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[ サイドカーに犬 ]好きなものを嫌いになるほうが難しい
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    [ サイドカーに犬 ]を銀座シネスイッチで鑑賞。

    人の思いを大切にするあまり自分を素直に出せない薫と自由奔放な女性、ヨーコさんとのひと夏の思い出を描いた作品です。最近、これでもかこれでもか主張する大作映画が多い中、本作は心にじわりとしみこむように伝わってくる小品です。いいですね。監督は[ 雪に願うこと ]の根岸吉太郎氏。

    原作は第126回芥川賞を受賞した「猛スピードで母は」に収められている長嶋有の同名小説。どこまで原作通りが知らないが、かなりの部分がオリジナル通りであるなら作者が男性というのは、かなり驚きである。映画を観ていても、女性の顔にしか浮かんでこない。

    約1年半ぶりの映画出演の竹内結子にとっては、煙草を吸って、ドロップハンドルの自転車でさっそうとあわれるこのヨーコというキャラクターは彼女の今まで演じてきた役柄からすると、全く異質ものではなかろうか。彼女の復帰第一作目としては、子供を産んで今までとは違う竹内結子を印象づけるためにも、最高で最適なキャラクターだと思う。
    あの夏、私の隣にはヨーコさんがいた
    誰にでも経験があるはずだ。多感な時期に知り合った親とは異なる大人からは、いろんなことが学べ刺激を受け、自分の人格形成に影響を与えることを。僕は、小学4年生の時に、担任だった先生がまさしくその人だ。「名前は右京といい、弟は左京。そして父はラッキョで、祖父はホケキョという」。その先生はこんなふうに最初のあった時に自己紹介を行った。このワンフレーズが忘れられずに、それから僕は笑いというものに興味を持ち、学生時代にはお笑いに進もうと考えたこともあるくらいだ。

    薫にとっては、母がいなくなって現れたまさしくヨーコさんがそんな存在だったのだろう。自由奔放で、おおらかで男っぽい。神経質な薫の母とは全く異なるタイプだった。しかし、薫は母を気遣っていて、あるいは尊敬していたゆえに、ヨーコさんのような今まで接したことのない大人の女性にあうと、うれしい反面どこか戸惑いも感じていた。そんな表情を薫役の松本花奈はうまく演じている。

    でも接する機会が増えることでだんだんとヨーコさんと親しくなり、自分の知らなかった世界をいろいろと教わり、好きになっていく。「飲んだら骨が溶ける」と言われていたコーラをすすめてくれたり、自転車も乗れるように教えてくれたり。

    薫は、性格上口にはださないがたぶんこのままの生活がずっと続けばいいと思っていた。たぶん。父の誠(古田新太)とヨーコさんが、吉村(椎名桔平)の件で言い争いになった時に、お母さんが洗わなきゃといって、洗わずにそのままになっているカーテンを薫は自ら洗おうとするのは、お母さんが戻ってきてほしくない気持ちの表れだと思う。もしかしたらカーテンを洗うために母は戻ってくるとか、真面目な薫ならそう考えてもおかしくない。

    このように薫の心情が、映画に随所に出ているのは、本作が彼女の成長物語だからにほかならない。誠から手切れ金変わりにもらった当り馬券で行く伊豆への二人旅での出来事が、象徴的だ。カンのするどいひもの屋のばあさんの指摘で、今まで見せたこともない表情をみせるヨーコさんに戸惑う薫。そのため、どうしても夏休みの思い出となる絵に、ヨーコさんが書けないでいるというのは幼き少女らしい一面だ。しかし薫が朝起きた時にヨーコさんがいないのがわかり、一目散に探しにいく。その行動は、自分のせいでいなくなったと思ったという罪悪感もあったであろうが、内気で自らの気持ちを表現してこなかった薫が、ヨーコさんが好きという意思表示をはじめてした証しでもあったのだ。乳歯がとれて血が出たというのも、自我のめざめ(成長)を表したものであろう。

    風鈴の音、パックマンの機械音、アイスクリーム屋の呼び鈴、自動販売機の犯罪防止音など。音を起点にして、ストーリーが展開するのも、感受性が強い薫に最適なモチーフである。

    いつでも弟だけを相手にし、「それもお前の人生だ」と無責任な言い方しかしない父に、別れ際に、何もいわずに頭突きだけをくらわせる薫は、とても印象的だ。今までいい子でいた彼女ならではの最後の反抗であり、意思表示だった。もしかしたら、ヨーコさんができなかった分まで気持ちを込めたような頭突きだったかもしれない。「嫌いなものを好きになるより、好きなものを嫌いになるほうが難しい」って名言ですね。

    本作は竹内結子と松本花奈がいてはじめて成立したんじゃないか、と思わせるぐらい、最適で最高で演技でした。必見です。

    ■映画[ サイドカーに犬 ]の公式サイト
    | - | 23:49 | comments(0) | trackbacks(23) |
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