[ 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ ]あたし女優になるの! | アロハ坊主の日がな一日

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[ 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ ]あたし女優になるの!
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    映画[ 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ ]をシネマライズで鑑賞。

    題名といい、コンテンツといい、ぶっ飛んでます。明朝体で書かれたタイトル、その横にポツンと憂いのある表情で立っている澄伽(佐藤江梨子)・・・というパンフレットの表紙からも尋常ならぬ緊迫した雰囲気が、伝わってきます。

    原作は劇作家であり、小説家であり、ラジオのパーソナリティも務め様々な顔を持つ本谷有希子。そして監督はCMディレクターの吉田大八。トーンがどこか[ 下妻物語 ](04)、[ 嫌われ松子の一生 ](06)に似ていると思ったら、それらの撮影を手がけた撮影監督・阿藤正一が本作も担当している。

    funuke


    両親の訃報を受け、音信不通だった姉・澄伽が東京からふらりと北陸の山間部にある実家に舞い戻ってくる。家には、母の連れ子だった兄・宍道(永瀬正敏)と結婚相談所の紹介で嫁いできた兄嫁・待子(永作博美)、内向的な妹・清深(佐津川愛美)がいた。4年前、女優になることを反対された澄伽は、同級生を相手に売春して自己資金を貯めた。それを清深が漫画にし、雑誌に掲載されたことを澄伽は恨んでいた。ある日、澄伽は新進の映画監督・小森哲生(土佐信道)が次回作の主演女優を探していることを知り手紙を書く。そして思いがけずに返事が来て、女優の道が開けるかにみえたが・・・・。



    何かを盲目的に信じている人には、スキがある。この言葉は、主人公・澄伽にそのままあてはまる。だからつねに姉を観察している妹・清深にとっては、面白いのだ。

    本作を観ていると作品の奇抜さよりも、女性の貪欲さ、たくましさに圧倒される。エゴや傲慢さ、全開の澄伽に、姉の面白さをホラーマンガの題材にする妹・清深。そして人一倍おせっかいでお人好し兄嫁・待子。澄伽のとびぬけたスタイルやルックスがあることで、エゴや傲慢、自意識過剰という“性格ブス”がひとり際立って見えるが、清深も待子も澄伽とさほどの変わらない。
    罪の意識に苛まれて一時は描くのを止めていたマンガを、姉の猪突猛進な行動が面白すぎて再び筆をもった妹。兄嫁・待子も、旦那に従う尽くすだけの女性と思わせて、全く性関係のなかった夫・宍道を自分のものにする。

    彼女たちの行動は、自分の願望や夢への執念が、実らせたといっても過言じゃない。そしてそのバイタリティに、兄・宍道(男)は打ち負かされたのだ。
    夢よりも周囲との和を優先して、妥協するような人間にとっては、彼女たちのような生き方は、時に羨ましく見えるんですよ。僕がそうだから・・・。

    刺激もなけりゃ、外の世界と交流するための携帯もつながらない・・・、こんな世界(田舎)からは、さっさと離れて東京へ戻りたいという気持ちとは、裏腹にお金なし、仕事なしで、澄伽はなかなか抜け出せない。キャミに、ミニ、そしてグラサンという田舎に不似合いな服装で、ママチャリを押して、急な坂道を登る彼女の姿が、印象的だ。どんな立場に陥っても、女優を諦めない。という強い意志が表れているようだ・・・。

    主人公を演じた佐藤江梨子は、恐ろしいほどこんな役が似合いますねえ。地でやっているのではと、錯覚さえおこしてしまう。また永作博美も魅惑的な造形です。年齢を感じさせないあの可愛さが、この役では、不気味さとなっている。妹役の清深を演じた佐津川愛美も、内向的で一見弱そうなではあるが、実は非常にしたたかな面を持っている。こうしてみると実は冒頭から登場する「猫」は、彼女ら3人のメタファーのように思えてきた。


    ところで、タイトルの「腑抜け」とは誰のことをだったか・・。ふと疑問がよぎってきた。姉の存在にビクビクしながら生きている妹・清深、旦那や澄伽から罵倒されながらも懸命に生きている姉嫁・待子のこと?さては人には言えぬ秘密に苦しんでいる兄・宍道なのか。それとも、傲慢さ、人一倍の自意識過剰を持っている澄伽?

    最初は、彼ら家族全員のことだと思っていたが、澄伽のキャラを考えると、彼女のセリフと考えたほうが、この場合しっくりくる。・・ということは、僕の見解では「腑抜けども」とは澄伽以外のことじゃないかと。誰よりもお人よしで、宍道の顔色を見ながら生きている待子や両親が亡くなって、「もう仕送りは送れん」という宍道。妹の清深は、漫画のせいで、村中の好奇の視線にさらされ、自分(澄伽)にとってはやっかいもの。澄伽にとっては、役に立たないメンツばかり。タイトルから、主人公・澄伽の自己チューで、自意識過剰なキャラクターぶりを全面に押し出していたんですな。

    ラストで、澄伽が東京へ旅立つ妹を追いかけて、こんなセリフをはく。
    「描くのなら最後まで見なさいよ」。今まで主観で突っ走ってきた姉が最後に自分を客観視できた瞬間だ。これって、澄伽のパワーが巨大化したようで恐ろしい。そう思いませんか?清深の言葉を借りれば、「お姉ちゃんがさらに面白くなっていく」というか。そんな予感を思わせる。ある意味、女優としての素養ができた、そんな表れかも・・・。

    妹と姉の戦いはまだまだ続きそうです。しかし、女性はこわい生き物です。この怖さを面白がられるか、それが本作を楽しんで鑑賞できるかのポイントでしょうね。

    ■映画[ 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ ]の公式サイト
    ●2007年カンヌ国際映画祭批評家週間正式招待作品
    | 映画(日本) | 23:48 | comments(2) | trackbacks(23) |
    コメント
    Agehaさんへ

    亀レスですみません。
    澄伽、清深、待子キャラは違えども
    みな不気味なまでの恐ろしさがありますね。

    よかったなあ、この笑える恐ろしさ。
    レンタルして、もう1回観てみようかな。


    | アロハ坊主 | 2008/03/26 3:17 PM |
    げにオンナは恐ろしい・・・ですか?(笑)
    言いなりになっているように見えて
    おしんみたく耐えてしのんで最後には
    ひっくり返すあ〜気持ちよかった。(コラ)
    待子さんの呪い人形(爆)も
    あのかわいらしい笑顔で意味不明な歌とともに
    作られ増えていくのがえらいまた不気味でしたね〜。

    やりたい放題やってるようにみえて
    かしづく家来がいなくなるといちばん惨めな澄伽。
    実は一番もろくてガラスのハートだったのは
    他ならぬ彼女で
    それでもなおいつまでも懲りずに
    宿主をさがして生きていくのでしょうね。

    その生き様が何よりもドラマチックで
    映画のようなのに、
    それが人生経験として女優の演技力に
    まったく生かされないのってどうなん?????
    ここまで大根てのは悲しいですね・・。
    | Ageha | 2008/03/17 2:49 PM |
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