[ しゃべれども しゃべれども ]半鐘はおよしよ、おジャンになるから | アロハ坊主の日がな一日

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[ しゃべれども しゃべれども ]半鐘はおよしよ、おジャンになるから
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    [ しゃべれども しゃべれども ]を銀座シネスイッチで鑑賞。

    コンプレックスやプライドが邪魔をして、自分の思いを相手にうまく伝えられない人たちが繰り広げる群像劇。でもすごくシリアスな話なのに、映画は軽やかで、爽やかで、重苦しくない。もちろん心にじーんしみこむものもある。人情モノはこうでなくっちゃ。主人公の落語家、三つ葉が披露する演目「火焔太鼓」も阿呆が登場する話なんだから、このテンションは大切です。
    shaberedomo
    本作は、97年「本の雑誌」ベスト10 第一位に輝いた佐藤多佳子の長編小説の映画化です。監督は、[ 魔界転生 ](03)、[ OUT ](02)、[ レディ・ジョーカー ](04)の平山秀幸。3作品とももう一つという印象。サスペンスものよりも、本作のような人間描写に重きをおいた作品のほうが、この監督にはあっている気がする。

    新宿に末広亭という寄席がある。本作では今昔家三つ葉が師匠・小三文の十八番「火焔太鼓」の高座を見たところ。この寄席では土曜日の21:30から入場料(木戸銭)500円で、二つ目の落語が鑑賞できる深夜寄席というのがあり、僕も何度か観にいった。今回、国分太一が演じた今昔亭三つ葉は、僕が観た演者がそこにいるようなくらい非常によく似ていた。
    場慣れしていないためか、笑わせたいという思いが強すぎて、舞台で力んでしまう。真打や師匠になると独特の間があり、それが笑いを生み出すのだろう。お客を前のめりさせる、「ひき」の芸。必死さを感じさせない。粋な感じというか。


    主人公の今昔家三つ葉は普段から着物をまとい、落語は創作には目をくれず古典だけ。一本気で、まがったことが嫌いな昔ながらの東京下町気質。しかし落語はもうひとつうまくない。そんな彼がひょんなことから話し方(落語)教室を開くことに。生徒は、美人だが無愛想で口下手な十河五月(香里奈)、口は達者だが関西弁のためクラスになじめない少年・村林優(森永悠希)、そして、いかつい面構えなのに、あがり症で話下手の元 野球選手の湯河原太一(松重豊)。

    「こっちは聞いてほしくてしゃべってるんです」という三つ葉に、師匠から「わかってねえな、おまえは」とたしなめられるように、自分の思いを伝えられないという悩みは、3人の生徒だけでなく、先生である三つ葉も抱えている。

    子供であろうと、ずば抜けた能力や知名度があろうとも、そして、誰もがうらやむような美貌をもっていても、他者との関わりで苦労する。シビアではあるがまさにこの世は、他者と関わりでしか生きていけない世界であるとも読み取れる。ビジネスで、家庭で同様な悩みに陥っている人は多いはず。ここに登場する人たちのようにそこから逃げずに、向き合うことが大切なのかもしれない。

    世代や職業、性別の異なる彼らは交わることで、言い争いながらもお互いが触発され、少しずつ変わっていくことに。中には、なかば喧嘩ぎみにお互いを罵倒するような言葉も。同じような悩みを抱えたものだからこそ、これがキツイ一言だったりする。

    現役野球選手への毒舌を吐く湯河原に、村林や五月は「それ、解説で言えば?」と毒づいたり、酒に酔った三つ葉は、五月に「落語やったって性格変わんないぞ。どうなりたいんだよ。好かれたいのか?」と八つ当たりぎみにどなったり。いじめっ子との対決のために、バッティングを教える村林に湯河原は、「阪神、好きなんだろ。逃げるな。好きなものから逃げると一生後悔する」という。

    アドバイスというべきか、誹謗中傷というべきか。そんな言葉を糧に彼らは、壁にぶち当たっても、それでもそれを乗り越える。

    手厳しい一言を放った後は、必ずといっていいほど別のシーンに変わり、言ったほうは謝らないし、言われたほうもそのことについてうじうじ問い詰めたりするシーンはない。それだけに言葉が余韻として頭の中に残る。こんな場面のつなぎ方も、軽やかさを感じる理由なのかも。

    次第に彼らは気づいていく。実はコンプレックス(欠点)は、見方を変えれば長所でもあることを。
    村林は、からかわれる関西の面白さを武器にいじめっ子を笑わせようとし、五月は、思っていることが言葉にできないなら態度で示そうと、発表会の演目を「まんじゅうこわい」を「火焔太鼓」に変える。毒舌を吐く湯河原は、経験に裏打ちされたするどい指摘ができる証拠。それを活かして、コーチになる。

    でも見所はやはり三つ葉の「火焔太鼓」。見ごたえあり。
    「聞かせる話」ではなく「聞きたくなる話」になったのは、やはり二日酔いで芸への気負いがなくなったから?
    水上バスで、五月が三つ葉に告白するシーンも友達同士の照れくささを残しながらも、微妙な恋愛感情で描かれているのもいい。

    ほおずき市や隅田川の水上バス、江戸川河川敷など東京の下町情緒あふれる開放的な風景も、目を楽しませてくれたし。実は、このロケーションが軽やかさを一番作っていたのかもしれません。ほんと良き作品です。

    ■映画[ しゃべれども しゃべれども ]の公式サイト
    | 映画(日本) | 08:58 | comments(2) | trackbacks(5) |
    コメント
    小山さんへ
    どうもご無沙汰しております。
    お元気ですか?

    本作は、おすすめですよ。
    伊東四朗や国分太一が「火焔太鼓」を熱演しています。
    ただ上映も終わろうとしていますので、お早めに。
    | アロハ坊主 | 2007/07/20 12:47 PM |
    ご無沙汰してます。落語好きとしてはこの映画、
    気になってたんです。なかなか良さげですね。
    観に行こうと思います。
    | 小山 | 2007/07/18 2:07 AM |
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    しゃべれども しゃべれども
    古典を愛する二つ目の今一つパッとしない落語家、今昔亭三つ葉。 そんな彼のもとに「落語を、話し方を習いたい」と3人の変わり者がやってくる。 ところが彼らは集まるごとに争い、なかなか落語も覚えない。 そんな3人をまとめなくてはいけない三つ葉には、さらに仕事と
    | 象のロケット | 2007/09/05 1:12 AM |
    『しゃべれども しゃべれども』
    □作品オフィシャルサイト 『しゃべれども しゃべれども』□監督 平山秀幸 □脚本 奥寺佐渡子□原作 佐藤多佳子(「しゃべれども しゃべれども」新潮文庫刊)□キャスト 国分太一、香里奈、森永悠希、八千草薫、伊東四朗、松重 豊 ■鑑賞日 5月26日(土)■
    | 京の昼寝〜♪ | 2007/08/30 8:05 AM |
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    | ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!! | 2007/07/16 1:01 AM |
    しゃべれどもしゃべれども
     こういう映画を観ているとうれしくなってしまいます。  伊東四朗をはじめとする年配の噺家役の俳優さんたちが口にする下町言葉がわざとらしくなく、実に自然に耳に響いたからです。  自分は東京でも山の手出身
    | シネクリシェ | 2007/07/15 7:46 PM |
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