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映画[ 主人公は僕だった ]運命を受け入れるために
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    映画[ 主人公は僕だった ]を新宿武蔵野館で鑑賞。

    斬新で、奇抜なアイデアも2時間近くの映画になった時には、思った以上の面白さが得られず、陳腐なコメディになってしまう事例は多い。

    その中でも本作[ 主人公は僕だった ]は、ある男の人生が、イギリス人の女性の声に支配されているという奇想天外なアイデアを、ラストまで思いもよらぬ展開で観客を引き込んでいく秀逸な作品じゃなかろうか。僕はそう思うんです。
    Stranger Than Fiction
    平日は毎朝76回歯を磨き、342歩でバス停へ行き、役所では平均7134件の書類を調べ、45.7分間のランチタイムを過ごし、帰宅後はひとりで夕食を済ませ、毎晩きっかり11時13分に寝る。こんな生活を12年間も送っている、面白みのない男、ハロルド・クリック(ウィル・フェレル)。しかしある朝、ハロルドの頭の中に、彼の行動を文学的な表現で語る女性の声が割り込んできた。その声はハロルドの頭にたびたび響くようになる。彼女によれば彼はどうも小説の主人公のようで、しかも彼に死が近づいていることもほのめかしていた。それから自分の運命を変えようとするハロルドの奮闘が始まった。

    国税庁の会計検査官、主人公のハロルド。数字に縛られた左脳人間。感情や芸術など人間としての喜びや感性を失ってしまったような生活をしている。語りかける女性の声により、リズムも心も乱れてくる。しかし精神科医のもとを訪ねても、解決案が得られないハロルドは、とある大学教授のもとを訪ねる。謎の声の原因を突き止めるため、アドバイスを請うのはダスティ・ホフマン演じる文学の専門家、大学教授のヒルバート。数字の男を言葉の男が助けるって感じ。まじめなのか、不真面目なのか、この大学教授役のダスティ・ホフマンがどこか伊東四朗とだぶってしまう。あんたがったタフマンか!

    このほかにもハロルドが恋に落ちる、ケーキ屋を経営するアナ・パスカル。ハロルドの人生を描く、声の主でもある自殺願望をもった英国人、小説家カレン・アイフル(エマ・トンプソン)。スランプに陥った小説家を支えるマネージャー、ペニー・エッシャー(クイーン・ラティファ)が登場する。

    [ 奥さまは魔女 ][ プロデューサーズ ]のコメディアン、ウィル・フェレルが主演なのに、監督が[ チョコレート ](01) [ ネバーランド ](04)、[ ステイ ](05)のマーク・フォースターのせいか、コメディなのに笑いは抑制がきいていて、どちらかというとヒューマンドラマ色が強い。“運命”という重いテーマだけで、重く見せないように、コメディが使われたというほうがあっているのか。

    主人公ハロルドは、この事件をきっかけに人間らしい感情や表情を取り戻していく。その最たるものが、マギー・ギレンホール演じるアナ・パスカルへの恋。アナに遠山の金さんばりの桜吹雪のもんもんがあったとて、愛する気持ちは決して折れない。以前では考えられないこと。そして小さい頃にやりたかった音楽にも没頭する。まさに以前とは対称的に、何事も情熱をもって取り組むことに。だから歯磨きの回数なんて数えないし、気にしない。

    そしてまた、ハロルドと同じように人生の転機を迎える人がもう一人。それは小説家カレン・アイフル。小説家としての全知全能の神のような目線でストーリーを書き進める。プロットを考える時に、高層マンションのオフィスから人々を見下ろし、発想が練り上げる姿は神である書き手のメタファーだろう。自分の小説が、実はハロルドの人生を描いたという事実を知り、世捨て人同然だった彼女があらためて、生きることの意味を問い直し小説の結末に取り組む。

    見所は、ケイが書いた小説を主人公ハロルドが読んだ後の行動だろう。その小説に感動し、「これ以上の結末はないとして、彼は結末を変えないで」と嘆願して、その場をあとにする。実は、大学教授のヒルバートいはくケイの小説は、すべてが主人公が死んで結末を迎える悲劇もの。悲劇の結末を作り替えてもらうために悪戦苦闘して、作り手(声の主)を探していたハロルドが最後には自らの運命を受け入れる。無機質だった彼が芸術(小説)に命を懸けて感動するなんて、これこそが人間として感性や情熱を取り戻した証である。

    では結末はどうなかったのか・・・・。
    それは、ぜひ本編をごらんください。自らの運命を受け入れたハロルド、結末を知った主人公を描き続けることに苦悩する小説家ケイ。納期を遅らせずに、良質な作品を世に送り出すことを使命と考えているマネージャー、ペニー・エッシャー(クイーン・ラティファ)。彼らの出逢いが、一人づつにとって異なる結果を運んでくる。でもみんなが満足している。書き手も、読み手も、小説の登場人物も・・・。運命を変えるために納得できるまで懸命に取り組んで、最後にはこれでいいのだという、諦観ではなく達観までたどりついたからなのでしょう。

    彼らのつながりを表していたのか、円いものがいろんな場面で登場する。覗く窓、ギターのサウンドホール、ハロルドが入院した病院器具、クッキーなど。

    本作は、若者より40代すぎの大人たちにおすすめです。
    運命だ、諦めるのではなく、人生はまだまだこれから。
    今までよりちょっと前向きに、生きていける作品です。

    個人的には、サントラがおすすめです。どこかで聞き覚えのあるようなメロディトーン。映画では、たくみに日常と非日常をアメリカ音楽とイギリス音楽で描き分けている。(ハロルドの頭に流れるクイーン英語(非日常)と、ハロルドの米語(日常)で分けている)。本作の映画音楽を担当しているのが、ブライアン・レイツェル。ご存知の方も多いと思うが、ソフィア・コッポラ監督の音楽参謀として名高い。それゆえ聴いていると、曲調が[ マリー・アントワネット ]のサントラとも似ています。

    この音楽の例にあるように、ディテールが緻密に計算されて作られているので細部に注意しながら、映画を観ていくと非常に面白い。几帳面だったハロルドが、終盤にはシャツをズボンからテロリと出すほどの無頓着さを表していたり・・・。
    ここまでこだわっていれば、なぜ小説を書く作家の声が、ハロルドに聞こえてくるのかなんてことは、もう気にならなくなる。それを気にしていたら、本作の面白さやテーマはたぶんわからないでしょう。そういう意味では、好き嫌いがはっきりとわかれる映画かもしれません。人生と一緒で、せっかくだからエンジョイしなきゃ!

    ■映画[ 主人公は僕だった ]の公式サイト
    | 映画レビュー | 09:26 | comments(0) | trackbacks(19) |
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