2018.09.27 Thursday
映画【 泣き虫しょったんの奇跡 】皆の想いを力に変えてプロ棋士になる
ブックライター塾でお世話になった上阪さんがインタビューした記事を読んで、面白そうな映画だと思い、観てきた。
その記事とはこちら。
「将棋を憎んでいた…」。そう語る奨励会出身異色の映画監督【豊田利晃】が20周年の節目に選んだテーマは奇しくも「将棋」だった
映画はサラリーマンからプロ棋士になった瀬川晶司五段の自伝的作品。小さい頃から夢だったプロ棋士を目指し、プロ棋士養成機関である奨励会に入ったものの、年齢制限の壁(瀬川氏は満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段に昇格できなかった)にぶつかり、一度は自分の夢を断たれてしまう。しかし、アマチュアとして将棋を触れることで、改めて将棋の楽しさ、面白さを実感し、次第にアマの大会を制覇。そして、周りの人たちの薦めや応援により、35歳で再びプロになるための闘いに挑戦し、念願の夢を果たす。
その記事とはこちら。
「将棋を憎んでいた…」。そう語る奨励会出身異色の映画監督【豊田利晃】が20周年の節目に選んだテーマは奇しくも「将棋」だった
映画はサラリーマンからプロ棋士になった瀬川晶司五段の自伝的作品。小さい頃から夢だったプロ棋士を目指し、プロ棋士養成機関である奨励会に入ったものの、年齢制限の壁(瀬川氏は満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段に昇格できなかった)にぶつかり、一度は自分の夢を断たれてしまう。しかし、アマチュアとして将棋を触れることで、改めて将棋の楽しさ、面白さを実感し、次第にアマの大会を制覇。そして、周りの人たちの薦めや応援により、35歳で再びプロになるための闘いに挑戦し、念願の夢を果たす。
JUGEMテーマ:映画
これまで『3月のライオン』『聖の青春』という将棋映画を観てきたが、どちらもプロ棋士の対決が主軸だった。奨励会のことは『聖の青春』に一部描かれていた(主人公の後輩が奨励会のリーグ戦で、鼻血を出しながら対戦し、負けて退会する)。『3月のライオン』では、主人公の零がお世話になった師匠・幸田の自宅から出ていくとき、有村架純が演じた香子が父である師匠(豊川悦司)に退会させられたくだりで少し出てくるくらい。だから本作を観て、初めて奨励会の厳しさ(プロになるまでの道のり)を理解した。
勝つか、負けるかの世界。26歳の誕生日までに四段になれずに退会すれば、それまで将棋一筋でやってきたことまでもがすべてゼロに。さらに、その後も唯一の武器だった将棋もない中で人生を再スタートしなければならない。あまりにも残酷すぎる。
毎回負けられない闘いにもかかわらず、棋士たちは決して感情を表に出さない(一部キャラとして登場するが)。闘争心や喜び、哀しみなどの全ての感情を胸中にしまい込んで勝負に挑む。それだけに、敗者が最後に絞り出す「負けました」という言葉が、なんとも切ない。
映画の中盤まで、主人公のしょったんはプロ棋士という夢を叶えるために、恋愛も自ら遠ざけ、孤独の中で奮闘する。その象徴が、さまざまな人たちとの「別れ」である。小学・中学時代に将棋を一緒に刺してきた友人・悠野、作法まで教えてくれた将棋道場の先生(イッセー尾形)、奨励会のライバルたち、そして極めつけが父親だ・・・。あの父親との死別で、自分の弱さを涙ともにさらけ出してから、しょったんは大きく変わっていく。
そして、本作の見せ場でもある後半の復活するシーンへとつながっていくのだ。一見すると、地味で、抑揚のないオーソドックスなストーリーだが、それが、この対極的な展開を際立たせたように思う。
プロ編入という前代未聞の闘いが、多くの人たちにニュースとなって知れ渡り、それまでは「プロになる」という自分だけの夢が、家族、幼馴染のライバル、お世話になった先生や将棋を教えてくれた大人たちや奨励会の仲間、そして見知らぬ人たちの夢になっていく。そして主人公のしょったんはその期待を力に変えて、プロ棋士に挑んでいく。観ているほうも自然と力が入ってくる。
豊田監督は奨励会出身者なだけに、駒の指さばきや駒を置くときの「ピシッ!」という音もこだわりぬいたとか。対局になると流れるロック調のギターメロディーが闘いの高揚感や緊張感を醸し出していて、ゾクゾクした。盤上の闘いを写す多彩なカメラワークも見事である。
将棋ファンのみならず、やりたいことや夢をお持ちの方にもぜひ観てほしい一作。
※『3月のライオン』『聖の青春』に続き本作にも染谷将太くんが出演していた。どれもキャラが違うので、これから観る方はぜひチェックを!
勝つか、負けるかの世界。26歳の誕生日までに四段になれずに退会すれば、それまで将棋一筋でやってきたことまでもがすべてゼロに。さらに、その後も唯一の武器だった将棋もない中で人生を再スタートしなければならない。あまりにも残酷すぎる。
毎回負けられない闘いにもかかわらず、棋士たちは決して感情を表に出さない(一部キャラとして登場するが)。闘争心や喜び、哀しみなどの全ての感情を胸中にしまい込んで勝負に挑む。それだけに、敗者が最後に絞り出す「負けました」という言葉が、なんとも切ない。
映画の中盤まで、主人公のしょったんはプロ棋士という夢を叶えるために、恋愛も自ら遠ざけ、孤独の中で奮闘する。その象徴が、さまざまな人たちとの「別れ」である。小学・中学時代に将棋を一緒に刺してきた友人・悠野、作法まで教えてくれた将棋道場の先生(イッセー尾形)、奨励会のライバルたち、そして極めつけが父親だ・・・。あの父親との死別で、自分の弱さを涙ともにさらけ出してから、しょったんは大きく変わっていく。
そして、本作の見せ場でもある後半の復活するシーンへとつながっていくのだ。一見すると、地味で、抑揚のないオーソドックスなストーリーだが、それが、この対極的な展開を際立たせたように思う。
プロ編入という前代未聞の闘いが、多くの人たちにニュースとなって知れ渡り、それまでは「プロになる」という自分だけの夢が、家族、幼馴染のライバル、お世話になった先生や将棋を教えてくれた大人たちや奨励会の仲間、そして見知らぬ人たちの夢になっていく。そして主人公のしょったんはその期待を力に変えて、プロ棋士に挑んでいく。観ているほうも自然と力が入ってくる。
豊田監督は奨励会出身者なだけに、駒の指さばきや駒を置くときの「ピシッ!」という音もこだわりぬいたとか。対局になると流れるロック調のギターメロディーが闘いの高揚感や緊張感を醸し出していて、ゾクゾクした。盤上の闘いを写す多彩なカメラワークも見事である。
将棋ファンのみならず、やりたいことや夢をお持ちの方にもぜひ観てほしい一作。
※『3月のライオン』『聖の青春』に続き本作にも染谷将太くんが出演していた。どれもキャラが違うので、これから観る方はぜひチェックを!