CALENDAR
S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2024 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
RECOMMEND
MOBILE
qrcode
<< 睦月シネマ(2006) | main | [ TAKI183 ]監督の良さが伝わらない >>
[ イノセント・ボイス 12歳の戦場 ]戦わないという主張
0
    [ イノセント・ボイス 12歳の戦場 ]@シネスイッチ
    銀座で鑑賞。

    1980年代、そう遠い話ではない。激しい内戦に包まれて
    いた中南米エルサルバドル。11歳の少年チャバは、父親
    が家を出たため、母親と姉と弟を守らなければならなか
    った。彼が恐れているのは、12歳の誕生日を迎えること。
    政府軍に徴収され、楽しい子ども時代が終わってしまう
    からだ。友達や好きな子との時間、家族との時間。誕生
    日はもうすぐそこまで迫っていた。

    [ イノセントボイス 12才の戦場 innocent voice ]パンフレット
    観ていて、ほんとに息苦しい。日常の戦争による悲惨さ
    を、銃弾から逃げる住民がごとく手持ちカメラで鮮烈に
    描き出す。家で寝ているときも、学校で授業をやってい
    るときも、時間や所かまわず銃撃戦は繰り返される。

    彼らにとって戦争は生活とすぐ隣り合わせなのだ。
    だからといって、子どもたちの楽しい日常がなくなった
    わけではない。チャバが好きなクラスメイトの女の子ク
    リスティナ・マリアや友達と遊びに興じたり、変わった
    バス運転手の計らいで、バスの行き先案内の仕事したり
    など。普段の生活にも、チャバは楽しい時間を過ごして
    いた。その楽しげな姿を見れば見るほど、僕には銃撃戦
    での緊張感が非情さとして重く伝わってくる。

    チャバたちにとって、何よりも苦痛なのはただ兵士に駆
    り立てられるのではなく、貧しい家に育った彼らにとっ
    て敵側である、政府軍の一員にさせられてしまうことだ。
    11歳にしては、酷すぎる二重苦である。

    それでも、彼は父のいない中、母に言われた「家族を守っ
    てね」ということを実行する。あるときは、姉と弟を流れ
    弾に合わないようにベットを盾にして守り、あるとき銃
    撃戦の中に一人たたずむ母を、助けようとチャバは果敢
    に銃弾の中を入っていく。

    そして、反政府メンバーのベト叔父さんや神父さん、親
    友のチェレやフィト、好きだったクリスティナ・マリア。
    チャバと仲良くしていた人たちは死んでしまい、自分と
    家族だけが生き残る。

    本作はチャバの回想という形をとっている。
    「この物語をつづっていたのは、本当はチェレやクリステ
    ィナ・マリナだったかもしれない」という彼の締めくくり
    は背筋が寒くなるような戦争の恐ろしさを物語っている。

    チャバは生き残って12歳になり、政府側の徴兵に採られ
    ぬように、アメリカに身を隠すことにする。反政府軍に
    入って戦うということもできたのだが、そうしなかった
    のは正しい選択だと思う。このような戦争には、参加し
    ないというものりっぱな主張である。しかし、向かった
    先が政府軍を擁護しているアメリカとは、何とも皮肉な
    話であるが・・。
    | 映画レビュー | 14:49 | comments(8) | trackbacks(26) |
    コメント
    朱雀門さんへ
    いつもどーもです。

    >個人的には、なぜチャバが「戦わない選択」をしたのかがよく分からないでいます。確固たる信念があったのかもしれませんが、映画の中からは読み取りにくかったです。

    小学校時代の友達が政府軍の兵士として、
    銃で襲ってくる姿をチャバが目の当たりに
    するシーンありますよね。
    チャバはその友達を殺そうとしたが、やはり殺さずに銃を置いて逃げる。
    あのことがあってから、チャバにも戦わないという気持ちが芽生えたと思っています。

    僕はわかりやすかったと思ったのですが・・。

    >アメリカ行きは皮肉ですが、アメリカに渡った後で物語が日の目を見たのも・・・皮肉だと思います。

    そういう経緯があったんですね。知らんかった。それは、かなり皮肉ですね・・。
    | アロハ坊主 | 2006/03/12 11:32 AM |
    トラックバックありがとうございました

    個人的には、なぜチャバが「戦わない選択」をしたのかがよく分からないでいます。確固たる信念があったのかもしれませんが、映画の中からは読み取りにくかったです。
    逆に「戦う選択もあったのではないか」と考えてしまいました。
    アメリカ行きは皮肉ですが、アメリカに渡った後で物語が日の目を見たのも・・・皮肉だと思います。
    | 朱雀門 | 2006/03/10 12:53 AM |
    あんさんへ
    コメント&TBありがとさんです。

    あんさんの言う「真実の重さに打ちのめされたわ。」という言葉は、僕はかなり響きますね。
    正直、感想は「何も言わん。観てくれ」という
    しかないですもん。
    | アロハ坊主 | 2006/02/06 11:20 PM |
    想像を絶する世界に目を覆い逃げ出したくなりました。真実の重さに打ちのめされたわ。「無垢な声」が多くの人たちに届きます様に!Tb失礼します。
    | あん | 2006/02/05 9:06 PM |
    隣の評論家さんへ
    いつもありがとうございます。

    社会派作品つづきますね。
    その他には、[ スタンドアップ ][ ミュンヘン ]と目白押しです。もうそろそろ、エンターテイメントも観たくなったでしょう?
    同じジャンルを観ていると感想が似てくるので楽しめる映画も楽しめなくなるのでご注意を・・。
    | アロハ坊主 | 2006/02/04 11:11 PM |
    HIROMIC WORLDさんへ
    コメント&TBありがとうございます。
    HIROMIC WORLDさんが感じるようなことを僕も、ちょっと感じちゃんですよね。感想も書いてはいるが、思うようにかけなかったり・・。ですわ。

    >最近観た映画は、戦争系の作品や考えさせられる系、しみじみウルウル系が続いたので、単純に楽しめるニギヤカ系で現実逃避したい気分です。
    今だと「THE有頂天ホテル」でしょうか???

    ちゃんと賑やかしを観てきたようですね。
    その選択はいいと思いますよ。
    | アロハ坊主 | 2006/02/04 11:05 PM |
    アロハ坊主さん、こんにちわ。
    TBありがとうございました。
    >このような戦争には、参加しないというものりっぱな主張である。
    おっしゃる通りですね。「ホテル・ルワンダ」程の衝撃は受けなかったものの、貴重な2時間を過ごせました。最近、すっかり「社会派作品」がマイ・ブームになっています。
    | 隣の評論家 | 2006/02/02 8:43 PM |
    アロハ坊主さん、こんばんわ。
    知っているもの同士が殺しあう、本当にむごい話ですよね・・・。でも実際に地球上のどこかで今も起きているかも知れない。辛いです。罪悪感まで感じてしまいます。
    最近観た映画は、戦争系の作品や考えさせられる系、しみじみウルウル系が続いたので、単純に楽しめるニギヤカ系で現実逃避したい気分です。
    今だと「THE有頂天ホテル」でしょうか???
    | HIROMIC WORLD | 2006/02/02 12:28 AM |
    コメントする









    この記事のトラックバックURL
    トラックバック機能は終了しました。
    トラックバック
    mini review 09419「イノセント・ボイス 12歳の戦場 」★★★★★★★★☆☆
    激しい内戦で多数の犠牲者や亡命者を出した、1980年代の中南米エルサルバドルの内情を描いた戦争ドラマ。無名の俳優オスカー・トレスが少年時代の体験をつづった脚本を、メキシコ出身のルイス・マンドーキ監督が映像化。むごたらしい戦争の悲惨さや無意味さを母子のきず
    | サーカスな日々 | 2009/11/20 1:06 AM |
    イノセント・ボイス 12歳の戦場
    ァレですよ、少年兵として徴兵なんて、ひどい話です。 イノセント・ボイス~12歳の戦場~posted with amazlet on 08.02.04ポニーキャニオン (2006/07/28)売り...
    | ぁの、アレ!床屋のぐるぐる回ってるヤツ! | 2008/02/06 2:45 PM |
    映画『イノセント・ボイス−12歳の戦場−』
    原題:Voces inocentes 1980年代中南米エルサルバドル、12年間の内戦の真っ只中にあった自分の記憶を脚本にした実話の物語、14歳でアメリカへ亡命したオスカー・トレス 彼の住む小さな町クスカタンシンゴは政府軍と反政府ゲリラ(FMLN)の狭間にあって
    | 茸茶の想い ∞ 〜祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり〜 | 2007/01/20 4:44 PM |
    イノセント・ボイス 12歳の戦場 (VOCES INOCENTES)
    1980年代のエルサルバドル。政府軍と、貧しい農民を中心に組織された反政府ゲリラFMLNとの激しい内戦が繰り広げられる中、11歳の少年チャバが懸命に家族を守り、生き抜こうとする姿が、実話をもとに描かれている。 驚いたのは、当時のエルサルバドルは12歳で徴兵
    | communication 101 | 2006/11/30 11:34 PM |
    イノセント・ボイス 12歳の戦場
    現在世界には約30万人の少年兵がいるそうです。しかしこれは実際に戦闘に参加している、しかも把握可能な人数であり、凖軍事組織・民兵・反乱軍等を加えると80万にものぼると言われています。
    | 映画をささえに生きる | 2006/04/19 6:28 PM |
    イノセント・ボイス 12歳の戦場
     文部科学省特別選定作品。教育基本法が変わったら選ばれることもなくなるのかもしれない。
    | ネタバレ映画館 | 2006/04/17 6:38 PM |
    ラテンアメリカの現実「イノセント・ボイス」
    「イノセント・ボイス-12歳の戦場」監督:ルイス・マンドーキ出演:カルロス・パディジャ、レオノア・ヴァレラ、ホセ・マリア・ヤピスク、ダニエル・ヒメネス=カチョ1980年、エルサルバドル。50年にわたる軍政に喘いでいた農民・労働者は反政府統一軍事組織(FMLN)を
    | 再出発日記 | 2006/03/26 1:19 AM |
    映画『イノセント・ボイス-12歳の戦場-』を観て
    原題:VocesInocentes(メキシコ)上映時間:112分監督:ルイス・マンドーキ出演:カルロス・パディージャ(チャバ)、レオノラ・バレラ(母)、ホセ・マリア・ヤスピク(べト叔父)、ダニエル・ヒメネス=カチョ(司祭)【この映画について】中米のエルサルバドル出身
    | KINTYRE’SPARADISE | 2006/03/12 12:55 PM |
    イノセント・ボイス:「少年の眼」が伝えてくれること
    ★原題:Voces Inocentes ★監督:ルイス・マンドーキ(2004年 ...
    | 「朱雀門」という方法・第2章 | 2006/03/09 11:25 PM |
    イノセント・ボイス 12歳の戦場
    こんな悲惨なことが現実に起こっていたなんて・・・ ホテル・ルワンダの時にも感じた衝撃を2週間ほどの間でまたもや感じることになりました。 戦争とは民間人を無視して政府間だけで行う暴力行為。それに巻き込まれた民間人は成す術もなくただただ怯えながら生きてい
    | Alice in Wonderland | 2006/03/06 1:57 PM |
    イノセント・ボイス -12歳の戦場-
    2004年のメキシコ映画。 エルサルバドルという小さな国の内戦を舞台にしたこの映画は、頭痛がするほど泣いてしまった(T-T) 世界を変えようなんて大きなことは言わないけれど、この映画に出てくる子どもたちと同じような思いをしている少年たちが世界中で一人でも少
    | toe@cinematiclife | 2006/02/25 11:38 PM |
    イノセント・ボイス-12歳の戦場-
       1980年。中米エルサルバドル。  この小国は政府軍とゲリラの内戦下にあった。  11歳の少年チャバはこの内戦下にある町に住み、暮らす普通の男の子。  しかし、内戦下にあるこの過酷な状況の中で12歳になったら少年も徴兵されていくという
    | とにかく、映画好きなもので。 | 2006/02/25 12:44 PM |
    「イノセント・ボイス」12歳の子供が銃を持つ現実
    「イノセント・ボイス-12歳の戦場-」★★★★ ルイス・マンドーキ監督、2004年、メキシ ポップコーンを 食べながら見ると 罪悪感を覚える映画だ。 1980年、中米の小国エルサルバドル 政府とゲリラの内戦下にあった。 12歳になると戦場に駆り出される 村の
    | soramove | 2006/02/24 7:58 PM |
    イノセント・ボイス 12歳の戦場
    劇場で初めて予告を観た時から気になってました。 12歳で戦場に駆り出される少年の気持ちなんて 戦争を体験したことの無い若い世代の日本人には 理解できない事です。だからこそ映画という 媒体を使って、擬似的にでもそれを体験する事は 意味のある事だと思って
    | 5125年映画の旅 | 2006/02/22 10:24 PM |
    『イノセント・ボイス〜12歳の戦場〜』 日本公開
    既に2回程このブログでも取り上げましたが、日本で公開が始まった『イノセント・ボイス〜12歳の戦場〜』を観てきました。私はメキシコにいる時に一度観たので2回目。是非彼にも見せなければと思い一緒に行ってきました。 一人でも多くの人に見てもらいたいと思うの
    | Mi casita | 2006/02/20 4:34 PM |
    『イノセント・ボイス 12歳の戦場』
    過酷な戦場の中でイキイキと暮らす子どもたちの姿に感動。 内戦下にあったエルサルバドルに住む11歳の少年チャバの物語。1980年代、エルサルバドルでは、政府軍とそれに対抗する農民を中心に結成されたゲリラ組織であるFMLN(ファラブンド=マルティ民族解放戦線)と
    | かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY | 2006/02/20 10:52 AM |
    「イノセントボイス 〜12歳の戦場〜」見てきました
     宮崎あおいさんの声で「知っていますか?現在でも世界で30万人以上の子どもが戦場へ送られていることを。」と始まる予告のイノセントボイス 〜12歳の戦場〜を見てきました。予告を見て、「これは絶対見に行かねば!」と思っていたのですが、期待が大きいものほど裏切
    | よしなしごと | 2006/02/20 12:26 AM |
    イノセント・ボイス
    辛い思い出から抜け出す過程を得る事で         力強い人生への扉を開く事ができる。 ロサンゼルス在住の俳優オスカー・トレスが自らの少年時代を脚色した 衝撃のヒューマンドラマ 1980年、エルサルバドルは政府軍とゲリラの激しい内戦下にあった。 父がアメ
    | あんと夢子のス・テ・キ!なダイエットライフ | 2006/02/05 9:04 PM |
    イノセント・ボイス 12歳の戦場
    【映画的カリスマ指数】★★★★☆  戦争が奪う子供達の輝き
    | カリスマ映画論 | 2006/02/04 1:09 AM |
    イノセント・ボイス
    主人公はアメリカに亡命したにもかかわらず、かなり反戦、そして強烈なアメリカ批判がメッセージにこめられている。12歳になる少年を徴兵し、兵士として育てている影には、「反政府ゲリラを鎮圧して平和を」と謳い援助するアメリカが、軍隊を送り、そして少年たちを教育
    | 八ちゃんの日常空間 | 2006/02/04 12:04 AM |
    イノセント・ボイス 12歳の戦場
    「イノセント・ボイス 12歳の戦場」VOCES INOCENTES / 製作:2
    | 映画通の部屋 | 2006/02/02 8:41 PM |
    イノセント・ボイス −12歳の戦場−
    「神様、きこえますか。僕は戦わなければいけないのですか?」 監督:ルイス・マンドーキ 脚本:オスカー・トレス 出演:カルロス・バディジャ、レオノア・ヴァレラ、ホセ・マリア・ヤスビク、ダニエル・ヒメネス=カチョ、他 公式HP:http://www.innocent-voice.co
    | きょうのあしあと | 2006/02/02 7:21 AM |
    イノセント・ボイス〜12歳の戦場〜
    ある少年の実体験を基に作られた映画です。世界に30万人以上いるとも言われる少年兵について描かれています。 1980年、エルサルバドルでは、政府軍と反政府ゲリラの間で激しい内戦が繰りひろげられていました。政府軍は、12歳になる少年たちを”兵士”として徴収する
    | 日っ歩〜美味しいもの、映画、子育て...の日々〜 | 2006/02/02 6:55 AM |
    『イノセント・ボイス 12歳の戦場』
    『スタンドアップ』も『ホテル・ルワンダ』も『男たちの大和』も個人的にはいまいち乗れないところがあるのですが、これは好きですね。 演出などは雑なところがあるような気はしました。 また戦闘シーンかと思ったら、無邪気に子供たちがユーモアをかわすシーンになった
    | 地球が回ればフィルムも回る | 2006/02/02 1:06 AM |
    イノセント・ボイス〜12歳の戦場〜
    本日の2本目は「イノセント・ボイス〜12歳の戦場〜」 1980年、内戦の続くエル
    | HIROMIC WORLD | 2006/02/02 12:14 AM |
    『イノセント・ボイス 12歳の戦場』
    「この映画を観ていると、 その昔にはやったある反戦フォークを思い出した。 マイケルズというグループが歌うその歌は『坊や大きくならないで』と言うんだ。 その中に『お前が大きくなると いくさに行くの いつかはきっと 血に染まるだろう』という一節がある。 これ
    | ラムの大通り | 2006/02/02 12:09 AM |