷彿とさせる迷コンビが、正直活かしきれていないのが悔やまれる。
昨年の[ アヒルと鴨のコインロッカー ]を手掛けた中村義洋監督にしては
これは・・・・ちょっと。期待していただけに残念だ。今夏に中村監督が手掛けた[ ジャージの二人 ]が公開されるが、それで手いっぱいだったのか、もしくは、この手の大作はちと苦手なのか。
小説は心臓移植手術の成功率100%だった、東城大学医学部付属病院心臓外科の権威、桐生恭一率いる『チーム・バチスタ』が3例立て続けに謎の術中死に遭遇。医療ミスか、単なる偶然か、それとも故意によるものかの、疑念を解明するために病院長・高階が、神経内科学教室の万年講師で『不定愁訴外来(別名・愚痴外来)』の責任者・田口公平へ内部調査を命ずるところから物語は始まる。彼の入念な聞き取りと、観察のもと、事は解決したかに見えたが・・・。そこへ外部からの調査者、厚生労働省の役人「ロジカルモンスター」白鳥圭輔が現れる。
田口は決して、馬鹿ではない。ただ、田口以上に白鳥が切れ者なだけなのだ。でも・・・、本作では臆病で昼行灯なグッチーがことさらに描かれ、最後までキラリと光る眼差しが見えない。どちらかといえば、白鳥との調査やこの殺人事件を通して、成長そして変容していく彼女の姿が、本作の中心にすえられている。(椎名の視点で描いた[ アヒルと鴨のコインロッカー ]と構造は同じ)
でも、この小説の面白さは、そこではないと思う。反りの合わない二人のドタバタぶりの一方で、捜査になると意外にも相性がよく、それぞれが不得手とする部分を補いながら、相乗効果を発揮する意外なコンビネーション。そしてその中で、自分に足りなかった白鳥の“アクティブフェーズ”を身につけた田口と、小馬鹿にしながらもどこか田口を一目置いている白鳥。と、お互い知らず知らずのうちにいつしか惹かれあっている二人の姿が垣間見られ、切ない話なのに、読後にはなぜか爽快ささえ感じる。
・・・そんなあたりが、映画では皆目描かれていない。
2時間で、このエンターテインメントを描こうなんてことがどだい無理な話なのだ。でも、小説を読んでいない人から観たら、本作はどんな感想を持つのだろうか。やっぱり誰が犯人なのかという、謎解きサスペンスなんだろうな。それでもイケてないと思うんだけど・・・。
映画よりも原作のほうがずっと面白いので、ぜひ小説をご覧ください。