ミステリアスなオトン[ 父、帰る ] | アロハ坊主の日がな一日

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ミステリアスなオトン[ 父、帰る ]
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    2日前の夜、いきなり高熱に見舞われダウン。
    医者に行くと風邪と診断され、昨日、今日と自宅でくつ
    ろぐことに。今日は熱も下がり、食欲多少出てきた。こ
    ういう弱っている時は、一人モノの寂しさを痛切に感じ
    てしまう。今回は自宅で観た映画[ 父、帰る ]を書
    き留めることにする。
    〔 父、帰る 〕のパンフレット
    1年前に劇場で見たが、パンフレットを読み返し再度見
    たくなってきたのでDVDを借りることに。
    2003年、ヴェネチア映画祭で金獅子賞と新人監督賞のダ
    ブル受賞したロシア映画。監督アンドレイズビャギンツ
    ェフは39歳の新人。これがデビュー作。

    ロシア映画らしい、ストイックでシリアスな重いテーマ
    の映画。ストーリーは写真でしか見たことのないオトン
    が、12年ぶりに帰ってきた。
    兄ちゃんアンドレイ(ウラジミール・ガーリン)と弟イ
    ワン(イワン・ドブロヌラヴォフ)は、オトンの提案で
    3人で旅に出かける。それは、初めてオヤコで過ごす7
    日間だった。

    オープニングは、兄弟と友達で高台から海への飛び込み
    をしているシーン。兄や友達は軽々飛び込むが、弟イワ
    ンは怖くてなかなか飛び込めない。そのうち、みんない
    なくなりイワン一人が高台に残ってしまう。そして夜も
    暮れ雨も降り出す。そこへオカンがイワンを迎えにくる。
    兄弟にとって接する大人はオカンだけ。そのオカンも非
    常に優しい。

    次の日、家に帰ってみるとオトンが12年ぶりに帰ってい
    て家のベットに眠っている。写真でしか観たこともない
    オトンの出現に、兄弟の思いは様々に揺れ動き、とまど
    う。オトンは無口で、兄弟には何も説明しない。
    時期的にみて、オトンが家を出たのはソ連崩壊とともに
    のようだ。社会主義が崩壊し、自分たちのあいでんてぃ
    てぃも喪失してしまった時期。
    イワンもアンドレイも、まさにソ連を知らない子どもた
    ちなのだ。

    また、ロシアでは父は絶対的存在である。家族みんなで
    夕食を食べるときも父が子どもや母、嫁の分まで取り分
    けている。

    そして旅が始まる。見知らぬオトン。彼は何処からやっ
    てきたのか。いままで何をしていたのか。謎を突きつけ
    られたまま物語は動き始め、僕は兄弟同様に、疑問を抱
    えたままに引きづり込まれていく。車で荒野を走りなが
    ら、オトンと子どもの関係は絶えずぶれ続ける。

    オトンに反抗心を燃やす弟・ウラン。戸惑いながらもオ
    トンを受け入れようとする兄・アンドレイ。自分たちが
    今まで接する大人は、優しいオカンやオバアだけ。理解
    しがたい大人にどう接したらいいのか、よくわからない。

    旅行の途中で、財布を盗まれても助けないオトン。車の
    タイヤが溝にはまって枝木を挟んで出そうとするが、う
    まくいかずにオトンにどつかれる。

    愛情を感じられない横暴な振る舞いにどんどん我慢でき
    なくなってくるウラン。そして、耐えきれなくなったウ
    ランは遂にむき出しの感情をオトンにぶつける。オトン
    のバックから盗み出したナイフを持って。

    実はオトンは旅を通して、世の中で大切なこと、そして
    男として生きていく知恵を教えようとしていた。皮肉に
    も、そのことがわかるあるいは試す機会が、オトンの埋
    葬のときである。ウランは今まで口が裂けても呼ばなか
    った「パパ」という言葉も初めてこの時に口にする。

    何者かわからない。本当にオトンかもわからない。この
    ミステリアスな状況のもとで、ラストには僕もこの兄弟
    同様にオトンの偉大さをはじめて知ることになる。

    最期まで本当に目が離せない作品である。
    | 映画レビュー | 17:30 | comments(6) | trackbacks(5) |
    コメント
    linさんへ
    コメント&TBありがとうございます。
    旧記事でもどんどん遠慮なさらず
    TBしてください。

    まさにlinさんの意見に同感ですね。
    ラストに、多くの語らぬオトンが行動で雄弁に多くのことを指し示したのが、ロシアらしい映画ですね。

    | アロハ坊主 | 2006/12/30 8:36 AM |
    旧記事にTBで申し訳ありません。
    まさにミステリアスなオトン、そのものですねw。
    映像もストイックで美しいですが、テーマとその表現の仕方も素晴しい。
    兄役の子役がヴェネツィアの金獅子賞受賞の報を待たずして亡くなったそうでそれにも驚きましたが・・・
    | lin | 2006/12/30 12:16 AM |
    koyashikiさんへ
    コメントありがとうございます。
    面白かったですか。よかったです。

    あのオトンが箱に隠していたもの
    気になりますよね。
    なんでしょうね。僕もわかりませんでした。
    もともと何の仕事しとんじゃ!
    っていうのも謎なんですけど。

    でも、堅気の人じゃないのはたしかだと思います。
    ミステリアスなオトンですわ。
    | アロハ坊主 | 2005/11/17 6:19 PM |
    こんにちは。

    TB有り難う御座いました!
    遅れましてどうもすいません(苦笑)。

    映画とてもおもしろかったですー!
    また是非参考にさせていただきますね♪
    | koyashiki | 2005/11/17 2:37 PM |
    koyashiki さんへ
    おひさしぶりです。
    最近、風邪がはやっとります。
    体調よろしくないようなので、お気をつけください。

    参考にしていただいて、ありがとうございます。
    「父、帰る」は、たぶんkoyashikiさんに合うと思います。
    たぶん、合います。(勝手な想像ですけど)
    ブログにあらすじ書いてしまったので、それほど
    楽しめないかも知れませんが。(笑)
    観たら、またブログに感想のせてくださいね。

    では、また。


    | アロハ坊主 | 2005/10/26 11:00 PM |
    ご無沙汰しております。

    アロハ坊主さんのブログはちょくちょく覗かせていただいております。いつも何を見ようか迷っているときなんかはとても参考になります。有難う御座います。

    さて「父、帰る」ですが僕もこの映画前から観たいなあと思っていた映画なのです。今回アロハ坊主さんのレビューをよんで早速借りようと思いました。

    また遊びに来ます。それでは。
    | koyashiki | 2005/10/26 10:47 PM |
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    「父、帰る」
     父、帰る 「父、帰る」 ★★★★★ VOZVRASHCHENIYE、THE RETURN (2003年ロシア) 監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ 脚本:ウラジーミル・モイセエンコ、アレクサンドル・ノヴォトツキー 音楽:アン
    | NUMB | 2006/12/30 12:10 AM |
    [外国映画][短評][200501]父、帰る
    父、帰る 1/15 みなみ会館 ★★★ →2003年のヴェネチア国際映画祭でグランプリを受賞したロシアの映画。母親、祖母、息子2人でひっそりと暮らしていた家庭に蒸発していた父親が12年ぶりにひょっこり帰ってきたところから始まり、父親が二人の息子を連れ
    | ほぼ日本映画専門サイト「キネマの星座」 | 2005/12/17 10:40 PM |
    父、帰る
    いやぁ、映画館でトレイラー見た感じと観終わってからの映画の印象とかなり違う本作。 
    | impression | 2005/10/25 10:07 PM |
    映画: 父、帰る
    邦題:父、帰る 原題:VOZVRASHCHENIYE 英題:THE RETURN
    | Pocket Warmer | 2005/10/25 1:30 AM |
    父、帰る
    「父、帰る」★★★★★(盛岡フォーラム1) 2003年ロシア
    | いつか深夜特急に乗って | 2005/10/24 7:54 PM |