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映画【 スノーピアサー 】支配者が人間を道具化する
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    【 スノーピアサー 】@UNEXTで鑑賞。

    アカデミー作品賞(さらには監督賞、脚本賞、国際映画賞まで)を受賞した【 パラサイト 半地下の家族 】が面白すぎて、ここ最近はポンジュノ監督の作品ばかり観ている。それこそ【 殺人の追憶 】に始まり【 グエムル 漢江の怪物 】【 母なる証明 】、そして【 スノーピアサー 】。どれも、日本映画にはないテイストで、とても刺激的な作品である(退屈な作品と思ってしまうのは、とてももったいない)。中でも、本作の【 スノーピアサー 】は、ポンジュノ監督作品の中でも、趣がかなり異なっていた。

    まずストーリーを紹介しておくと・・・
    2014年7月に地球の温暖化を防ぐために、79カ国によって化学薬品(CW-7)を地球上空から散布された。その結果、予想に反して地球は氷河期に突入してしまう。それから17年経った2031年、人類の生存場所は地球上を走る列車「スノーピアサー」だけになり、そこには支配者と被支配者に分断された格差社会が確立されていた。常に被支配者は狭い場所に押し込まれ、ひどい扱いを受けていた。そこで、人としての地位を取り戻すために、被支配者は反乱を起こす。

    原作はフランスのコミック『 Le Transperceneige 』。【 パラサイト 半地下の家族 】では、高低で表していた格差社会を、本作では横(前と後の車両)に描いている。しかし「これが、あのポン・ジュノ監督の作品なの?」と思うくらい観やすかった。2時間イッキ観である。いつもなら1時間観るだけで体力が奪われてしまう疲れてくるのに(いい意味で)。なぜだろうーー。

    たぶん、善悪がはっきりしていて、車両が変わるごとに新たなステージが現れ、敵を倒していくというアクションゲームのようなシンプルで分かりやすい展開だったからだろう。これまでのポン・ジュノ作品は、善悪といった区別もなく、しかも先が一切読めない展開の作品が多かった。今回は、韓国・アメリカ・フランス合作により製作され、自国(韓国)の人たちだけでなく、世界の人々が楽しめる映画を考えたときに「分かりやすさ」というのは、重要なポイントになったはずだ。

    ポン・ジュノ監督の作品といえば、死や恐怖と隣り合わせのように笑い(コメディタッチ)が込められたテイストが特徴だが、本作ではそれが比較的抑え気味だったように思う。ティルダ・スウィントン演じた権力者メイソンのキャラや、ソン・ガンホ演じるセキュリティ設計者ナムグン・ミンスが目覚めるシーンぐらいじゃないかな。滑稽で、面白かったのは。

    それでも、何気ないセリフやシーンが、後になって伏線と分かり、見事に回収していく巧妙な展開は、ポン・ジュノ監督の面目躍如といったところだろう。そして何と言っても、どの作品でも一貫して描き続けてきた寓意性を含んだ社会風刺的表現は本作でも健在である。

    でも、個人的には罪深い闇を持つ主人公カーティス(クリス・エバンス)がラストに、子どもを助けようと腕を差し出し、自己犠牲による痛みによって、ひと皮むけるという成長譚が好きなんだが・・・。

    限られた資源の中で、いかにその世界を維持し続けるか。循環システムを保つために考えられた残酷なルール。これは、非常に納得感があり恐怖でもあった。「格差社会になると、支配者が人間を道具化する」というのを何かの本で読んだことがある。本作はそんな光景が描かれている。「格差社会になると・・・」というのは、実は15世紀から17世紀の話だが、今後AI化が進んでいくと、人の価値がモノより下がっていき、そこに格差(社会階層)の広がりから、本作で描かれたような世界になる可能性も少なくない。そう考えれば、本作で描かれている対立構造は、それほど荒唐無稽なものではなくなってくる。

    AIと比較したときに、いかにして差別化を図っていくのか。「クリエイティブ」こそが、人の勝てる領域だと言われているが・・・要は、ルーチンワークではなく、考えて仕事に向き合っていくということなのだろう。自分なら「どんな価値を提供できるか」というのは、今後大切になってくる自己概念なんだろうと思う。ハッピーエンドな結末でしたが、寒気がよぎる映画だった。

    P.S. アマゾンのレビューがなかなか鋭い考察だった。
    https://www.amazon.co.jp/dp/B00LTMYOHI
    | 映画レビュー | 14:26 | comments(0) | - |
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