[ 三年身籠る ]オンナの世界、フタリの世界 | アロハ坊主の日がな一日

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[ 三年身籠る ]オンナの世界、フタリの世界
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    [ 三年身籠る ]。映画を観て、初めてデジャブった。
    旦那の徹(西島秀俊)がとり団子を箸でつかもうとしたら、
    落としてしまった。嫁の冬子(中島知子)が「ちゃんと箸
    を使ってっていつも言ってるでしょ」と叱る。映画では、
    笑いがおこったシーンだ。僕は同じシーンを見たことがあ
    る。正確には経験したことがある。昔の彼女によく言われ
    たセリフだ。まあ、今となっては懐かしい。
    〔 3年身籠るもしくは三年身篭るもしくは3年身ごもるもしくは三年身ごもる  〕のチラシ
    このあとも、ほとんど経験あることがシーンとして続く。
    誕生日などのイベントがあると、冬子の家族は必ず集まっ
    ては美味しいものを食べる。法要なら、お墓の前だってみ
    んなでゴザを敷いて食をとるのだ。なぜデジャブるのかと
    思っていたら、それは冬子の家系が女系家族だからかと気
    がついた。ここに描かれている世界は、オンナの世界だ。


    それもその世界を見事に描いている。(昔の彼女も、もち
    女系家族だ)

    女系家族の集まりでは、必ず旦那か彼氏などのオトコの話
    が出てきて、その場で彼女たちは相手への不満を吐き出す
    のだ。もし、オトコたちが、その場にいてももう存在しな
    いも同然に扱われる。普段なら言えないことも平気で言わ
    れる。また二人の中でしか知らないことも、親類縁者の女
    性たちは知っていたりする。コワイ。コワイ。

    そして彼女たちの世界に、オトコが存在するときは缶のふ
    たを開けるときのみである。(こういう皮肉っぷりは面白い)

    「 亭主元気で、留守がいい 」という世界は、まだまだ
    健在である。(オトコとオンナが逆だとシャレにもならな
    い。これぐらいがちょうどいいかも。)

    ジメッとした話をカラッとうまく仕上げていると言えるが、
    唯野監督の視点は、そういう世界を茶化して皮肉っている
    かもように、見える。
    極めつけは、女性の建前と本音の語っているシーン。
    冬子の妹・緑子は、愛人である海(塩見三省)に「一日だけ
    オンナでいて」と約束する。海は姉に怒られた緑子をなぐさ
    めるときに、オトコ目線(オトコから見たオンナのこ)の女
    性でなぐさせてしまい「女の子が慰める場合は緑子ちゃん、
    悪くない。全然わるくないよ。っていうんだよ」と妹に逆に
    怒られてしまう。

    オンナの本質をこのように、滑稽に描くところなんか、監督
    が普段から癪に触っていた以外に考えられないと思えてしょ
    うがない。

    そんなオンナの世界を描きながら、きっちりと二人の世界も
    描いている。旦那は愛人にうつつをぬかし家庭をかえりみな
    い。オープンニングから、そういう二人の関係は一瞬にして
    わかる演出になっている。冬子は、子どもとの強いつながり
    を感じているから、旦那が他のオンナに目をくれようとも動
    じない。

    冬子は子どもをひとりで育てようとする。外界からの情報が
    子どもに入らぬように、いつも冬子は耳せんをしている。テ
    レビもつけないし、ラジオも聞かない。ただ唯一、お父さん
    宛にお腹の中の様子を手紙に綴っている。

    その手紙は何処にも届かない手紙である。書き終えると、い
    つも台所の下にしまうのだ。「つらいことは台所の下に隠し
    なさい」祖母の言いつけ通りに。

    18ヶ月に入り段々お腹が大きくなる。
    冬子はひとりでは歩く事もままならない。
    旦那はようやく愛人と別れ家に帰ってくるようになる。ふと
    したある日、家事をしていた旦那が台所の下にあった写真を
    見つける。昔冬子がつき合っていたオトコの写真だ。

    旦那は、子どもが18ヶ月もなっても出てこないのはオレの子
    どもじゃないんじゃないかと疑い出す。母はいつも子どもと
    繋がっているが、父とはつながりがないだけに不安でしょう
    がないのだ。ここらへんのオトコの心理状態も表現として、
    うまく出している。

    そして、時は立つがこども出てくる様子はない。だんだんと
    周囲が騒ぎ始め、女性セブンのような週刊誌にも取り上げら
    れる。

    こんな情況が続いても冬子はいつも落ち着いて見える。しか
    し実はひとりで悩んでいたことを、旦那の徹はお父さん宛の
    手紙を観てはたと気づく。

    単調になりがちなストーリーなのに、最後まで飽きなかった
    のは、たぶん時間が経つにしたがって、ホスト的な人物が変
    わっていったからだ。最初は冬子を中心に展開し、続いて妹
    の愛人、海。そして旦那の徹へとうまく、スイッチしてスト
    ーリーが進んだからだと思う。

    後半は、徐々に旦那の徹の目線が、冬子の目線と同じになっ
    ていく。二人は周囲の好奇な目から守るために田舎に越し自
    然分娩で出産しようと決意する。「徹の決めたことだから、
    そうする」という冬子の言葉は印象的だ。

    そして、冬子はいつの間にか耳栓をしなくなっていた。

    オセロの中島知子の抑えた演技と西島秀俊の久しぶりの愛情
    ある旦那役は、充分楽しめた。映像もシーン、シーンを丁寧
    に切り取った撮り方もこのテーマに合っていたと思う。

    3年かかって、二人はひとつなり、そして子どもが生まれ
    家族になる。ほんともう一度、劇場で観たいと思えるいい映
    画でした。
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