アニメ[ ペルセポリス ]3代の母娘の絆が、未来を切り拓く | アロハ坊主の日がな一日

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アニメ[ ペルセポリス ]3代の母娘の絆が、未来を切り拓く
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    アニメ[ ペルセポリス ]を渋谷シネマライズで鑑賞。

    本作は、世界中を飛び回ってお宝探しをするアドベンチャーアクション映画でもなく、地球上の生命の神秘に迫るスケール感のあるドキュメンタリー映画でもないが、それらにも負けぬほどの見応えがある。実写ドラマでも、ドキュメンタリーでもできなかった。アニメーションだからこそ、ここまでのインパクトと、豊かな表現が実現できた、奇跡の一作かもしれません。原作は、本作の監督でもあるマルジャン・サトラピ監督の自伝的グラフィック・ノベル。

    1970〜90年代の混乱するイランで、ロックとユーモアとちょっぴりの反抗心を胸に少女から大人へ成長していく、主人公マルジと3代にわたる母娘の絆を描いた愛情あふれる家族の物語。第60回のカンス国際映画祭で審査員賞を受賞している。ちなみにボイス・キャストとして実生活でも母娘であるカトリーヌ・ドヌーヴとキアラ・マストロヤンニが親子役を演じている。
    persepolis
    本作は、なんといってもまず目を奪われるのは、主人公のマルジを中心とした、彼女のオカン・タージ、そしてオカンのオカンである、おばあちゃんの魅力的なキャラクターだろう。男性優位の社会でも、タージが前向きに生きていけるのは、女性としての自由な感性を母から受け継ぎ、そして女性としての愛らしさや慈しみを祖母から教わるからだ。特に、おばあちゃんの含蓄のある言葉や行動には、マルジだけでなく観客をも心揺さぶられるはず。おばあちゃんは、良い香りのために毎朝花(ジャスミン)を摘み、下着の中に入れているのだ。

    そして、彼女たちの魅力をより際立たせているのは、間違いなくこのアニメーション(タッチとモノクロームの配色)だ。主人公マルジの少女から大人への成長期で起こる、変化する性格や心の機微が、実写以上のインパクトで表現されたドローイング。好奇心旺盛で、ちょっと勝気だった少女時代の表情から、死の淵や離婚など多くのことを経験した大人のマルジは、諦観をも備わったような表情まで――。シンプルな描写だからこそ、情感のある豊かな表情や時代の空気を捉えた表現が可能になる。

    また配色は、特に背景における白黒の濃淡が絶妙な色合いで、人物が主で、環境(背景)が従という枠組がしっかりと構成されていて、かつ背景をなくては決して成り立たない画になっている。マルジの幼少時期の回想から現実に戻った時に一瞬、表現されるカラー画も美しい。

    最近では[ 河童のクゥと夏休み ]でも使われたジャンプカットなど、アニメーションでは珍しい手法を用い、単調さを避け、テンポよくストーリーを展開しているので、完成度は申し分なし。

    新政権樹立やイラクとの戦争など、市井の自由が抑圧された時代やイランという国(体制)を、ヴェール(黒)をまとった女性が幼きマルジの両脇に抱えるシーンのように、直截的な暴力を描くのではなく、ユーモラスな映像で笑いに変換してメッセージにするあたりが、僕にはとても新鮮だった。実はアニメーションこそ、最新技術への追求でなく、アイデアや工夫が実写以上に活かせるフィールドかもしれない。そんなことを考えさせられた作品です。
    | 映画(アニメ) | 03:39 | comments(0) | trackbacks(8) |
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