[ 水の花 ]妹に殺意を抱いた姉 | アロハ坊主の日がな一日

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[ 水の花 ]妹に殺意を抱いた姉
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    映画[ 水の花 ]@渋谷で鑑賞

    [ 運命じゃない人 ][ バーバー吉野 ]と秀作を世に出
    し続けているPFFスカラシップ。映画ファンにとっては、
    今や観落とすわけにはいかなくなった。今年は、弱冠23歳
    の監督・木下雄介が手がけた[ 水の花 ]である。

    幼い頃に母親に捨てられた中学生の美奈子(寺島咲)と、そ
    の母が父親とは別の男との間に生んだ小学1年の優(小野ひ
    まわり)。めぐり会うはずもなかった2人は運命に引き寄せ
    られるように、小さな町で出会う。母親・詩織(黒沢あすか
    )は自分を選んだのではなく、妹を選んだ。妹に対する嫉妬、
    収まることのない母親への憎悪。美奈子は、優を「海を見に
    行こう」と今は亡き祖父母の家に誘う。
    みずのはな waterflowermizunohana
    冒頭、美奈子と父親・圭介(田中哲司)がバス停で待ってい
    る。その後、この2人の押し黙ったままバスに揺られ会社
    そして学校とそれぞれの目的地に向かう。

    各々の思いをやすやすと口にできない微妙であやういこの2
    人の関係は何がそうさせたのか、次第に明らかになる。そ
    して美奈子の他の人との距離感は、冒頭のこのショットで
    決定づけられる。学校の女友達しかり、男の幼馴染しかり。

    しかし、母親の神経がはかりしれない。男を追って、父と
    娘を捨て、勝手に家を出ていって、新たな子どもを作って
    帰ってくるとは・・。女性はこんなにも図太いものなのか。
    そんな身勝手な女性には、ご想像通り幸せは訪れない。母
    親・詩織は男と別れ、自ら働いて優を養っている。美奈子
    が思うほど、母親は幸せではないのだ。

    監督は固定したロングショットに、ジム・ジャームッシュ
    ばりの横移動を多用する。
    美奈子の優や母への感情が、寺島咲はどう表しているのか、
    監督は役者にどう指示しているのか覗き見たいという欲求
    にかられると時は、必ずといっていいほどロングショット
    になり、表情がわからなくなる。監督はあえてそうしてい
    るのだろう。こっちは顔がアップにならないのでしぐさや
    言葉で理解するしかなくなる。しかしこれもふらふらと揺
    れ動く。大人の女性ではない、でも大人になりつつある少
    女ならでの複雑さと不安定さにより、観ているこっちもハ
    ラハラさせられる。優の無邪気さがこれまた、美奈子の気
    持ちの揺れを強調させる。

    美奈子は、優と一緒にやってきた祖父母の家で、優を世話
    することで“母”になり、(自分の)母親の気持ちが少し理
    解できるようになり、詩織に電話をする。電話で母親から
    優が「別れた夫の元に連れ戻される」ことをきく。それは、
    自分を捨てたときのように弱弱しく、ふがいない母親の姿
    だった。

    優が自分と同じ運命をたどることに苛立ちと不安を覚える
    美奈子。せっかく取り戻しかけたモノもまたもや崩れよう
    としていた。そしてラストは・・・。

    優の姿を見て、現実を受け止めて前向きに歩いてみようと
    する美奈子には、彼女の事を心から愛している父親がいる
    のだった。人はドン底に落ちて初めて愛に気づくのかもし
    れない。
    | - | 09:13 | comments(4) | trackbacks(6) |
    コメント
    MANAMIさんへ
    こちらこそ、ありがとうございます。
    TBの件、了解しました。

    >微妙にすれ違う美奈子と優の視線が印象的でした。特に雨の中、美奈子の弾くピアノの音にのって優が踊るシーン。お互いに相手を見てはいませんが、美奈子の奏でる音楽が二人を繋ぐ...。この辺りの表現の見事さに唸らされました。

    妹の何も知らない無邪気さと、何の罪もない妹に憎しみを持ってしまった自分に恥じる姉の姿、それでも一つになれる血のつながりのようなものが現れていましたね。

    | アロハ坊主 | 2006/08/21 11:44 PM |
    いつもありがとうございます。今回もTBありがとうございました。

    微妙にすれ違う美奈子と優の視線が印象的でした。特に雨の中、美奈子の弾くピアノの音にのって優が踊るシーン。お互いに相手を見てはいませんが、美奈子の奏でる音楽が二人を繋ぐ...。この辺りの表現の見事さに唸らされました。

    こちらからも、TBさせていただいたのですが、間違えて、他の記事をTBしてしまいました。お手数ですが、削除、お願いいたします。

    これからも、よろしくお願いします。
    | MANAMI | 2006/08/20 11:52 PM |
    yama_eighさんへ
    どーもです。

    関西でも必ず上映されるはずですが、まだ日程が決まっていないようですね。難儀ですね。
    少し同情します。必ず観てくださいね。
    | アロハ坊主 | 2006/08/20 1:00 AM |
    観たいんですよ、この映画。でも、多分これ、日本中で今やってるのは渋谷のユーロスペースだけなんです。関西にも来ますかね?
    転勤以来こと映画に関しては非常に不自由しております。
    | yama_eigh | 2006/08/19 8:33 PM |
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