2007.03.25 Sunday 12:03
[ ディパーテッド THE DEPARTED ]スコセッシ監督の世界観と腕っこき
[ ディパーテッド ]を吉祥寺バウスシアターで鑑賞。
何らかの陰謀により、獲れないんじゃないかと思っていた。アカデミー賞では未完の巨匠で一生を終えるのかと・・・。しかしマーティン・スコセッシ監督は、本作で監督賞を受賞(本作は最優秀作品賞も受賞)。6度目でようやくその栄冠を手にしたのだ。かっこいいぞ!
何らかの陰謀により、獲れないんじゃないかと思っていた。アカデミー賞では未完の巨匠で一生を終えるのかと・・・。しかしマーティン・スコセッシ監督は、本作で監督賞を受賞(本作は最優秀作品賞も受賞)。6度目でようやくその栄冠を手にしたのだ。かっこいいぞ!
悲劇の生い立ちを持つスコセッシ監督は、それを隠すことなく本作にも反映。脚本のウィリアム・モハナンは[ インファナル・アフェア ](02)を観ずに書き上げたというだけあって、キャラクターの造形描写などはオリジナルとは異なり、より残虐な印象を持つ作品として仕上がっている。
オリジナルの香港映画[ インファナル・アフェア ](02)では、潜入捜査官としてマフィアに入り込むヤン(トニー・レオン)は、悪に手を染めながらも、自分であり続けようと苦悩する表情と甘いルックスがあいまって、繊細さを際立たせていた。かたや本作で潜入捜査官となったビリーを演じたレオナルド・ディカプリオは、骨太な印象だ。マフィアのボス、コステロ(ジャック・ニコルソン)に育てられ、内通者として警察官となったコリン演じたマット・デイモンも、オリジナルのラウ(アンディ・ラウ)よりも、富や権力だけを常に求めて野心に満ち溢れている。
ビリーも、コリンもアイリッシュとして貧困と犯罪の町で育ち、根っこにはそんな生い立ちから訣別したいという気持ちがある。ここには、旧教のイタリア系の移民であるマーティン・スコセッシ監督の世界観も大きく反映されているのだろう。アメリカ社会の目に見えないヒエラルキーにより、決してトップには上がれないマイノリティに属する監督には、彼らの生き方はもはや他人事ではないかもしれない。
内通者が誰であるかを突き止めるため、二人は仲間たちに決まって「家に帰る」というセリフを告げ、お互いの行方を追う。アメリカには、自分の安らげる場所(家)はなく、常にそんな場所を捜し求めているというビリーとコリンの、そして監督の思いがこめられているかのような言葉だ。
ひとり罪の意識にさいなまれながら主人公ビリーは、欲、権力、信念という自分の身勝手な価値観だけで生きるモラルをなき者たちから、とことん追いつめられていく。マフィアのボス、フランク・コステロ(ジャック・ニコルソン)は暴力と悪の権化で何事にも容赦をしない男だし、ビリーを潜入捜査官に仕立てたマーク・ウォールバーグ演じたディグナム巡査部長は、コステロを捕まえるという信念だけで生きているような刑事で、ビリーがどうなろうが知ったこっちゃない。さらにスコセッシ監督のトレードマークである暴力描写も、半端なく迫力がある。残酷で痛々しいシーンの数々が、いつやられるか、いつ見破られるかの緊迫感を高めるのに絶妙なスパイスに。
本作は、オリジナルを超えるぐらい、残酷さやバイオレンスを強く感じる作品になっているように思う。その上、なんともいえぬ悲劇的な結末で、つらいことこのうえない。唯一の救いは、ビリーとコリン、二人が愛した女性マドリン(ビーラ・ファミーガ)が妊娠することだ。劇中は、どちらの子供とも明かされずに幕が閉じる。善と悪だけが支配していた絶望的な世の中とは違う世界、そんな未来を期待する。残虐で、残酷であればあるほど、その一点が濃厚に浮かび上がるのかも。この作品を通じてスコセッシ監督が訴えるメッセージは、かすかなようで力強かった。それはまるで作品そのものですな。
■[ ディパーテッド THE DEPARTED ]の公式サイト
オリジナルの香港映画[ インファナル・アフェア ](02)では、潜入捜査官としてマフィアに入り込むヤン(トニー・レオン)は、悪に手を染めながらも、自分であり続けようと苦悩する表情と甘いルックスがあいまって、繊細さを際立たせていた。かたや本作で潜入捜査官となったビリーを演じたレオナルド・ディカプリオは、骨太な印象だ。マフィアのボス、コステロ(ジャック・ニコルソン)に育てられ、内通者として警察官となったコリン演じたマット・デイモンも、オリジナルのラウ(アンディ・ラウ)よりも、富や権力だけを常に求めて野心に満ち溢れている。
ビリーも、コリンもアイリッシュとして貧困と犯罪の町で育ち、根っこにはそんな生い立ちから訣別したいという気持ちがある。ここには、旧教のイタリア系の移民であるマーティン・スコセッシ監督の世界観も大きく反映されているのだろう。アメリカ社会の目に見えないヒエラルキーにより、決してトップには上がれないマイノリティに属する監督には、彼らの生き方はもはや他人事ではないかもしれない。
内通者が誰であるかを突き止めるため、二人は仲間たちに決まって「家に帰る」というセリフを告げ、お互いの行方を追う。アメリカには、自分の安らげる場所(家)はなく、常にそんな場所を捜し求めているというビリーとコリンの、そして監督の思いがこめられているかのような言葉だ。
ひとり罪の意識にさいなまれながら主人公ビリーは、欲、権力、信念という自分の身勝手な価値観だけで生きるモラルをなき者たちから、とことん追いつめられていく。マフィアのボス、フランク・コステロ(ジャック・ニコルソン)は暴力と悪の権化で何事にも容赦をしない男だし、ビリーを潜入捜査官に仕立てたマーク・ウォールバーグ演じたディグナム巡査部長は、コステロを捕まえるという信念だけで生きているような刑事で、ビリーがどうなろうが知ったこっちゃない。さらにスコセッシ監督のトレードマークである暴力描写も、半端なく迫力がある。残酷で痛々しいシーンの数々が、いつやられるか、いつ見破られるかの緊迫感を高めるのに絶妙なスパイスに。
本作は、オリジナルを超えるぐらい、残酷さやバイオレンスを強く感じる作品になっているように思う。その上、なんともいえぬ悲劇的な結末で、つらいことこのうえない。唯一の救いは、ビリーとコリン、二人が愛した女性マドリン(ビーラ・ファミーガ)が妊娠することだ。劇中は、どちらの子供とも明かされずに幕が閉じる。善と悪だけが支配していた絶望的な世の中とは違う世界、そんな未来を期待する。残虐で、残酷であればあるほど、その一点が濃厚に浮かび上がるのかも。この作品を通じてスコセッシ監督が訴えるメッセージは、かすかなようで力強かった。それはまるで作品そのものですな。
■[ ディパーテッド THE DEPARTED ]の公式サイト

コメントありがとうございます。
ほんと痛々しかったですね。オリジナルより、容赦のないバイオレンスシーンの連続で、途中で辛くなってきましたら。
バイオレンスじゃないんですが、上司がビリーの目の前に落ちてくるシーンは、ビリーの心情を思うと殴られる以上につろうおました。