映画[ 赤い文化住宅の初子 ]夢見る少女じゃいられない! | アロハ坊主の日がな一日

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映画[ 赤い文化住宅の初子 ]夢見る少女じゃいられない!
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    映画[ 赤い文化住宅の初子 ]を渋谷シネアミューズで鑑賞。

    愛すべき女優安藤玉恵は、今回ピンサロの呼び込み役として
    出演している。想定内の役どころにいささか物足りない気
    分である。

    本作はカルト漫画家、松田洋子の同名コミックの映画化です。
    監督は、[ さくらん ]で脚本を担当したタナダユキ。
    「本当に映画にしたいものしか撮りたくない」というだけあっ
    て[ さくらん ]よりも断然面白い。タナダ嬢は脚本家ではなく
    やっぱ監督さんなんでしょうね。
    あかい文化住宅の初子
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    ヒロイン初子(東亜優)は、母には先立たれ、父は小さい頃に蒸発し、自分の学費をラーメン屋のバイトで稼ぐ健気な中学生。今は、高校を中退して稼いだ少ないお金を風俗につかってしまうグーたらの兄(塩谷瞬)と2人で、文化住宅に暮らしている。それゆえ、うちにはお金も電話もなく、大好きな三島(佐野和真)くんと一緒に行くと約束した高校への進学も諦めねばならない。そんなある日、兄妹を捨てた父親(大杉漣)がホームレスになって、2人の前に戻ってくる。兄が殴って追い返すのだが、二人が留守中に、父親は家に火を放って、自殺してしまう。

    アルバイト先からの帰り道に、「カネ、カネ、カネ、カネ・・・・」とつぶやかねばならぬほど貧乏で幸薄気な少女、初子。行動だけ見ていると、不思議ちゃんにも見えなくもないが、彼女の心情や性格を知るにつれ、その行動がいたってまともなのがわかってくる。
    悲惨な現実だからこそ、「もっと違う人生を」「誰かが私を救い出してくれるのでは」と夢(妄想)を見たくなるのは当然で、妄想(空想)にふけるからこそ、自分の人生にもどこか他人事のように接してしまうのもごもっともな話である。原作(コミック)では、中学生なのに、まるで中年女性のような雰囲気をかもし出していた初子が、映画では諦観を持ちつつも、どこか夢見がちな少女という設定に。それにより、キャラが明確になり、初子の存在感がぐっと増す。異性のボクでも共感できてしまうのだ。

    お母さんが大好きだった『赤毛のアン』が大嫌い。アンのように、思いっきり幸せを信じることなんてできないと語る初子。貧乏という残酷な現実ばかりを経験しすぎたせいか、彼女は映画の中でもちょっとした幸せが訪れるやいなや、すぐにネガティブな空想を取り付かれてしまう。また幸せを手に入れようとして、逆に妄想に陥るときもある。裏腹な心というか、不安定な心情がこれまた少女らしい。

    彼女にとって、唯一のより所である同級生の三島くんの愛にも、臆病になりつつも、期待する。
    三島くんが卒業式で初子に言う「大人になったらわしの嫁さんにするんじゃけ」という言葉も絵空事だとわかっていても、彼女が残酷な現実を生きるためには、哀しいかなその微かな光にさえ希望を持ってしまう。次第に、東亜優が[ さよならみどりちゃん ]のゆうこ役の星野真里とだぶって見えてしまう。

    初子は、うすうす気づいているのだろう。世の中に、王子様がいないことなんて。
    「あんた、いつも誰かが助けてくれるいうて思うとるじゃろ」
    だからグーたら教師、田尻先生(坂井真紀)のこの一言 によって、初子は徐々に人間味を表しにし、それまで内に秘めていた本音を吐露し出すのだ。
    初子と同じように、ろくでもない大人ばかりの中、窒息しそうなほど息苦しい現実で生きた少女時代を経験してきた田尻だからこそ言える言葉なのかもしれない。初子は「赤毛のアン」も反目しながらも、実は憧れていたと三島くんへ思いのたけを話す。

    タナダユキ監督の魅力は、たぶん女性目線とおっさん目線を持ち合わせている所だろう。蜷川監督とは大きく異なる点だ。

    女性目線では、同性の脆さを非情な言葉でたたき付け、忸怩たる思いを奮い立たせ、おっさん目線では、女性が持つ一番のエロさと愛らしさを嗅ぎわけて撮っていく。東亜優の着替えや坂井真紀の半ケツシーンは、そんなおっさん目線の賜物。DVDでじっくりコマ送りしてみたいワンシーンだ。

    そしてラストシーン。
    授業を抜け出して駅へやってくる三島くん。そこには大阪へ旅立とうとする初子が電車を待っている。三島くんの手には初子へのプレゼントである『赤毛のアン』の書籍。
    そして初子は、三島くんと工場から餞別でもらったビスケットを仲良く食べる。中学生らしい微笑ましい光景だ。
    「恋愛ドラマの最終回みたいだが」と涙ぐみながら話す初子と、
    「わしら家族んなってホームドラマにするんじゃ」と三島くん。

    夢見る少年と、夢見る少女じゃいられない少女。
    初子は、たぶん二度と故郷へ戻らないであろう。

    大人であろうと中学生であろうと、女性にとって社会は平等に生きにくい場所なのだ。でも生きていかねばならぬのだ。妄想になんてしたっていられない。現実を見なければ。「恋愛ドラマの最終回みたいだが」という言葉には、世の中を少し客観的なまなざしで見れるようになった初子の成長が垣間見られる。
    映画業界という男性社会で生き続けてきたタナダ監督だからこそ、
    描ける視点なのかもしれない。

    同性として、少女時代の懐かしき気分に浸るのはもちろん、
    健気で可愛い初子を、兄キ的視点としても楽しめる作品です。
    もし、この映画が面白ければ、スピンオフ[ 16 ]もどうぞ。

    ■[ 16[jyu-roku] ]のレビューはこちら

    ■映画[ 赤い文化住宅の初子 ]の公式サイト

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    「赤い文化住宅の初子」
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    | 気ままに映画日記☆ | 2007/05/31 12:54 AM |
    赤い文化住宅の初子
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    | 勝弘ブログ | 2007/05/29 9:57 PM |
    『 赤い文化住宅の初子 』
    映画 『  赤い文化住宅の初子 』   [劇場鑑賞] 2007年:日本 【2007年5月12日公開】[ 上映劇場  ] 監督:タナダユキ 脚本:タナダユキ 原作:松田洋子 「赤い文化住宅の初子」 【キャスト】 東亜優 塩谷瞬 佐野和真 坂井真紀 桐谷美玲 鈴
    | やっぱり邦画好き… | 2007/05/29 3:09 PM |