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映画【 黒部の太陽 】男たちは難工事で何を得たのか!?
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    ずっと観たいと思いつつも、なかなか時間とタイミングが合わずに、観られなかった、僕にとっては待望の作品である。3時間15分の大作【 黒部の太陽 】。三船敏郎と石原裕次郎、当時の2大スターが競演をはたしている。本作は、同名(ノンフィクション)小説の映画化である。知らなかった。戦後の経済復興の電力不足を解消するために、黒部ダムを含む黒部川第四発電所の建設プロジェクト。映画は小説と同じく、トンネル工事に焦点をあてて描かれている。

    映画を観て知ったが、えげつないくらい難工事である。日本列島を分断する断層帯(フォッサマグナ)地域を横切って掘削していかなければならないため、落盤や大湧水などに常に見舞われ、トンネル工事どころではない。実際、170人以上もの死者を出していたにも関わらず、7年近くかけて、工事が続け、完成させている。
    黒部の太陽 映画

    JUGEMテーマ:映画



    ブラック企業並の徹夜労働とか、パワハラまがいの言動、セクハラ発言などが随所に見られ、今の時代では考えられない光景である。でも、このトンネル工事はさすがに劣悪な環境だったに違いない。本作でも「これ合成じゃない」と思ってしまうほどの大量の湧き水が流れて、作業員が飲み込まれそうになるシーンがある。調べると、420トンの水を水槽にためて、10秒たらずで放出させたらしい。事実、50名ものスタッフやキャストが病院に搬送されたという。

    個人的に驚いたのが、関西電力とか、熊谷組とか、実名で登場しているところ。かなりやばいシーンもあるんだけど、当時はコンプライアンス的にも許されたということなんだよね。

    意外と大スターの三船敏郎と石原裕次郎が対立構造ではなく、同士のような関係から始まり、最後は娘婿と義父という、より親しい間柄に落ち着いてしまうのが、非常に物足りなかった。それでも、関西電力の黒四事務所次長の北川を演じた三船敏郎と、ゼネコン担当で、元々は設計士から下請会社の社長だった父親が現場で倒れ、急遽熊谷組の岩岡班の一人として参加することになった、石原裕次郎演じる岩岡剛。この二人の生き方が非常に対照的で、注目しないわけにはいかない。
    三船敏郎
    北川は責任者としてゼネコン会社をまとめ、トンネル貫通の任を遂行する立場。上と下の板挟みに合いながらも、双方の意見を尊重しながら調整し、ミッションを遂行していこうとするホワイトカラー(中間管理職)の典型だったのではないだろうか。工事が佳境を迎える中、娘が病気(当時不治の病だった白血病)になり、仕事と家族の間で苦悩する。この映画を見た多くのサラリーマンは、三船の本音をぐっと押さえ、耐え忍びながら仕事を続ける姿に自分を重ね、涙した人も多かったに違いない。

    一方、岩岡は、自分の考えのもと、自由気ままに動くタイプ。本作の終盤には、父に代わってまとめていた岩岡組の職人たちから、劣悪の職場環境と、搾取する父親である社長に愛想をつかし、岩岡自身も裏切られてしまう(本当ならかなり落ち込むシーンだが、現場に戻るとなかったかのように仕事に取り組む)。この枠におさまらない生き方が、最後自分自身でトンネルを開通させる、奇跡を導く。
    石原裕次郎
    この二人の生き方を仕事に焦点をあてて、見比べてみるのは面白いんじゃないだろうか。会社という組織内での出世や会社からの期待に応えることで、やりがいを見出していこうとする北川タイプ。一方、上からの指示はある程度は聞くものの、それ以上に自分の価値観や目標(ゴール)をもとに自分で仕事を見出していく岩岡タイプ。
    どちらがワクワクしながら仕事に取り組んでいるか。それは、映画を観なくても察しがつくだろう。

    P.S
    と書いてみたものの、北川もこの世紀の大事業を責任者として成し遂げた達成感は、彼の立場でしか得られないものであり、苦悩と引き換えても余りあるものだったかもしれない。映画の冒頭、一度はこの任を断り、社長直々に説得され、受けた経緯があり、覚悟をもって臨んだ仕事(プロジェクト)だともいえる。そう考えると、どちらがワクワクしながら・・・仕事をしているかを比べるよりも、「仕事に何を求めるか」という職業観や価値観の違いが、この北川と岩岡があるといった考えのほうが相応しいのかもしれない。
    | 映画レビュー | 00:22 | comments(0) | - |
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