[ 硫黄島からの手紙 ]思いは家族のもとへは届かなかった | アロハ坊主の日がな一日

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[ 硫黄島からの手紙 ]思いは家族のもとへは届かなかった
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    [ 硫黄島からの手紙 ]を渋谷で鑑賞。
    来月には[ 父親たちの星条旗 ]、 [ 硫黄島からの手紙 ]がDVDで発売されるらしい。時間がたつのは早い。

    かつて、ライアン二等兵というひとり兵士を母のもとへ送り届けるために、ノルマンディー戦線へ救出に向かう小隊を描いた[ プライベートライアン ]という映画があった。監督は、もちろんスティーブン・スピルバーグ。そんな彼が、輸送船団の一隻から落ちた兵士を助けない「兵を見捨てる」アメリカを描いた[ 父親たちの星条旗 ]をプロデュースするとは、なんとも皮肉なことである。
    いおうじまからの手紙
    父親たちの★
    [ 父親たちの星条旗 ]では、父親の真の姿を知るために、何年もの歳月をかけて息子が、父親の旧友たちにインタビューし、(アメリカから見た)硫黄島の真実に迫るという回顧録として描かれている。一方、[ 硫黄島からの手紙 ]は[ 父親たちの星条旗 ]に呼応するように、決して届くことのなかった家族にあてた数百通もの手紙が硫黄島の地中から発見されたというかたちで、日本側の物語が綴られる。

    [ 父親たちの星条旗 ]が、国家に潰された個人の幸せをテーマとするなら、[ 硫黄島からの手紙 ]は、戦争によって引き裂かれた家族のつながりだろう。前者は、国家を象徴する“英雄”が、後者は家族とのつながりを象徴する“手紙”というキーワード。このキーワードが示すように、各映画から感じる印象少し異なる。つねに物量戦という戦略をとる強国に対するシビアまなざしと、届かなかった個人のはかなき思いを救いとった暖かいまなざしの違いとでもいうのだろうか。

    日本側の悪化の一途をたどる戦況で、ひとりの指揮官が硫黄島に降り立った。陸軍中将、栗林忠道(渡辺謙)。アメリカへの留学経験があり、誰よりもアメリカのことを熟知している。それゆえ、この戦争の厳しさは百も承知。もちろん負け戦になることも。それでも、最前線で戦わなければならないという彼の苦悩は、[ 父親たちの星条旗 ]で英雄に祭りあげられた3人、ドク、ギャクノン、ヘイズらと同様の思いを感じてしまう。栗林は、ことあるごとに娘に手紙を書く。その行為は、死に向かう自らの気持ちを落ち着かせるかのよう。そして二宮和也演じる西郷もまた、嫁(裕木奈江)そして会ったことのない息子に手紙を書く。指揮官と一兵士という階級が異なる者同士なれど、遠き離れた家族を思う気持ちは変わらない。
    一人間としてのキャラクターを描くことは、個人としての幸せを常に描いてきたイーストウッド監督にとっては朝飯前のことなのかもしれない。

    そしてもう1つ印象的なシーンがある。西竹一中佐(伊原剛志)の命令で、日本兵たちが怪我をしたアメリカ兵を手当するシーンだ。「鬼畜米兵だ!殺せ!」と反射的に、アメリカ人への殺戮を繰り返していたであろう日本人たちが、西竹一中佐の一言ではじめて気づかされたのではなかろうか。「アメリカ人も自分たちとそうかわらない」のだと・・・。本作では、誤解(いや憶測もしくは思い込みというのかも)だったと思えるシーンが数々出てくる。栗林が持っている(たしか)拳銃を西郷がみて、「あれは、アメリカ人を殺して奪ったやつさ」という誤解や、エリート憲兵の清水(加瀬亮)を西郷たちが「あいつはスパイだから注意しろ」という憶測など。他愛もない考えではあるが、一歩間違えば、殺し合いにもつながりかねない誤った見方である。それらの考えこそが、これら戦争の発端なのかもしれない。そんなメッセージのにも思える一連の誤解。おそろしいばかりである。(・・・と思っていたら、アメリカ兵を日本兵が助けたにも関わらず、この後、無情にも投降した日本兵はアメリカ兵の手によってあっさりと撃ち殺されてしまう。教訓めいた視点ではなく、あくまでシビアに戦争というのも客観的に見ているイーストウッド監督の姿勢が最後まで貫かれていたのだ。)

    今まで語られなかった戦争の真実とイーストウッド監督の中立的な立場のメッセージによって[ 父親たちの星条旗 ]や [ 硫黄島からの手紙 ]は、他のどんな戦争映画よりも胸に強く突き刺さったのは間違いない。たぶんDVD購入するだろうなあ。そんな気がする。もちろんこれは決して思い込みなぞではごぜいませんよ。

    硫黄島からの手紙の公式サイト
    父親たちの星条旗の公式サイト
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    原題:Red Sun, Black Sand (Letters From Iwo Jima) 硫黄島に眠っていた、その手紙は61年ぶりに発見された、地中にあった硫黄島からの手紙、それは輸送爆撃機「一式陸攻」によって配達されるはずだった・・ 時は1944年6月、指揮官として陸軍中将の栗
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