映画[ サウスバウンド ]南へ向かう冒険一家 | アロハ坊主の日がな一日

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映画[ サウスバウンド ]南へ向かう冒険一家
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    映画[ サウスバウンド ]を新宿ガーデンシネマで鑑賞。

    ボクシング一家に、相撲一家、そして最後に女優・三●親子―――。
    今年は様々な家族のあり方や、親による教育に注目がふりそそがれてきた。そんな時代を反映するかのように本作[ サウスバウンズ ]も、いわゆる一つの家族像が描かれている。

    本作は、作家奥田英朗の同名小説の映画化。監督は名匠・森田芳光。
    森田芳光監督が描く、家族映画はいつも楽しめる。例えば、[ 阿修羅のごとく ](03) [ 間宮兄弟 ](06)。なんだか監督自身が、嬉々として作っているような・・・家族映画って、緊張と弛緩(ゆるさ)の連続で成り立っていると、僕は思っている。日常のゆる〜い家族団欒の時間があって、ある時、ダムが決壊したかのように、とんでもない出来事がなだれ込んできて、家族に緊張の糸が“ピーン”と張られる。そして、それをなんとか乗り切ったと思っていたら、また次の波がやってくる――。

    森田芳光はこのゆるさを描くのが、大変お上手な監督さんで、それが森田ワールドを形成している。だから[ 間宮兄弟 ](06)のような、たいして何も起こっていなかったようなお話でも、“弛緩(ゆるさ)”の演出により、終わってみれば「いやあ〜、よかった」なんて思えてしまうのではないだろうか。

    そして本作でも、その“弛緩”はしっかりと描かれている。子ども同士のオマセナ会話や、松山ケンイチ演じた新垣巡査と上原一家とのおまぬけなやりとりなど。

    ある俳優さんが「アドリブと見える決められたセリフを、さも自然と口から出たかのように見せるのが一番難しいし、役者冥利につきる」と言っていたが、演出も同じく、簡単に見えるものほど難しいのだ。だから、こんなワールドを作れるのは、すごいことなのである。



    他に監督のこだわりを感じたのは、第一部の東京と第二部、沖縄との場面だ。
    体育館の片隅で息子・二郎(田辺修斗)が黒木と密談。路地裏での中学生のかつあげ。手狭な上原家の間取りなど・・・。東京では、閉塞感を感じさせる映像を。(原作と異なり)上原家が下町(狭い路地)にあるという設定もそのためだろう・・。
    一方、沖縄は視界を遮るものはなく、見渡す限りの畑や空に、海があり、開放感を感じるロケーションだ。東京では平日にも家にいて、時には学校へ殴りこんでくる“変わり者”にしか見えなかったオトンが、沖縄へ来たら、周りから一目置かれるヒーローとして尊敬されている。この東京と沖縄の映像の変化は、オトン・一郎の“規格外の強さ”につながっている。

    トヨエツ、[ 犯人に告ぐ ]の巻島もよかったが、元過激派のオトンもよく似合っている。でも個人的には、オカン・さくらを演じた天海祐希や娘の北川景子が目をひいた。オカン・さくらは、原作と異なり本作では非常に存在感のあるプロットになっていて、より強い家族の絆を感じる作品になっている。



    搾取側は、誰であろうと、つねに一郎と顔をつき合わせて、自身の意見や主張を述べるように・・・・、本作は観光開発業者による家の取り壊しや恐喝など醜悪な話は数々あれど、もっと陰湿な行為が行われている現代と比べれば、意外なほど真っ当な社会が描かれているように見える。そんな(架空の)社会でも、上原一郎・さくらのような一点のくもりもない真っ正直な生き方は、生きにくいのだ。二人が南のハズレの小さな島、パイパティローマに向かったのは、当然の結末だったかもしれない。

    この世の中で、未来を担う子供たちに恥じない生き方をしている大人なんて、はたしてどのくらいできているのだろうか。
    な〜んか、最後は考えさせられたなあ。
    本作は子供への教育映画というより、大人向けのほうがいいじゃないか。
    | 映画(日本) | 22:00 | comments(2) | trackbacks(7) |
    コメント
    Agehaさんへ
    いつも、ありがとうございます。

    ラストですね。これは賛否両論かもしれません。
    でも原作は(同じ展開に)、このラストしっくりくるんですよ。子どもたちと一緒に逃げると、彼ら彼女らにも罪を負わせることになる、だから夫婦だけで離れようという親としての行動。もう一つは、二人がが伝説の島へ行き、伝説の人となる(学校で子供たちが朗読していた話)という意味もあったんでしょうね。

    また、こちらからTBいたします。
    | アロハ坊主 | 2007/12/10 11:16 PM |
    例によってTBがうまく入りませんのでURLにて。
    http://cyberdoll.seesaa.net/article/59702312.html
    売り場でガンガン予告DVD流して本を並べていたので
    すっかり盛り上がってしまい
    ついつい見てしまったのですが(原作は読んでない・・ってコラ)
    う〜ん、最後のあれって育児放棄ちゃうん?
    いくら成人したOLの姉がついてたとしてもさ〜。
    ラストだけがどうも納得いかなかったAgehaさんでした・・・。
    | Ageha | 2007/12/10 1:41 AM |
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