アロハ坊主の日がな一日

最新映画のレビューを中心に、日々の雑感を書きとめる。
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[ 明日の記憶 ]渡辺謙の狙いと堤監督の演出
[ 明日の記憶 ]@渋谷で鑑賞。

原作の小説[ 明日の記憶 ]に深く感銘を受け、原作者・荻原
浩に直筆で数枚にわたる手紙を書き堤幸彦監督を深夜に直電で
口説き落とし、そして自らエクゼクティブ・プロデューサーと
してキャスト選出や構成までたずさわった渡辺謙。彼の並々な
らぬ意気込みを強く感じる映画だ。
memories of tomorrow
本作は働き盛りの50歳で、若年性アルツハイマー病と診断
されてしまったオトコ・佐伯雅行を通して、夫婦や家族、
生きることの意味を考えさせられる。

しかし、エクゼクティブ・プロデューサー渡辺謙の監督人
選には、びっくりした。過度なカット割りに、画面の色や
質感まで変えてしまい「リアル」さというものと一番対極に
ある映画をつくる堤監督を、一番「リアル」が必要な本作の
監督に抜擢するとは。

謙さんいはく
「主人公の佐伯雅行と同年代であるということと、映像的
な構成力と「今」を感じるスピード感に期待した。単なる泣
かせるだけの映画にはしたくなったから。」
というのがその理由らしい。

堤監督は[ ケイゾク ][ トリック ]や[ サイレン ]
などと比べると[ 明日の記憶 ]は明らかに編集が抑え目
である。しかし、要所要所では監督「らしさ」が顔だす。

渡辺謙演じる佐伯雅行に、病気の兆候が会社で見え始めた
時は、クライアントへの謝罪に帰り道の、一人沈み込む佐
伯(老い)と周囲は元気に笑っている若者(若さ)たちという
対比で表したり、道がわからない、メンバーの居場所がわ
からないなどのときは、360°回転のカメラで心の動揺を
映像化する。

神経内科の吉田医師の検査に答えられないというときは、
揺れる画面により、さらなる心の動揺を表現する。病院で
の地下駐車場の点灯ランプも、同様の映像演出であろう。

こういう所が、謙さんの求めていた「今」という時代を切り
取ったスピード感のある演出なのだろう。
職人気質の老年監督には、こんな描き方はまずできない。

映画の前半は、ケレン味ある演出で、観客に主人公と同様
の恐怖を植えつける。

後半は、雅行一人で感じていた恐怖を夫婦2人で、共に分
かち合う。去年観た[ 頭の中の消しゴム ]も本作と同様
のテーマで、ストーリー展開も酷似している。しかし[ 
頭の中の消しゴム ]は2人で苦しみを分かち合うというよ
り、一人で苦しみを抱え込むという表現が当てはまる。

この違いは、[ 頭の中の消しゴム ]は過去に生きる2人
として、[ 明日の記憶 ]は未来に生きる2人として描か
れているようである。

未来に生きるとは、それは、現実から逃げないこと、相
手と向き合うことの意味。堤監督は、後半(一部ショッ
キングなシーンはあったものの)2人のこの向き合う姿
を非常に丁寧に撮っていたように思う。謙さんも、たぶ
んこの後半を一番描きたかったのだろう。前半のケレン
味が、後半の「リアリティ」を高めている。

「リアル」だけを描けば、誰もが感動し共感するという安
直な発想は、堤監督には通用しない。渡辺謙の選択はこ
れだったのか。
| アロハ坊主 | 映画(日本) | comments(5) | trackbacks(25) |
アロハ坊主 (2007/09/05 6:24 PM)
maimaiさんへ
コメント&TBありがとうございます。
賛否両論ありますが、ボクもいい映画に一票です。




maimai (2007/09/05 9:48 AM)
TBありがとうございます。
他人事ではなく、自分に置き換えて考えるいい作品でした。
アロハ坊主 (2006/06/13 12:08 AM)
Agehaさんへ
いつもどうもです。

僕も[ 私の頭の中の消しゴム ]よりは
[ 明日の記憶 ]ですね。

ほんと他人ごとじゃない空気が漂ってましたね。


Keiさんへ
ご無沙汰です。

>並みのプロデューサーなら、これは佐々部清(半落ち)あたりで行こう・・・と考えてしまいますよね(謙さんは佐々部監督の「陽はまた昇る」に出てますから親しいはずなんですが)。

Keiさんと同じく、僕も佐々部監督と比較しました。普通ならそうするでしょうね。それをあえて堤監督でいくあたりが、伊達に謙さんはトム・クルーズとわたりあってませんね。さすがって感じです。
Kei (2006/06/11 3:28 AM)
こんばんは。 しばらくです。

私もなんで堤幸彦を監督に指名したのか、見る前は分からなかったのですが
なるほど、>単なる泣かせるだけの映画にはしたくなったから…
でしたか。

並みのプロデューサーなら、これは佐々部清(半落ち)あたりで行こう・・・と考えてしまいますよね(謙さんは佐々部監督の「陽はまた昇る」に出てますから親しいはずなんですが)。

かなりリスキーな賭けでしたが、見事に成功してますね。
前半の恐怖感の表現は、ホラー映画の演出が分かっている監督でないと撮れないかも知れないですね。
Ageha (2006/06/09 11:33 AM)
私の頭の中の消しゴム・・が
自分としては随分辛口評価になってしまったんですが
こっちはすんなり受け入れられました。
涙があふれました。

それでも、夫婦に焦点を絞って描かれたことで
感動の名作になったけどやっぱりどこか
キレイゴトになっちゃったかなと。

で、見終わって残るものは他人事じゃない恐怖。
下手なホラーよりも身近で寒いもんがあったと。
・・・夫婦で見に行って記憶力テストして
安堵してる風景はコント(!)ですけどね。









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ごめんなさい、見くびってました! 映画『明日の記憶』
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| 海から始まる!? | 2006/07/06 3:35 AM |
『明日の記憶』
「あなたと生きる」     俺が変わってしまっても、  俺が俺でなくなってしまっても平気なのか?                                   私が、                                   私が
| 京の昼寝〜♪ | 2006/06/28 8:31 AM |
「明日の記憶」僕もネコが思い出せなかった・・・
ストーリー: 広告代理店に勤める佐伯雅行(渡辺謙)は、平凡だが幸せな暮らしを送っていたが、ある日突然若年性アルツハイマー病に襲われる。あらゆる事柄をメモに取り、病魔と必死に闘い始める夫を、懸命に受け止め、慈しみ、いたわる妻(樋口可南子)。彼女は共に病
| 小生の映画日記 | 2006/06/11 8:43 PM |
明日の記憶
【映画的カリスマ指数】★★★★★  失う怖さ、変わらぬ希望  
| カリスマ映画論 | 2006/06/11 6:10 PM |
「明日の記憶」
(2006年・東映/監督:堤 幸彦) 原作(荻原浩)は以前に読んだのだが、大変感動した。作者も以前広告会社に勤務していたそうで、サラリーマ
| お楽しみはココからだ〜 映画をもっと楽しむ方法 | 2006/06/11 2:56 AM |
【明日の記憶】
★萩原浩さん原作。萩原さんの小説は、「噂」「神様からひと言」「コールドゲーム」
| 空の「一期一会」 | 2006/06/10 11:32 PM |
「明日の記憶」見てきました
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| よしなしごと | 2006/06/10 11:30 PM |
明日の記憶/堤幸彦
人が存在する理由、それは必要だと言ってくれる人がいるからだと思います。この映画は、若年性アルツハイマーに犯された佐伯雅行という人物(渡辺謙)が、妻(樋口可南子)に支えられながら、病気を受容して生きて行こうとする姿を描いた物語です。 広告代理店の第一
| 文学な?ブログ | 2006/06/10 4:21 PM |
明日の記憶
広告代理店に勤めるモーレツバリバリのサラリーマン。いなかのサラリーマンしか見たことないので、都会のサラリーマンのバリバリぶりは知りませんが、あの迫力と押しの強さと腰の低さは記憶に残ります。 仕事は乗りに乗っている真っ最中。娘はもうすぐ結婚。順風満帆と
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明日の記憶
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「私がいます」と言えること~「明日の記憶」~
いや~身につまされる映画でした。 「同じ月を見ている」以来久々夫婦で見にいったんですが。 見終わって”重いよこれ・・”ってしきりにバルが言うてました。 「オレ、めっちゃ不安やし」・・ちょっとどういう意味よ。(爆) 映画館を出てからちょっとして、 ”3
| ペパーミントの魔術師 | 2006/06/09 11:34 AM |
明日の記憶
明日の記憶・・・MEMORIES OF TOMORROW 記憶ものがヒットするのは何かそこに共感するものを少なからず人は持ちえているからなんだろうけど、忘れるというのは自己消滅への不安からなんだろうか。 実はど忘れするという事がかなり増えてきたので、少なからず「明日は
| シャーロットの涙 | 2006/06/09 1:47 AM |
【劇場鑑賞51】明日の記憶(MEMORYS OF TOMORROW)
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| ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!! | 2006/06/09 12:46 AM |
『明日の記憶』・試写会
今日は某雑誌で当選した 『明日の記憶』の試写会に行ってきた。 《私のお気に入り度:★★★★★》 以
| しましまシネマライフ! | 2006/06/09 12:35 AM |