2007.09.02 Sunday 17:32
映画[ アヒルと鴨のコインロッカー ]こんな神様なら・・・
映画[ アヒルと鴨のコインロッカー ]を新宿ガーデンシネマで鑑賞。
新宿ガーデンシネマは、2館あるが1つは非常に狭い。普段は試写室に使われているのでしょうね。座席は一方向からしか行けないという使い勝手のよくないレイアウトなんとかならんでしょうか。そんな館内の状況にもかかわらず、本作は人気のため、レイトショーでもすぐに満席に。
映画館の不便さとは対照的に、映画は満足。ラスト30分で涙が、涙が・・・あふれんばかりに出てきて、もう止まらない。
今までの[ チルドレン CHiLDREN ] [ 陽気なギャングが地球を回す ]などの伊坂作品の中でも、本作が群を抜いて秀逸だと思う。
原作者・伊坂幸太郎氏が絶賛するのもうなずける。
監督は脚本も手がけている中村義洋氏。
中村監督といえば、去年観た[ ルート225 ]もよかった。
そういやあの作品も、ちょっとせつなテイストだった。
新宿ガーデンシネマは、2館あるが1つは非常に狭い。普段は試写室に使われているのでしょうね。座席は一方向からしか行けないという使い勝手のよくないレイアウトなんとかならんでしょうか。そんな館内の状況にもかかわらず、本作は人気のため、レイトショーでもすぐに満席に。
映画館の不便さとは対照的に、映画は満足。ラスト30分で涙が、涙が・・・あふれんばかりに出てきて、もう止まらない。
今までの[ チルドレン CHiLDREN ] [ 陽気なギャングが地球を回す ]などの伊坂作品の中でも、本作が群を抜いて秀逸だと思う。
原作者・伊坂幸太郎氏が絶賛するのもうなずける。
監督は脚本も手がけている中村義洋氏。
中村監督といえば、去年観た[ ルート225 ]もよかった。
そういやあの作品も、ちょっとせつなテイストだった。
●
「誰かが来るのを待ってたんだ。ディランを歌う男だとは思わなかった」
大学進学のために、仙台に越してきたその日に、
ボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさみながら、
片付けをしていた椎名(濱田岳)は、隣人の河崎(瑛太)に声をかけられた。
「あの声は、神さまの声だ」
そう言いながら、河崎は唐突に本屋襲撃を椎名に持ちかける。
やはり同じアパートに住むブータン人留学生が落ち込んでいるから「広辞苑」をプレゼントするのだと。困惑しながらもモデルガンを手に襲撃の手伝いをしてしまう椎名に、河崎はペットショップの店長・麗子(大塚寧々)には気をつけろと忠告する。襲撃に加わることになった椎名は、次第にことの真相を知ることに・・・。
●
人と同じには、決してなれない。
でも人の気持ちには、寄り添える。
よく似た経験を通じて、その人に思いをはせることはできるのだ。
本作は、そんな心のつながりを描いているように僕には見えた。
果たせなかった計画を遂行するために、河崎、そして(本来の理由もわからずに)椎名が加わる。
バス停で運転手によそ者のような対応をされる留学生、見知らぬ土地へ新幹線で来た時感じたこと、新入生歓迎の際に、部活勧誘で先輩からかけられた言葉。
ペットショップの店長・麗子さんが椎名に語る物語は、椎名の想像なのにモノクロームの映像で描かれている。あたかもそれが現実にあったかのようだ。これは観客をミスリードに誘うためであると同時に、一方では椎名のドルジに対する思い入れ(同情)の強さでもあるのだろう。
河崎、ドルジ、琴美の物語に飛び入り参加した椎名にとって、留学生への偏見や中傷、そして孤独感や疎外感という自らの経験を通じて、もはやドルジのことが他人事ではなくなっている。
ついに、本屋を襲い“広辞苑”を盗む計画は実行される。
ドジルは河崎として、そして椎名は・・・。自身ではわかっていなくとも彼もまた椎名としてではなくドジルとしてこの計画に参加していたんじゃなかろうか。本屋襲撃時、河崎(ドルジ)と椎名が“風に吹かれて”を10回口ずさみながら業務を遂行していくシーンは、二人の気持ちが1つになって行った共同作業のようだったからだ。
ICレコーダーを●●●●聴くドルジ。
ロッカーで●●●●流れる神の歌声。
「悲劇は裏口から始まる」など、●●●●語られるセリフ。
そして、やられたらやりかえすという復讐もまた●●●●なのかもしれない。
本作では、多くの“繰り返し”が描かれているが、この“繰り返し”こそが、河崎←ドルジ←椎名というそれぞれの役割を演じ、結びついた心の絆を表しているように思える。
河崎そしてドルジは、どんなに過酷な病魔に侵されようとも、そしてどんな偏見や中傷にあっても、決してそのつらさを表情や感情には表わさなかった。理解できる人だけが、彼らの気持ちを推し量って、寄り添うしかなかった。その人には決してなれないのだから、その人の心をくみ取るしかない。
椎名が河崎の正体を突き止めた時に、彼がかける言葉はとてもあったかくって、魅力的なものだったのはそのためだろう。決して問い詰めることなく一言「遠い所から来たんだね」とやさしく語りかける。そして最後にドジルとお別れになる朝、椎名は「神様を閉じこめるんだ」と言ってラジカセを駅のロッカーにしまいこむ。ペットショップの店長・麗子(大塚寧々)が、ドルジに自首をすすめても。麗子は決して冷淡な女性ではない。良識のある大人である。その彼女が、自首をうながしても・・・・。このあたりのくだりは、泣かせる。言葉ひとつひとつにドジルへの椎名の思いが宿っている。
ドルジにとっては、ボブ・ディラン「風に吹かれて」を歌う椎名こそ、神様だったのでは・・・。実家に帰る新幹線で、牛タン弁当をひらいて爆睡する神様、いいよなあ。ちょっと頼りなく、ズボラな神。こんなゴットなら、僕も信じてみたい。
やっぱり中村監督は、演出よりもキャスティングだ。前作の[ ルート225 ]なら弟・ダイゴを演じた岩田力くんで、本作ならやっぱ神様ならぬ椎名を演じた濱田岳でしょ。いいもの見せてもらいました。合掌っす。
一度観ただけでは本作の良さは、わからないっすよ。
何回も“繰り返し”“繰り返し”観ないとね。
そしてあなたも大切な人に思いをはせて、クライングですよ。
■映画[ アヒルと鴨のコインロッカー ]の公式サイト
「誰かが来るのを待ってたんだ。ディランを歌う男だとは思わなかった」
大学進学のために、仙台に越してきたその日に、
ボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさみながら、
片付けをしていた椎名(濱田岳)は、隣人の河崎(瑛太)に声をかけられた。
「あの声は、神さまの声だ」
そう言いながら、河崎は唐突に本屋襲撃を椎名に持ちかける。
やはり同じアパートに住むブータン人留学生が落ち込んでいるから「広辞苑」をプレゼントするのだと。困惑しながらもモデルガンを手に襲撃の手伝いをしてしまう椎名に、河崎はペットショップの店長・麗子(大塚寧々)には気をつけろと忠告する。襲撃に加わることになった椎名は、次第にことの真相を知ることに・・・。
●
人と同じには、決してなれない。
でも人の気持ちには、寄り添える。
よく似た経験を通じて、その人に思いをはせることはできるのだ。
本作は、そんな心のつながりを描いているように僕には見えた。
果たせなかった計画を遂行するために、河崎、そして(本来の理由もわからずに)椎名が加わる。
バス停で運転手によそ者のような対応をされる留学生、見知らぬ土地へ新幹線で来た時感じたこと、新入生歓迎の際に、部活勧誘で先輩からかけられた言葉。
ペットショップの店長・麗子さんが椎名に語る物語は、椎名の想像なのにモノクロームの映像で描かれている。あたかもそれが現実にあったかのようだ。これは観客をミスリードに誘うためであると同時に、一方では椎名のドルジに対する思い入れ(同情)の強さでもあるのだろう。
河崎、ドルジ、琴美の物語に飛び入り参加した椎名にとって、留学生への偏見や中傷、そして孤独感や疎外感という自らの経験を通じて、もはやドルジのことが他人事ではなくなっている。
ついに、本屋を襲い“広辞苑”を盗む計画は実行される。
ドジルは河崎として、そして椎名は・・・。自身ではわかっていなくとも彼もまた椎名としてではなくドジルとしてこの計画に参加していたんじゃなかろうか。本屋襲撃時、河崎(ドルジ)と椎名が“風に吹かれて”を10回口ずさみながら業務を遂行していくシーンは、二人の気持ちが1つになって行った共同作業のようだったからだ。
ICレコーダーを●●●●聴くドルジ。
ロッカーで●●●●流れる神の歌声。
「悲劇は裏口から始まる」など、●●●●語られるセリフ。
そして、やられたらやりかえすという復讐もまた●●●●なのかもしれない。
本作では、多くの“繰り返し”が描かれているが、この“繰り返し”こそが、河崎←ドルジ←椎名というそれぞれの役割を演じ、結びついた心の絆を表しているように思える。
河崎そしてドルジは、どんなに過酷な病魔に侵されようとも、そしてどんな偏見や中傷にあっても、決してそのつらさを表情や感情には表わさなかった。理解できる人だけが、彼らの気持ちを推し量って、寄り添うしかなかった。その人には決してなれないのだから、その人の心をくみ取るしかない。
椎名が河崎の正体を突き止めた時に、彼がかける言葉はとてもあったかくって、魅力的なものだったのはそのためだろう。決して問い詰めることなく一言「遠い所から来たんだね」とやさしく語りかける。そして最後にドジルとお別れになる朝、椎名は「神様を閉じこめるんだ」と言ってラジカセを駅のロッカーにしまいこむ。ペットショップの店長・麗子(大塚寧々)が、ドルジに自首をすすめても。麗子は決して冷淡な女性ではない。良識のある大人である。その彼女が、自首をうながしても・・・・。このあたりのくだりは、泣かせる。言葉ひとつひとつにドジルへの椎名の思いが宿っている。
ドルジにとっては、ボブ・ディラン「風に吹かれて」を歌う椎名こそ、神様だったのでは・・・。実家に帰る新幹線で、牛タン弁当をひらいて爆睡する神様、いいよなあ。ちょっと頼りなく、ズボラな神。こんなゴットなら、僕も信じてみたい。
やっぱり中村監督は、演出よりもキャスティングだ。前作の[ ルート225 ]なら弟・ダイゴを演じた岩田力くんで、本作ならやっぱ神様ならぬ椎名を演じた濱田岳でしょ。いいもの見せてもらいました。合掌っす。
一度観ただけでは本作の良さは、わからないっすよ。
何回も“繰り返し”“繰り返し”観ないとね。
そしてあなたも大切な人に思いをはせて、クライングですよ。
■映画[ アヒルと鴨のコインロッカー ]の公式サイト

いつも、TBできずにすみません。
そしてコメントありがとさんです。
これは、面白かった。
監督が原作者の意図をくみ取り
丁寧に作った感じがします。
ドジルや椎名の台詞、ひとつひとつに
ちゃんと意味が感じられますからね。
>全部種明かしがあってから聞く、
瑛太さんの「ディラン?」っていうセリフは
めちゃくちゃ切なかったです。
特に、Agehaさんの感じる切なさが
伊坂作品らしさで、それがちゃんと
あらわれているのが、何よりも物語っていますよね。よか、作品です。