映画[ サッドヴァケーション ]好きにしたらええんよ、男の人は | アロハ坊主の日がな一日

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映画[ サッドヴァケーション ]好きにしたらええんよ、男の人は
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    映画[ サッドヴァケイション ]を渋谷シネマライズで鑑賞

    本作は、青山監督のデビュー作[ Helpness ]から11年、[ EUREKA ユリイカ ]から7年の時を経て描かれた“北九州サーガ”の集大成となる作品。父性で始まった物語は、母性で完結をむかえる。
    サッドバケイション

    物語は、北九州の港に一隻の船が到着することから始まる。
    その船に乗っていたのは中国からの密航者。彼らの手引きをしていた健次(浅野忠信)は、船内で父親を亡くしてしまった少年アチュンを連れて家へと逃げ帰ることになる。彼は追手から逃れるために運転代行へ職を変えた最中、幼少の自分を捨てた母(石田えり)と再会し復讐心がよみがえる。


    冒頭に映る巨大な石油タンク、コンビナート、赤い大橋や、一定間隔に並ぶ風車発電機など・・・。主人公たちがクルマで行きかう街並みに、または職場などでの何気ない会話の背景にそれらは、彼らを見守るかのごとく屹立し、そこに存在している。それは人々が、まるで大きな何かに抱(いだ)かれながら暮らしているかのようである・・・。

    ここで描かれている“母性”とは、このロケーションのようにとてつもなく巨大で存在感と安心感があり、しかし必ずしも優しく柔らかな粘性という空気をまとっているだけではなく清濁(善と悪)併せのむような強さを持った、とてつもなく得体の知れないもののように見える。

    捨てた息子(健次)と再会しても泣き言や涙ひとつ見せず、そして健次が弟の勇介(高良健吾)を殺しても恨み一つ言わずに、健次と面会するオカン・千代子(石田えり)一人とっても、その強さはわかる。物事に動じないというか、性根がほんとすわっている。

    宮崎あおい演じた田村梢や、安男の妹ユリ(辻香緒里)にも。相手にしていなかった後藤(オダギリジョー)を親身になってなぐさめる姿が、(梢の)普段の男っぽい振舞いや外見と裏腹に、内には秘めていた女性性を感じ、レイプをされた後ながらも、何ごともなかったようにシャボン玉に興じるユリもどこかつきぬけている。

    ユリが作ったシャボン玉が、男たちの言動をまるでせせら笑うかのように彼らの頭上で壊れ、皆の身体にバケツに盛られた水のごとくふりかかる。
    オトコは、しょせん母(女性)から生まれた息子。そう考えれば女性からすれば、男なんて子供なのだ。

    [ Helpness ]そして[ EUREKA ユリイカ ]では脆弱で、不安定だった人の関係(父と息子、兄妹など)が、本作では母(母性)を中心にしてなぜか強固なつながりとなって築かれていく。シャボン玉のワンシーンは、そんな光景を大いに物語っていた。

    青山監督は、次はどんな(人との)関係を描くのだろうか?
    | 映画レビュー | 21:50 | comments(0) | trackbacks(7) |
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